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 『千と千尋の神隠し』に影響を与えた小説「霧のむこうのふしぎな町」など、長年にわたり愛され続けるベストセラーを世に送り出した作家・柏葉幸子による小説「岬のマヨイガ」(講談社刊)が長編アニメーション映画として8月27日(金)に公開となる。居るべき場所を見失った 17 歳の少女と声を失った 8 歳の女の子がたどりついたのは、懐かしくてすこしふしぎな伝説の家《マヨイガ》でおりなす血のつながりがない新しい家族たちとの、ふしぎだけど温かい共同生活が“岬のマヨイガ”で紡がれていく。心が優しく包み込まれる、ノスタルジック・ファンタジーな作品に仕上がっている。

 24日、本作の公開直前記念の配信イベントが実施され、本作の主題歌を担当する「羊文学」の塩塚モエカ(Vo.&Gt.)、河西ゆりか(Ba.)、フクダヒロア(Dr.)と劇中の音楽担当の宮内優里、そしてスペシャルゲストとしてお笑い芸人でもあり、「やついフェス」を開催するなど音楽にも造詣が深いやついいちろうが登壇した。

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 それぞれの挨拶を終えたあと、主題歌である羊文学「マヨイガ」の映画の本編映像を使用したMVが本イベントで初公開となり、会場のスクリーンに上映された。

 MV終了後、司会から登壇者に本作を鑑賞した感想を聞かれると、宮内は「とにかく優しさがあり、ほぐれたりきゅっとしたり、今このとげとげしている世の中でとても良い作品。」とコメント。そして、羊文学・塩塚は「大きな何かがあるわけではないけれど、自然と涙が出てきてしまう、ハグされているようなあったかさが溢れてました。観ていて、自然と涙が3回くらい出ました。」フクダは「心のよりどころ、人とのつながりが作品の中にはあって、宮内さんとの音楽とすごくあっていて感動しましたし、暖かい気持ちになりました。」河西は「物語自体はファンタジックなお話だけど、舞台は震災後であるリアルさと一緒になっている感じが新しかったです。登場人物たちの成長にも説得力があって素敵な作品でした。」と羊文学全員、本作の優しく穏やかな世界観に魅了された様子を伺わせた。最後にやついが「一言、“よかった”という感じですかね。妖怪というのはもはや伝統みたいなところがあるから、新しいものも大事だけど今までの伝統を大事にしようという気持ちになりました。」と本作に登場する“ふしぎっと“と呼ばれる妖怪にも触れながら本作を絶賛した。

 次に音楽を担当した宮内に【劇中の音楽を制作するうえで参考にしたこと、気を付けたこと】を伺うと、宮内は「関わらせてもらったのが早くて、監督は気が合う方で感覚的なところで安心できる人だったので、テクニックではやらずに監督に投げるような感じでできるだけピュアなものを作りましたね。撮影したものを観ながら制作する実写と違って、アニメーションは想像しながら音楽を合わせていくので、慌てながらやっていました(笑)」と制作中のエピソードを披露。

 その後、羊文学とやついに【宮内の音楽を聴いた感想と印象に残っているシーン】を訊ねると、羊文学塩塚は「もともと宮内さんの音楽を聞いていたので、劇中で“宮内さんだ!”と思うのもあり、普段の宮内さんからは想像できないところもありすごい面白かったです。」と宮内の音楽を絶賛。続いてフクダは「僕も宮内さんの音楽はずっと好きで、『リトル・フォレスト』もすごいよくて・・・今回実際にご一緒できて本当に光栄です。」と憧れの宮内との共演を喜んだ。また河西は「セリフがないシーンも多い中で宮内さんの音楽が光っていました」と話しそれぞれ宮内の音楽に感動する様子を見せた。

 【特に苦労した点】を訊ねると、宮内は「和楽器を使った曲を制作したことですね。出来るか不安だったんですけど、実は父が和太鼓奏者で自分でも10年ほど和太鼓を手伝っていた時期があったので、やってみます、とお返事しました。ちなみに父も今回笛吹いてるんですよね(笑)」とまさかの本作で親子共演をしていることを明かした。さらに続いて、「普段僕の曲は穏やかとか暖かいと言って下さることが多いんですけど、今回は演出上暗い曲、緊迫感のある曲、速い曲など必要だったので絞り出しながらの制作は大変でしたね。」と制作する上で苦労した面も語った。

 その後、宮内への質問コーナーを実施。塩塚より【自分が全然やったことない音楽で自分らしさをどこに置けばいいのですか?】と聞かれると宮内は「う~ん、まあ僕は断っちゃう(笑)」と冗談っぽく答えながらも「やったことないからこそ感覚に頼ったほうがいい。それがへたくそでも伝わる気がします。」とアドバイスを送った。

 さらにフクダから【宮内さんの音楽は景色が浮かびますが、どういうところから影響を受けていたり、聞いている音楽を教えてほしいです】とアーティストならではの質問をれると、「僕は2000年代の前半のエレクトロニカル音楽ばかり聴いていて(笑)。影響をうけたもの・・・実はそこまでイメージしていないんですよね。フレーズって思いつかなくて、音をたくさん重ねる中で見えてきますね。いろいろ作っている中で“ちがうな?”を洗い出して、なんとなく膨らませながら曲を作っています。」と自身の音楽制作を交えながら答えた。そして最後に河西が「今回一番最初に作ったシーンは?」と聞くと、宮内「和楽器を使用するシーンですね。電子音楽とは違って結構間が難しかったですね。」と答えた。

 続いて、羊文学に【映画のために書き下ろされた「マヨイガ」の制作過程に込められた思い】を訊ねると、制作担当の塩塚は「何回も脚本を読んで、私が最初に原型を作る。そこから2人と話しあってアレンジしていきましたね。」と語った。塩塚の作ったデモを聞いてフクダは「映画に通じる、優しさ、おかえり、大丈夫だよといった母親みたいなものを自分なりに解釈してドラムを叩くようにしました。」と話した。

「マヨイガ」を聴いた感想について、やついは「よかったですね。少女の成長の繊細な感じから始まり、みんなを包む。1曲で映画の最初から最後を観ることができる。母性みたいなものを感じる名曲ですね。」と話すと、塩塚が「普段は携帯に入れて作詞するところを今回は紙に書き出してたんですけど、だんだんとユイとひよりに手紙を書く感じになっていたので、(やついの言う)母性はそういうところから生まれたのかもしれないです。予告を何回も観て宮内さんの音楽を聴きながら考えました。」と制作時のエピソードを披露。それに対し宮内は「自分のことでいっぱいいっぱいだったんですけど(笑)、最後のシーンの曲をいい感じで主題歌に渡したいなという思いは込めました」と、主題歌と劇中音楽の繋がりを見せた。

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 最後に羊文学が主題歌「マヨイガ」を生演奏で披露し、会場が優しく暖かい空気に包まれた。

 締めの挨拶として本作について、やついは「コロナ禍でいろいろ分断が広がる中で一番大事なものを描いている映画。」と話し、宮内は「優しくて暖かい映画です。今世の中がとげとげしていると思うんですけど、そのとげが少し抜けたりほぐれたりする作品ですね。僕も娘と観に行こうと思っています。」と話した。最後に塩塚が「あったかい気持ちになる映画です。観た後心がデトックスされる映画なので、今いろいろ疲れるけど、旅行に行くみたいな気持ちで映画館に行ってほしい。すごく意味のある映画です。」と挨拶し、イベントは幕を閉じた。

(c)柏葉幸子・講談社/2021「岬のマヨイガ」製作委員

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