「この才能“も”大事にして」担任がイタズラ描きに返した“一文字”で少年の才能が開花 学級日誌のやりとりに反響「普通なら怒られてもおかしくない」
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 中学3年生の男子生徒が学級日誌に何気なく書いたイタズラ描きに対し、担任の先生が記した返事、さらに“一文字”の助詞によって男子生徒の才能が開花。そのやり取りが話題を呼んでいる。

【映像】少年の人生を変えた担任とのやり取り

 安部祐一朗さん(19歳)は美容系の専門学校に通う傍ら写真よりもリアルに見えるイラストなどで昨年11月、都内で個展を開くなど、二足の草鞋で奮闘中。当時中学3年生だった安部さんの人生を変え、その才能を開花させたのは、日直当番だった安部さんが学級日誌に何気なく描き込んだイラスト。そして、そのイラストに対する担任の先生の返事だった。

 安部さんは本来であれば連絡事項を書くべき欄に、「らくがき」という一言を添えてリンゴのイラストを描き込んだ。普通なら大目玉を食らうかもしれないケースにもかかわらず、担任からのメッセージは「めっちゃウマイやん! この才能も大事にしてほしいな」というもの。怒ることはせず、安部さんの画を褒める言葉だった。

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 そして安部さんは、メッセージ全体ではなく、ある一文字に注目した。それは「も」だった。あれから4年が経過し、当時のことについて安部さんは「真剣に家で描いていたというよりは、本当に片手間に落書き程度に描いていた。『この才能も』という、『別に一つじゃなくていいんだよ』というのが自分の中で響いた」と振り返る。

 幼いころから絵を描くことが大好きだった安部さんの才能が世間に評価されたのは高校1年生のとき。色鉛筆で描いた絵をツイッターで投稿したところ「神業」「写真よりリアル」「生きているみたい」など絶賛の声が寄せられ、高校生でありながら色絵鉛筆アーティストとして注目を集めた。

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 将来は絵の才能を生かせる道へと考えていたが、安部さんには迷いもあった。小・中学生の頃、大阪のUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)に行き、特殊メークやアートメイクに触れたことでメークアップアーティストへの憧れを抱いていた。絵の才能を生かす道か、憧れていた道か――。そんな時に『この才能を』ではなく『この才能も』という言葉が心に響いたのだという。

「作文と書くときに二つの夢を文にすることってない。それを本当に打ち砕いてくれた。別に一つじゃなくていいんだよみたいのが自分の中で響いて、『この才能は大切にしてほしい』だったら、メークアップアーティストの方を辞めていたかもしれない」

 そのように当時の心境を明かした安部さんは、高校卒業後に美容系の専門学校に進学。同時に、アートにものめり込むと、才能はさらに開花。鉱物と動物を掛け合わせた独創的な作品を次々にアップさせ、ツイッターのフォロワーはおよそ9万人になった。

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 当時の担任に感謝の思いを伝えたかった安部さん。しかし、直接では恥ずかしい。そこで安部さんはツイッターに「中学3年生→美容学生1年 先生、いまも描き続けてますよ!」とメッセージを残し、4年前に描いたリンゴ、さらに最近描いたさくらんぼの画を添え、二つの夢を持ち続けていることを報告。すると、このメッセージを見た担任から「頑張ってるねんな~!嬉しいよ~!」とLINEに返信があった。

 当時の担任だった矢野美歩先生に話を聞くと「時間をかけずにこんだけ上手に描けるんやという。あの時はそんなに『この才能が』にするのか『を』にするのか『も』にするのかは深く考えていない」と苦笑いを浮かべる。安部さんについて「人とのコミュニケーションの取り方が上手。あいさつがきちんとできるとか、色々ないい部分がある。その辺を彼には大事にして欲しいという思いからそう書いたのだろう」と話した。

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 また安部さんは卒業時に矢野先生に似顔絵をプレゼントしたという。その似顔絵について矢野先生は「阿部ちゃんは遺影みたいで気に入らないというんですが…阿部ちゃんすごいなと思ったので、実家にちゃんと飾ってあります」といったエピソードまで明かしてくれた。

 無意識に書いた「も」が子どもの無限の可能性を開花させた二人のお話について、元週刊SPA!副編集長の田辺健二氏は「普通なら怒られてもおかしくない。それを褒めてあげられるという優しさはすごい」と頷いた。(ABEMAABEMA的ニュースショー』)

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