『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督、主演の西島秀俊は「ご一緒してみたかった」 作中で大事にした“音”
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 7月に2年ぶりに開催されたカンヌ国際映画祭で、日本映画として初めて脚本賞を受賞した、濱口竜介監督の最新作『ドライブ・マイ・カー』。

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 世界三大映画祭の一つであるカンヌ国際映画祭で、日本映画はこれまでに最高賞のパルムドールを是枝裕和監督、今村昌平監督、黒澤明監督らの作品が受賞しているが、『ドライブ・マイ・カー』は脚本賞のほか、さらに3つの独立賞も受賞するなど4冠を達成。カンヌの歴史を塗り替える偉業を成し遂げた。

 「本当に誇らしい賞だと思っています。村上(春樹)さんの物語を受け取って、映像にするためにいろいろ変更を加えたけれど、“そんなに悪いものではないらしいですよ”ということを、村上さんにも観る時に伝えたい気持ちはあります」(カンヌ国際映画祭で濱口監督)

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 作品を手掛けた濱口監督は今、世界の映画界から注目されている映画監督の1人。東京大学を卒業後、映画・ドラマの助監督やテレビ番組のADとして勤務し、2006年に東京芸術大学大学院映像研究科に入学。大学院の修了制作で高い評価を受けると、その後も数多くの作品を手掛け、商業映画デビュー作『寝ても覚めても』はカンヌ国際映画祭に出品されるなど、国際的な舞台で高い評価を得ている。

 商業映画2作目となる『ドライブ・マイ・カー』は、そんな濱口監督自身が原作にほれ込み、映画化を熱望した意欲作だ。

 映画は、最愛の妻を失い、喪失感を抱えながら生きる男が、ある過去を持つ専属ドライバーの女性との出会いをきっかけに、新たな一歩を踏み出していくというストーリー。原作は、世界各地にファンを持つ村上春樹さんの短編小説だ。

『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督、主演の西島秀俊は「ご一緒してみたかった」 作中で大事にした“音”
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 『ABEMA Morning』では、濱口監督に単独インタビューを行った。

 「(原作は)『女のいない男たち』という短編集に入っているので、その中からいくつかの要素を取り上げながら、どうまとめていくか。それを村上春樹さんにお手紙と一緒にお送りしたところ、ご許可をいただけて制作する運びになりました」

 映画では主人公を西島秀俊が演じるほか、三浦透子、霧島れいか、岡田将生など実力派俳優が集結。西島を主演に起用した経緯について、濱口監督は「僕個人が好きな俳優さんだったというのがまず大きい。いつか必ず仕事をご一緒してみたかった俳優さんだったというのが大前提にあります。風貌とかは多少、原作の表現とは違うけど、村上春樹の世界の主人公を演じる上で、西島さんがすごく合っているという気がした。自分をものすごくあらわにするわけではないけど、すごく率直なところがあり、同時にあたたかいところがある。“村上春樹の世界を背負ってくれるのではないか”という気がすごくした」と話す。

 そんな西島やキャストの演技について、撮影中はセリフ以外の部分についてはあまり指示を出さず、表情や動きなどは「役者の力で作ってくれたものを記録した」という濱口監督。上映時間が約3時間という長尺となったこの映画で、大事な要素となったのが「音」だと話している。

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 「音はすごく大事な要素だったと思います。人の声がまず、とても大事だと思っていた。一人ひとり、その人が本当にそう思っているんだと思えたり、本当にこの人は存在するんだと思えるような声を、役者さん一人ひとりが出せるような環境を作る。それは演じやすい環境を作るということだと思うんですけど、それは大事なことだと考えていました。風景の背景音というか、特に広島は素晴らしいロケーションだと思っていましたが、その広島の中で自然の音が入ってきたり、車のエンジン音が入ってきたり。音に包まれる感じが、すごく長い映画だけど観客にとって見やすい環境を作ってくれるのではないかと思っていました」

 「誰しもの人生に寄り添う、新たなる傑作」として大きな注目を集めている、映画『ドライブ・マイ・カー』は20日から全国の劇場で公開される。

(『ABEMA Morning』より)

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