医療関係者を批判するつもりはない。「厚生ムラ」「鉄の三角形」にメスを入れるべきだ…竹中平蔵氏が批判を浴びたツイートの真意を語る
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 新型コロナウイルスの感染拡大が地方にも及ぶ中、医療提供体制の逼迫度合いが深刻さを増している。そんな中、「病床を増やせというと、医療関係者は『できない』理由を並べ立てる。『医療ムラ』を解体しないと日本は良くならない」とツイート、批判を浴びているのが慶應義塾大学名誉教授の竹中平蔵氏だ。25日の『ABEMA Prime』では、その真意を生直撃した。

・【映像】竹中平蔵氏に生直撃 "医療ムラ解体"論の真意とは?

■「何かおかしいと考えるのが普通だ」

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 現状認識について、「デルタ株の勢いが本当に強いし、普通の風邪と違って圧倒的に怖い病気なので、対策が必要だということは言うまでもない。ただ問題提起したいのは、日本にはベッド数が160万床と、おそらく世界で最も多いのに、現在の重症患者2000人ぐらいで“医療逼迫”が起きるわけがない。おかしいではないか、ということだ。私は1年半以上前から、このことを指摘してきた。政府分科会の尾身さんは病床を増やしたと言うが、多分7000床とか、そんなものだ。田村厚労大臣も3月に比べて2倍にすると言ったが、実際は1.2倍ぐらいにしかなっていない。何かおかしいと考えるのが普通だと思う」と話す竹中氏。

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 「デルタ株の感染力は本当に強いし、感染症としても普通の風邪とは違って圧倒的に怖い。対策が必要だということは言うまでもない。しかし日本も含め東アジア全体での人口に対する死者の割合は、世界の中で見れば低い。こうした状況を踏まえると、怖い、怖いと言うだけではなく、病床を増やして安心して医療が受けられるようにし、重症者を守るべきだ。世界で一番(医療費に)お金を使っている国だから、そこに真剣にメスを入れなければいけないのではないか。それが一番申し上げたいことだ」。

 背景に横たわっているのが、竹中氏が“厚生ムラ““鉄の三角形”と呼ぶ構造だという。

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 「日本には色々なルールや規制がある。それに守られ、いわゆる“既得権益”を受けている人たちがいる。農業の分野で言えば、日本は零細農家を守るため、株式会社は農地を持つことができない。当初は意味のある制度だったのだろうが、農業がここまで国際化されてきた今、日本はいいものを作れるんだから、株式会社に入ってもらって生産性を上げ、輸出もしていった方が良いはずだ。ところが“入ってはいけない”という人たちや、そこに結びついた政治家たち=族議員、そして業界の既得権益を持った人をつなぐ役割を担っている官僚がいる。この三角形がスクラムを組み、新しいことをやろうとするときに妨害してくる。こうした三角形はどこの国にもあるけれども、日本の場合はそれを取り持つ官僚組織がものすごく強く、特に強い状態で維持されている。

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 医療について言えば、今はコロナ禍なので暫定的に認めているが、遠隔では初診を認めていない。コロナが終わった後、元に戻そうという意見と闘わなければいけない。反対する最大の理由は、遠隔診療をやると、良いお医者さんに診てもらいたいということで、競争がものすごく激しくなり、そこから取り残されるかもしれないと思う人たちがいるからだ。あるいは医師会に象徴されるように、医療体制を変えたくないという人たちもいる。政府の規制改革会議議長に選任された夏野さんは、この“鉄の三角形と闘う”役割を引き受けたわけだ(笑)」。

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 すると慶應義塾大学特別招聘教授で夏野剛氏は苦笑しながら「まだインフラが整っていなかった昭和の時代に作られた仕組みが残っているということだ。医療について言えば、日本は予防医療に力を入れ、とにかく開業医の割合を増やしていった。だから小規模な医院さんが日本中くまなく存在し、インセンティブが高くなっているのに対し、大規模病院が少なくなっている。それで起きているのが、開業医の紹介状がないと大病院で診てもらえないというような状況だ」と指摘。

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 「平時なら、それでも良かった。ところが今回のような緊急事態、特にきちんとした感染防止体制を取るようなことは、個人の開業医さんにとっては難易度が高い。結果、全体では病床数がものすごくたくさんあるにもかかわらず、感染症に対応できるのはものすごく少ない、ということが分かった。しかし1年半経っても、これがなかなか変えられない。やはり竹中先生がおっしゃったように、出来上がった仕組みをいじられると困る人が出てくるからだ。教育もそうだが、医療は公的な資金で年間43兆円とか44兆円もまかなわれているにも関わらず、政府には強制力がない仕組みになっている。現場の方には罪はないかもしれないが、仕組みが現状に合わない。想定されていない事態だったことも確かだが、もうすぐ2年が経つので、同じ状況が続くのはまずいだろうということだ」と応じた。

■「医療関係者を批判するつもりはない」

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 オンラインサロン『田端大学』主宰の田端信太郎氏は「平時であれば、圧力団体の少数意見が政治的な力を持つのは分かる。しかしコロナが国民的な関心事になっていて、総選挙も近づく状況下で、それでも“政治のミスを頑張っている医療現場になすりつけるのか”みたいに、むしろ政治家の方が悪いみたいなムードが流れるのが謎だ。行動変容も大切だが、歯医者さんに例えると、歯磨きをせずにチョコレートばかり食べている奴の虫歯は治さない、と言っているようにも聞こえてしまう。

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 もちろん感謝すべきではあるが、一般人の生活のためにお医者さんや看護師さんがいるわけで、お医者さんや看護師さんのために一般人がいるわけではい。自宅で診てもらうよりは少しでも医療機関に近いところで診てほしいというのが民意だし、乱暴な意見だが、菅総理が郵政解散のときのように、“一定の条件を満たした開業医には受診を義務付ける法律を作ります、だから医療崩壊は起こりません。起きたとしたら、それは医師の責任だし、職業選択の自由があるので、嫌なら医師を辞めてほしい”と会見で言ったらどうなるだろうか」。

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 リディラバ代表の安部敏樹氏は「“医療ムラ”というのは、所属する病院や業界が中間に挟まって難しいところがあるという議論であって、現場で頑張っている医療関係者が悪いという話ではないし、十分にリスペクトした上で議論することが必要だと思う。竹中さんの話には共感しつつも、官僚だって、このままコロナ禍を放置していいとは誰も思っていない。一方で、例えば教育の分野も1年半で変わっていない。学校では校長の権限が強いし、文科省との間には教育委員会も入っているので、現地の裁量をコントロールするためのレバーがないという事情もあるからだ。緊急時において現場裁量にメスを入れるための仕組みを作っていくかが必要だと思う」と指摘。

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 竹中氏は「私も医療関係者を批判するつもりは全然ない。特に一部の勤務医には本当に大変な人たちがいることは事実だし、経緯を表すとみんなが言っている。私の甥っ子もコロナを受け入れている大病院の勤務医だ。しかし、コロナ患者を受け入れたくないというところもある。そして、できない理由はいくらでも挙げられる。Twitterにも書いたが、小泉元総理と一緒に仕事をしているとき、何か新しいことをやろうすると、すぐに官僚などが“できません”と言ってくる。小泉総理はその度に“できない理由を言うのではなくて、どうしたらできるか考えて持ってこい”と言っていた。感染症の専門家は半年や1年では育たないし、人工呼吸器をつけるのが大変だというのも分かる。しかしある程度の治療のできる人は3カ月、半年と訓練すればできるはずだ。それなのに、なぜ1年前から何もやっておらず、今もできないと言うのだろうか。

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 遠隔教育の話が出たが、オンライン診療を初診は認めないのと同じように、現状では小中学校で正式な単位として認めていない。やはりオンラインになれば、上手い先生が1人で教えればいいということになり、あとの先生の仕事は何なのか、ということで、先生の団体が反対するわけだ。しかし、リアルも必要だし、全て遠隔教育にはならない。教える人も今までと違って1人か少人数になるかもしれないが、本当に教育効果が上がっているかどうかをカウンセリングする先生が必要になってくる。これが正しい方向だと思う。そうなれば教員免許の資格のあり方、社会のあり方を変えるという話になってくるので、みんながそこで立ち止まってしまう。そこは夏野さんに頑張ってもらって、早く改革案を通さないといけない(笑)」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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「政治から排除しよう」「つまみ出せ」竹中平蔵氏、Twitterデモに「私の宣伝。もっとやれ、もっとやれと(笑)」
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