1998年からスタートし大ヒットを記録し続ける『リング』シリーズ、そしてそれを追いかけるように翌年の1999年にオリジナルビデオが発売され、昨年『呪怨 -ザ・ファイナル-』でその歴史に幕を閉じた『呪怨』シリーズ。『リング』の貞子と『呪怨』の伽椰子という日本人なら誰もが知る、2人のヒロイン。絶対に出会ってはいけないこの2人が同じ画面に登場する映画『貞子vs伽椰子』が6月18日から公開している。
同作で貞子と伽椰子を始めとする全出演者のヘアメイクを手掛けたメイクアップアーティストの村木アケミさんに、今回監督を務めた白石晃士氏についての印象を聞いた。
——白石監督との印象的なエピソードはありますか?
村木:今回私は、全キャストのメイクを担当して、幽霊たちとも間近で接していました。その印象が強かったせいか、クランクアップした翌日に貞子の呪いのビデオテープの夢を見たんです。砂嵐の映像から貞子が現れて……。映画だと呪いのビデオを見た後には電話がかかってくることになっているのですが、その夢を見た直後、私の携帯も鳴ったんです。
やばい! 死ぬかもしれないって直感で思い、怖くて出ませんでした。翌朝見たら友人からの飲みの誘いでした(笑)。その後、白石監督に「呪いのビデオの夢を見て貞子に会いました」とお伝えしたら「2日後会ったら私(白石監督)の名刺を渡しておいてください」と笑ってお願いされました。結局、会えなかったので監督の名刺は渡せませんでした。
——白石監督はどんな方ですか?
村木:あれだけたくさんのホラー映画を作っていて、あそこまで霊をいないと断言する人いないと思います。人としては、細かな部分までものをみていて、人を見抜く力がすごいです。基本とても優しいです。
——監督は霊を信じていないんですか?
村木:普段、霊の話を監督に持ちかけると「そんなものはいませんから!」と一蹴されます。でも、あるときスピリチュアル系のかたが監督のご自宅を訪れたことがあるらしく、監督の仕事部屋の前に立つと「この部屋には入ることができません」と言ったそうです。理由は定かではないです。監督は自身の作品で、きつねや河童やへびなど、化け物に化け物をぶつけ退治する描写を度々撮影されているので、それらの霊が集まってきたのかもしれませんね。もしかしたら、監督に信じてほしいのかもしれないです。
——霊を信じずにホラー映画を作るというのはすごいですね!
村木:信じていないというか、見えていないだけで、すでに共存しているというか……。『貞子vs伽椰子』に出演されていた田中美里さんは若い頃よく霊が見えていたようで、本当の霊っていうのは血が噴き出したり髪の毛がボサボサだったりはしなくて、私たちの生活のなかに普通の人間のようになってまぎれているそうです。スクランブル交差点などで遠くからジッと見つめられて、すれ違いざまに「君、見えてるんだよね」と話しかけられることがあったのだとか。
監督は信じていなくて見えていない分、想像力が掻き立てられるんだと思います。だから、監督の作品は刺激的で、日常生活では味わえないスケールの大きさがあるのかもしれません。監督ももしかしたら、仕事中に話しかけられているかもしれないです。こんなこと言ったらまた「絶対ありません!」と一蹴されますが。
※映画『貞子vs伽椰子』