1998年からスタートし大ヒットを記録し続ける『リング』シリーズ、そしてそれを追いかけるように翌年の1999年にオリジナルビデオが発売され、昨年『呪怨 -ザ・ファイナル-』でその歴史に幕を閉じた『呪怨』シリーズ。『リング』の貞子と『呪怨』の伽椰子という日本人なら誰もが知る、2人のヒロイン。絶対に出会ってはいけないこの2人が同じ画面に登場する映画『貞子vs伽椰子』が6月18日から公開している。ジャパニーズホラー史上、最も恐ろしいバトルを描いた同作品で、貞子と伽椰子を始めとする全出演者のヘアメイクを手掛けたメイクアップアーティストの村木アケミさんに、ホラー映画ならではのエピソードを聞いた。
——撮影で印象に残っていることはありますか?
村木:除霊を行うというシーンを撮影しました。撮影終了後に、靴棚に置いておいた甲本雅裕さんの靴の中に木の板が入っていたんです。その板には「僕たちは戦いたくなかった」と書いてあって「誰の悪戯?やめてよ~」と甲本さんがおっしゃってるのを、その場にいたみんなで笑ってました。オブジェもたくさん置いてあるような場所だったので、その一つがたまたま靴に入ってしまったとは思うんですが…。実はその場所は地元では有名な心霊スポットで、一説にはB29が墜落して兵隊が隠れ命を落としたという場所らしいんです。偶然に起きたことなのか、霊の仕業なのかいまだにわかりません。
——村木さん自身は大丈夫でしたか?
村木:疲労のせいだと思うんですが、撮影中に体が重くなり具合が悪くなることはありました。念のため撮影終了後には、映画で使ったかつらをすべて洗って、天日干しして塩を振りました。
——どうしてかつらを洗ったんですか?
村木:実は以前、お岩さんを扱っている白石監督の作品でヘアメイクを担当したときにも体調を崩したことがあるんです。撮影をした翌日に、真夏だったのに体の中からの寒気がすごくて、吐き気が止まらなくなりました。塩風呂に入ってみたら、のどの奥から私の意志とは無関係に「うう」という声が出てきて……。これはやばいと思い、知り合いの霊媒師さんに見てもらったら悪霊が憑いていることが判明しました。撮影が行われた古民家の前にあった大きな木の下の土をかつら汚しに使ったことが原因とのこと。
除霊をしてもらうとすぐに体調は良くなりました。ただ「悪霊なので、また戻ってくる可能性もある。かつらは洗うか処分してください」と言われ、すぐにかつらを洗いました。あとから調べてみると、その古民家では孤独死をされた方がいらしたという話を聞きました。
——そんな大変な目に遭ってホラー映画に参加するのは怖くないですか?
村木:霊は見えませんが、敏感な方なので、たぶん私はホラー向きじゃないのかもしれません。でも、白石監督の作品は好きですし、自分のメイクがよりリアルに世界観を伝えられるなら、怖くても参加してしまいます。怖さ以上にこの仕事が楽しいので、今後もどんなに怖いホラー映画でも、お話をいただいたら参加すると思います。
※映画『貞子vs伽椰子』より