先月4日夜、東京都新宿区からタクシーに乗り込んだ物静かな男が、人気の少ない江東区青海付近で停車を要求すると突然、タクシー強盗に豹変した。
「電気消せよ」「ライト消せよ 早く」「いいからエンジン切れオラ」
 後部座席から身を乗り出すようにして運転手に凄んだ男は、右手に持っていた刃物を運転手の首元に突きつけると、「ポケットに入っているもの全部出せ」などと要求。運転手が「ないんですよ 釣り銭も」と応じると「動くなよ」と声を荒げ、ガムテープで運転手を縛り上げて降車させ、運転手の所持金約6000円と売上金含めおよそ2万円を奪い、タクシーを運転して逃亡。その後、小椋一正容疑者は逮捕されたが、一連の逮捕劇の裏には、密室での恐怖に襲われながらも咄嗟の機転を利かせた運転手の好判断があった。