東京都、宣言解除基準“600人”なら8月初旬になるとの試算も…先立つ対策がない苦しさ
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 12日から延長となった緊急事態宣言。新型コロナウイルスの感染拡大は日本経済にどれほどの影響を与えるのか。

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 東京大学の仲田泰祐准教授らのグループは、ワクチンの接種スピードが遅いと再度の緊急事態宣言が必要になるという、東京都の感染状況のシミュレーション結果を発表した。ワクチン接種が週360万本(1日50万本強)の「基本見通し」では、5月末の緊急事態宣言解除後、8月第1週で感染者数が急増した後に急減するグラフが描かれているが、これはその時点で緊急事態宣言が発令されることを想定している。一方、ワクチン接種が週650万本(1日90万本強)の「希望見通し」では、感染者数は高い山で1000人程度に抑えられ、その後は緩やかに減少するカーブを描いている。経済損失は、基本見通しでは約3兆円、希望見通しでは約1兆5000億円を想定している。

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 また、緊急事態宣言の解除基準と新規感染者数の関連をみたグラフでは、一日あたりの新規感染者600人を解除基準とした場合、600人を下回るのは8月の第1週ごろ。つまり、東京オリンピックが開催しても緊急事態宣言が解除できないことを意味している。

 ただ、このシミュレーションは不確定な部分もあるといい、テレビ朝日経済部の村野俊デスクは「仲田准教授の話によると、ひとつは変異ウイルスの感染力。通常株の1.4倍という設定だが、これが本当なのかはまだわからない。もうひとつは、ワクチンの接種スピードと人と人との接触削減が見えないというところで、このシミュレーションがどれだけ正確かはわからないとしている」と話す。

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 シミュレーションでは経済損失もかなり大きいが、一連の政府の対策に経済界はどのように反応しているのか。11日に行われた西村経済再生担当大臣と経済3団体のテレビ会議では、経済界から厳しい反発があったそうで、「出勤者の7割減を達成するために、西村大臣はテレワークの達成率を企業ごとに公表したらどうかと提案した。しかし経済団体からは、テレワークのしやすさは業態によって違うため数字がひとり歩きする、有利な企業と不利な企業が出てきてしまうので勘弁して欲しいと反発があった。百貨店にしても、東京都は休業要請と厳しめのものを出しているが、百貨店側からすると協力金も足りないし従業員の雇用も守っていけないということで営業を再開している。人と人との接触を避けなければいけないが、それに先立つものがないところに今の対策の苦しさが出ている」とした。

 西村大臣に対しては「現場をわかっていないのではないか」といった意見もあるが、この溝は埋まっていくのだろうか。村野デスクは「いくつかアイデアを出すことが大事ではないか。西村大臣自身、お膝元の部署でなかなかテレワークが実現できていないところもあって、“笛吹けども踊らず”というところ。それを解消しようとしているうちにワクチン接種が進んでいくという、ズルズルの対応になるのではないかと予想している」と懸念を示した。

ABEMANEWSより)

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