「今日生理なの？」相次ぐ就活中のセクハラ被害、注意呼びかける大学も

　「憧れの会社に就職したい！」と夢を持つ学生に忍び寄る、就活セクハラ。「誘いを断ったら就職できないかもしれない」という学生の弱みにつけこみ、その手口は年々悪質化している。

　SHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇～日本一過激なオンナのニュース』（AbemaTV/アベマTV※毎週土曜23時から放送中）では、就活セクハラを経験した女性たちが集合。「悪質化する就活セクハラ」をテーマにその実態を語った。

▲Business Insider Japan記者の竹下郁子さん

　そもそも「就活セクハラ」とは何なのだろうか。就活セクハラに詳しい、Business Insider Japanの記者・竹下郁子さんによると、就活中の面接やOB訪問、インターンシップの間に、就職に携わる企業の人から学生がセクハラ被害に遭うことを「就活セクハラ」と呼ぶという。

「（就活セクハラの）現場を見たことがある。渋谷のカフェで仕事をしていたら、リクルートスーツを着た女子大生と社会人の男性が1対1で話していた。男性のほうから女子大生に『彼氏はいるの？』『これまでの経験人数は？』って聞いていた。編集部の記者が同じようなケースを複数人目撃した」（記者・竹下郁子さん）

　よくあるOB訪問の光景だが、竹下さんは社会人男性の言葉に耳を疑った。「昼間のカフェでこんなセクハラが行われているなんて」と感じた竹下さんは、今年の1月から就活セクハラについて、取材を開始した。

■どこからがセクハラ？大手ゼネコンの男性社員が強制わいせつの疑いで逮捕

　竹下さんはBusiness Insider Japanで実施した「就活セクハラ緊急アンケート」を紹介。学生、または社会人1～2年目の人に就活セクハラに遭った経験を聞いたという。

「就活中に『セクハラに遭ったことがある』と答えた人が約半数だった。2月の下旬に大手ゼネコンの大林組、住友商事の報道が出ました。この事件で世間に就活セクハラが知られるようになったけど、もっと社会問題として可視化していかないといけない」（記者・竹下郁子さん）

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　ハラスメントの内容は「容姿について言及される」といった発言に関することから始まり、「身体を触られる」「性行為を強要される」という身体的接触まで。最近では、今年の2月に大手ゼネコンの株式会社大林組の男性社員が女子大生を自宅に連れ込み、わいせつな行為をしたとして、強制わいせつの疑いで逮捕された。

　また、3月には住友商事の男性社員が女子大生に酒を飲ませ、乱暴をしたとして懲戒解雇に。その後、準強制性交と窃盗などの疑いで逮捕され、問題になった。

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　実際に、大学院生の町田彩夏さんは、広告系企業の面接で就活セクハラを受けた経験がある。

「広告系の会社の採用面接を受けていて。セクハラだと思ったのは容姿に関する言及を必要以上にされたことですね。面接官から『容姿や性別を売りにしているように見える』『化粧が濃い』『スカートが短い』って言われたんです。化粧は今日のメイクと同じくらい。スカートも膝丈くらいで、大手が出している普通のスーツを買って着ただけ。そこまで極端に短いわけじゃないのに女性を売りにしているように思われた」（町田彩夏さん）

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▲町田彩夏さん

　町田さんによると、面接官は50代以上の男性だったという。面接官はその後も「君みたいに容姿の綺麗な人がハキハキしゃべるのが気に入らない」「分からないふりをして答えたほうが可愛らしい」などの言葉を町田さんにぶつけた。

　後日、次の面接では、町田さんはアドバイス通りに眉毛にコンシーラーを塗るなどして化粧を薄くし、なるべく可愛く思われるような受け答えをした。だが、そうして臨んだ面接で今度は人事担当の女性に呼び出され「体調悪かった？今日、生理なの？」「ESと比べると顔が違う」などの指摘を受けた。町田さんは、当初はセクハラだと思っていなかったが、母親に経緯を話すうちに「それ、ちょっとおかしくない？」と言われ、セクハラやパワハラに気づくことができた。

　町田さんの話を聞いた働くアラサー女性のための情報サイト「ウートピ」編集長の鈴木円香さんは「社会人経験のない学生が、選ぶ立場にいる会社の人に『化粧が濃い』『スカートが短い』と言われたら『それが社会のルールなんだな』と思ってしまう」と指摘。番組MCのSHELLYも「純粋な子だったら自分を染めていってしまう」と警鐘を鳴らした。