三越伊勢丹の大西洋社長が、営業不振を理由に退任することが明らかになった。いま、全国で百貨店の閉店が相次いでいる。首都圏だけでも西武春日部店、そごう柏店、西武筑波店が閉店し、三越多摩センター店、三越千葉店、大丸浦和パルコ店が閉店予定だ。

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 百貨店の閉店が相次いでいる大きな原因は売上高の激減。日本百貨店協会の調査によると百貨店売上高ピークは1991年の12兆円、売上低迷を続けたあと経営統合するなどしたが、特効薬とはならなかった。そして2016年度は36年ぶりに6兆円割れし、ピーク時の半分まで落ち込んでいる。

 売上激減の主な要因は衣料品の売上減だと言われている。食料品から家具まで取りそろえる百貨店の収益の要はファッションで、衣料品の売上シェアは百貨店全体の4割を占める。その衣料品が売れなくなっている。では、いままで百貨店で衣料品を購入していた人たちは、どこで衣料品を買っているのだろうか。

 街の若者の声を聞くと、大型ショッピングモールやネット通販で購入するという声が多く聞かれた。街では「ショッピングモールとかだと色々なお店が集まっているから一気に見られる」「ネットで買う方が安い。実際店頭で見てネットで安く買う」「(百貨店は)ブランドばかりで高いイメージ」などの声が寄せられており、郊外のショッピングモールや、ネットで購入する若者が大半だという。

 少子高齢化が進み、生活に便利な都心に人が集まってきている中、百貨店業界は生き残りをかけ、都心店に力を入れ始めている。

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 都心では、駅直結など立地条件を活かした店舗に力を集中。大丸東京店は2007年、2012年と2回のリニューアルでお店のレイアウトを大幅に見直した。百貨店では一般的に1階は化粧品売り場になっていることが多いが、この店舗では1階を食料品売り場にした。地下1階も食料品売り場なので、食料品の売り場面積をおよそ2倍にしたことになる。化粧品売り場は2階になり、女性客が男性の視線を気にせずに買い物ができると好評だという。

 大丸東京店の鈴木徹さんは「大丸東京店では1階に食料品を置くことによって、旅行中のお客様やビジネスマンのお客様に買い物がしやすくなったと好評です。上の階にも人が流れるようになりました」と語る。

 以前の百貨店では“シャワー効果”と呼ばれる経営戦略があった。大食堂や催事場といった集客力のあるコンテンツを上の階に配置することで、上の階へ一気に集客し、下の階へと誘導していく。それがいまは、下の階に集客力のある売り場を置いて、上の階に促していくという“噴水効果”を狙った配置にレイアウトに方針転換したという。

 百貨店の生き残りをかけた新戦略は、果たして功を奏すのか。今後も目が離せない。(AbemaTV/原宿アベニューより

(C)AbemaTV

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