時には12時間を超える将棋のプロ対局で、対局している棋士同様に、自分の体力などと戦っているのが記録係だ。プロ入り前の若い奨励会員が務めるが、対局状況によってはトイレに行くのもままならず、足は痺れ、眠気も襲ってくる。そんな記録係に“ご褒美”が贈られることもあるという。

 記録係を何度も務めてきた藤森哲也五段(30)は、AbemaTVで対局の解説中、奨励会員時代の思い出を語り出した。「記録係の思い出ならいっぱいありますよ。かなりいい勉強になりますし。特権ですよね。でもトイレにめちゃめちゃ行きたくなった時は、大変ですよ」と笑った。“生きた教材”が眼前で真剣勝負をするのだから、これ以上の勉強環境はない。だが、いつ指すか分からないものずっと待つ記録係には、苦労もつきものだ。

 そんな苦労が報われた瞬間が、トップ棋士の1人、屋敷伸之九段の対応だ。「対局が終わって感想戦も終わった後、僕が思っていたことを対局者に質問すると、結構教えてくれることがあるんです。昔、屋敷九段がそこから1対1で感想戦をやってくれたことがあるんです」と明かした。見ているだけでも勉強になるところを、終えたばかりの対局についてマンツーマンで指導となれば、プロを目指す若者にとってはまさに神対応だ。

 藤森五段は「場所は特別対局室だったんですけど、僕が下座に座って。奨励会員だったので、そこに座るのも(恐れ多くて)どうかなとも思ったんですが、屋敷先生が優しく『そこに座って』と言ってくれました」と振り返った。どの世界でも先輩から後輩に技術は知識が伝えられていくが、将棋界ではこんなシーンもあるようだ。

(C)AbemaTV

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