インターネットテレビ局「AbemaTV」では、テレビ朝日系列の人気刑事ドラマが多数配信されている。AbemaTimes編集部では、刑事ドラマの魅力や正しい見方を学ぶべく長年の刑事ドラマを見続けてきたご意見番、「男の墓場プロダクション」局長・杉作J太郎氏にお話を伺うことにした。(全4回) 第一回はこちら
編:局長が好きな刑事モノっていうのはどういうなんでしょうか。
J:もちろん『西部警察』のようなアクション系ドンパチ系も好きですが、やっぱり大人に対する恐れと憧れみたいなものがありましたから、『非情のライセンス』の天知茂さんとか好きでしたね。
天知茂さん、「無抵抗の犯人を射殺した刑事」というのは国内初じゃないですかね?(笑)。
びっくりしましたよ!海外の映画ではありましたけど、国内テレビでは初めてだったと思いますよ。「3、2、1、バン!」って撃ってましたから。
編:めちゃめちゃ見たいですね。『非情のライセンス』は特命課ですか?
J:あれは特捜課。警視庁のふきだまりっていう、どこにもいられなくなった不良警察が集まってるんですよ。
天知茂は馴染みあるけど、葉山良二さんとかね。あと、左とん平さんも刑事でしたから。その特捜部のお手伝いをする、なんかラーメン屋の出前持ちだかギターの流しだか忘れましたけど、お手伝いする爆弾小僧みたいなのが北島三郎さんだったんですよね。ちょっと変わったキャスティングですね。80年代には柳生博、小野武彦さんも出てたりしますね。
編:第3シリーズまで続いて、73年から断続的に202回くらい続いています。
J:第3シリーズで終わらざるをえなかったんですね。天知茂さんは「昭和ブルース」って主題歌もずっと歌ってて。もう平成になっちゃいましたからね。「昭和ブルース」が使えない(笑)。
『非情のライセンス』は最後は全員死んだんですよ。天知茂以外が全員死んだんですよ。行きつけの飲み屋のママとか、飲み屋のボーイとか全部死んだんですよ。ボーイは角川博だったんですけど、角川博は最後生きてたかな?デカ長の山村さんも死んで。
最後は警視庁のど真ん前で、天知茂が犯人を殺して終わりましたよ。殺して、刑務所に『ガチャー』って入って終わりみたいな。主人公の刑事が刑務所に入って捕まって終わったんです。
シリーズ1から、時にはライバル、時には友情関係でやってた渡辺文雄が捕まえて終わりでしたね。僕、大好きだったんでショックでしたよ。最後に刑務所に入って行った時は、「もう、見れないんだ」・・・と思って。
ちなみにその時の犯人も無抵抗でした(笑)。警視庁のそれも、ロビーみたいなところで周りが全部警官で囲んでて、その中を『パン!』っ撃って。
編:そこがジャスティスの分かれ道ですよね(笑)。信頼できる男ですね。今だったら違う解決の仕方になっちゃうというか・・・
J:まあ「暴力反対」って分からなくはないんですけど、それならそれで、なんかやりようがないかなって思いますね。あとはやっぱり刑事っていうのが、実像と違ってきてるってのがありますよね。昔の方が本当の刑事さんに近いんじゃないですか?
編:確かに。暴力団ともつるむし、ギリギリの捜査するし・・・
J:昔の刑事はすぐ射殺してました(笑)
ホントはダメですもんね。何かのシーンで3人組犯人の逃走車を射撃して、ひっくり返すんです。その時点で犯人が2人死んでるですよ。
で、1人が這って出てきたら頭撃ってましたよ!
編:ひどい(笑)!
J:そこがジャスティスですから。
昔は凶悪犯には情状酌量とかないですから。
あと、僕がコワかったのは『大都会』パート3で寺尾聡が犯人を火炎放射器で丸焼きにするんですよ!
一番残酷ですよ。その後、渡哲也さんがスゴイ事言ったんですよ!ニコッと「スッとしたかい?」って(笑)。「やめてくれー!」って言ってる無抵抗の犯人を丸焼きですよ!?
あと、やたら囮捜査、盗聴が多かったですね。潜入捜査で麻薬中毒になる刑事とかね(笑)
事件解決してからそいつは戦いがはじまるっていう。今は危ないネタですけど、テレビでさんざん残酷さ見せられてますからね。
編:カッコいい刑事多かったですよね
J:僕も何回か警察に職質されたことあるんですけど、「オレは本当は1課なんだ」って脅されたことありますけどね。やっぱり誠直也みたいな刑事でしたよ。