「AbemaTimes」では6月18日(土)公開、映画『葛城事件』の主演・三浦友和に直撃取材。演じるクズ親父・葛城清が『アウトレイジ』のヤクザ以上に悪いという声も聞くが、「悪いですか? 清さんは、かわいそうな人だなあ(笑)。家族を崩壊させて、息子が通り魔殺人事件を起こす元凶って、この親父ですからね。本当に悪い奴ですよ」と本人も太鼓判を押すほどの強烈キャラ。一家崩壊を引き起こすほどのモンスターについて名優にうかがった。

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――主人公の葛城清は世間でもよくいるクズ親父ですが、演じる上で軸としたものはありますか? 

台本にはない子どもたちの小学校時代の彼をベースに想像しました。絶対モンスターペアレントだったと思うんですよ。絶対そうに違いない。すぐ学校に怒鳴り込み、言いたい放題に教師を罵倒して。そうすることで、反対に子どもたちが孤立する危険があるとか理解できない。その延長線上にいるモンスターペアレント、とイメージしました。

――その葛城清は少なくとも善人ではないと思いますが、いい人役が続くと、悪い人を演じてみたくなるものですか?

そういう思いはありまますが、僕らが選べる話でもないんです。ただ確かに正しい人、正義の味方ばかり演じていると、ストレスを感じるものです。そんな奴いないだろうと、どこかで思っているので、悪い役柄に関心が行くこともありますね。

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――いち映画ファンとして『アウトレイジ』の際は、めずらしいヤクザ役に興奮しました。それまではいい医者の役柄などの印象が強かったので。 

そうですね。僕は医者や弁護士や刑事のイメージがあって、そういう役柄へのオファーがどうも多いですからね。でも、そういう役柄って、取り組み方が難しいんですよ。誰が演じてもいいので、その人が演じて独自に成立させることは難しい。正しい人の役の場合、この人ならではって、なかなかもっていけないものなので。

――今回、『アウトレイジ』の時よりも極悪人だって言っている人もいます! 

悪いですか? 清さんは、かわいそうな人だなあ(笑)。家族を崩壊させて、息子が通り魔殺人事件を起こす元凶って、この親父ですからね。本当に悪い奴ですよ。

――でも、見放しては演じていらっしゃらない。どこか共感を誘うような一面も表現されていました。

そう。この人にもしね、信頼できる友人や親戚でもおじさんでもいればね、話は変わったと思うんですね。兄貴でもなんかいたらね、「お前それダメだよ」って言ってくれたはずなんです。思い込みだけで生きているような人なんで、「なぜオレの言っていることがわからないんだ」って、ずっと生きちゃった人。だから、悲劇の人でもあるんです。実の家族でさえ、「お父さん、それは違うよ」って、言えなかった人ですから。

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――いま、演じてみて思うことは??? 

これは間違いなく、後何年後かにやってみてよかったという思いが強くなるような気がしますね。自分が出ている映画やドラマを試写で観ると、自分のことしか観ていないので、自己嫌悪に陥ること多いんです。それが今回は、素直に面白かったんですよ。作品として、普通に観られたんです。

――世の中のモンスターペアレントが『葛城事件』を、どう観るか楽しみですね!

あ、僕の友人に面白い感想の人がいましてね。まあ、いろいろな感想があるでしょうけれど、この映画、『葛城事件』を観ていて、自分を観ているみたいで、すごく嫌だって。年中、女房に言われていることを映像で観た気がするって(笑)。彼の中にも葛城清がいたんですね。そういう意味では皆、自分に気が付く映画としていいと思います(笑)。

映画『葛城事件』は、2016年6月18日(土)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー!

(C)2016「葛城事件」製作委員会

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