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■変貌するホストクラブ業界

煌びやかな服装で女性たちをもてなすホスト達。トップクラスになれば、年間1億円を稼ぐともいわれる。しかし、ホストを辞めた後の彼らが、どんなセカンドキャリアを送っているのか、あまり知られてはいない。AbemaTV『AbemaPrime』では、そんなホストたちの事情に迫った。

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 現在4つのホストを経営している、元カリスマホストの手塚マキ氏。歌舞伎町歴20年以上で、この街のことなら何でも知っている。手塚さんの会社に勤務するホストの年齢は、20~24歳が41%、25~29歳が30%、30~34歳が17%、35~39歳が8%、そして40歳以上が4%となっている。

 「20年くらい前は20代しかおらず、30代になったら引退という流れだった。年齢層が徐々に上がってきていて、歌舞伎町で売れているホストは30代が多い。ホストの側も、以前は"1、2年でお金を貯めてやるんだ"という人が多かったが、今は30代で、しっかりした"職業ホスト"が業界の主流となっている」。

 1960年代に誕生したホストクラブ。当初、客層はいわゆる"セレブ妻"だったが、90年代には若い女性客も増加。最近は、お酒を飲んで時間を過ごす相手として、30歳過ぎで、キャリアのあるホストを選ぶ人の方が多いのだと手塚さんは話す。さらに、InstagramやTwitterを駆使、服装も非常にカジュアルな"会いに行けるアイドル"的な次世代ホスト「ネオホス」が人気を博しているのだろいう。

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 ホスト歴10年の一朝陽さん(31)も、変化を感じている一人だ。「"ずっと来たくて、10年越しにきました"というようなお客様も多い。昔は世間的に良くないイメージだったホストも、一つの職業として認められつつあるのかな」。

■"再就職にはやはり不利"

 歌舞伎町のホストクラブで1年半ほど勤務した後、セカンドキャリアを成功させた白坂翔さんは、若者に人気のボードゲームで遊ぶことができるカフェを経営している。渋谷の店にはおよそ500種類のボードゲームが並び、都内を中心に6店舗を展開中だ。

 「会社設立の資金を貯めるためにやっていたが、社会でも求められる接客スキル、営業スキル、対人スキルが培えた。ただ、元ホストが普通の会社に再就職するのは厳しいと思う。だからホストの道を究めるか、自分なりにビジネスを考え、会社を起こすか。ホストって、ひとりひとりが社長みたいなもので、自分の頑張り次第でいくらでも売り上げに差が出る職業。そういう意味では究極の経営者だと思う」(白坂さん)

 介護福祉士として働く湯本亘さんは、神戸・三宮のホストクラブに勤務したあと、特別養護老人ホーム「大慈弥勒園」(神戸市)に転職した。2015年には介護福祉士資格を取得し、現在は主任として活躍中だ。

 「ホストとしての経験が様々な点で生かされている。特に老人ホームにいる高齢者は女性が多い。日々、容姿の変化に声をかけてあげると喜ばれる。ホスト時代からやってきたことだったので、ホストのセカンドキャリアには最高の職業だ」(湯本さん)。

 手塚さんは「今、空前のホストブームで、たくさんの人をリクルーティングしようとしている。同じように出口に関しても準備をしていかないといけない」と話す。

 「再就職にはやはり不利。皆さん元ホストを雇いたいと思いますか?。イメージが悪く、家も借りられないですからね。水商売をやっていたという過去があるから、バーテンダーになるとか飲食店で働くなど、どうしてもそこに近い所で働く人が多い。でも、ホストという仕事は、"+1"の仕事。介護の仕事というのは"コーヒーを出すことではなく、下のソーサーを出すこと"という話を聞いたことがあるが、僕たちの仕事もまさにそういうもの。だからホストで培ったホスピタリティーを必要としてくれるような状況になってくれると僕は嬉しい」(手塚さん)。

■ホストに"社会性と教養を" 歌舞伎町に書店を設立

 「歌舞伎町という街が村社会。ホストたちには、そこから一歩出ることに怯えている部分がある。そこから一歩出ると能力を発揮できない人が意外と多い。物事を知らないとか、勇気がないとか。僕自身、現役時代は本当に何も考えていなかった。とにかくその時々のことしか考えられなかった。先輩には成功例もないし、刹那的に頑張るしかない状態だった。でも、従業員を雇って、自分よりも10歳以上若い中卒のやんちゃな男の子達の面倒を見なければいけないという責任を負ったことがターニングポイントになった」と振り返る手塚さん。

 そんな手塚さんはホストクラブ経営の傍ら、ホストたちのセカンドキャリアに繋がる活動を精力的に行っている。

 その一つが「夜鳥の会」という、現役ホストたちとのごみ拾い活動だ。営業開始前、歌舞伎町のごみ拾いをするプロジェクトで、10年以上前から月に1度実施してきた。歌舞伎町の地域パトロール隊とも気さくに言葉を交わし、地域の人との和やかな雰囲気を感じさせる。

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 「僕たちがごみ拾いをするのは従業員教育になるから。彼らの中には、まだ歌舞伎町に来たばかりの子たちがごみ拾いをすることで、地元愛が出てくる。そうすれば、地元で悪さしようとは思わないし社会性を持つ第一歩になる」(手塚さん)

 手塚さんはごみ拾いの他、路上禁煙撲滅運動を通して社会性の重要さをホスト達に伝えてきたほか、ソムリエ資格取、そして読書を推進することで、教養を身につけることを求めている。

 「お客さんが嬉しい時に一緒に喜べるようになる、お客さんが悲しい時に一緒に悲しめるようになる、というのが僕らの教育だと思っている。感性の幅を広げるためには、地域との関わり合いなどのほか、映画を見たり、本を読んだりするようなことが大切」との考えを示した。

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 「学歴もないし、世の中のこともわからない。ホストとしては売れたけど、その後どうするんだってなった時に、どうしていいのかわからないというのがずっとホスト達の悩みだった。そこで社会性や教養という部分が必要だと思っている」。その思いが形になったのが、10月7日にオープンする書店だ。クラウドファンディング「Makuake」でも支援を募ってきた。

 「"LOVE"をテーマにしていて、"愛"に関する本を1000冊置く。黒と赤とピンクにジャンル分けしていて、例えば"純愛"のピンクには三島由紀夫の『潮騒』。夏目漱石の『こころ』は黒」。

 このお店は書店とハンバーガーショップ・ワインバー・イベントスペースが一緒になっている。

 「心が摩耗する商売なので、辞める人もいると思う。そういう人たちが社会に出た時に、"元ホスト"であることを活かせる仕事に就いてもらいたい。自分の今までのキャリアを生かせて、社会に何かしら“セカンドキャリア”を作っていくのを僕は見たい。そういう人たちのサポートもしたい」。手塚さんの挑戦は続く。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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