後輩の勝利を全力で称えるその姿が、ファンから大絶賛だ。プロ将棋界唯一の団体戦「お~いお茶presents第4回ABEMAトーナメント」の本戦トーナメント2回戦第2試合、チーム木村とチーム稲葉の対戦が8月14日に生放送された。この中で、チーム木村のリーダー・チーム木村の木村一基九段(48)が、後輩でありチームメイトの佐々木勇気七段(27)、池永天志五段(28)の勝利を思い切り褒めていた様子に「理想の上司すぎる」「木村先生の下で働きたい」といった声が殺到する事態となった。
木村九段は、どんな攻めでも受け潰してしまうような棋風から「千駄ヶ谷の受け師」、さらには愛着をこめて「将棋の強いおじさん」などと呼ばれている人気棋士。史上最年長で初のタイトルを獲得した際には「中年の星」ともいわれ、将棋界の中でも大きな話題になった。現在は、2期目のタイトル獲得を目指し王座戦の挑戦者になったほか、各棋戦でも活躍。また解説やイベント、番組出演の際に、適度な自虐や毒舌を混ぜた軽快なトークでファンを楽しませることでも有名だ。
この木村九段について「上司にしたい」という声が飛び交ったのは、佐々木七段が相手のリーダー・稲葉陽八段(33)に逆転勝利を収めて帰ってきた時のことだ。殊勲の勝利を持ち帰った後輩の姿を見つけるや、これ以上ないほど全力の拍手でお出迎え。さらに開口一番「いやあ、素晴らしいですね!」と褒めまくった。続いて「序盤はボロボロになるかと思ったけど、勝ってよかったですね。稲葉さんは練った作戦だと思ったけど、あれ勝ったのは大きいよ。うまく逆転に結びつけました。いやあ素晴らしい」と、次から次へと褒め称えたことで、佐々木七段もにこにこの笑顔に。また、第2局で池永五段が勝利して帰ってきた時も、同じように褒めまくった。
「褒めて伸ばす」がスタイルなのか、この木村九段の振る舞いを見て、ファンからは「部下をほめる上司最高」「理想の上司すぎる」「若手をヤル気にさせるおじさん」「こんな上司が欲しい」という熱っぽいコメントの嵐に。さらに木村九段本人も、大事な局面で登場し勝利を収めて帰ってくる“デキる上司”としても活躍したことで、さらに評価が上昇した。将棋界で「上司にしたい棋士No.1」というアンケート自体はないが、いざ実施された際には、間違いなく1位候補として名前が出そうだ。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)