「中国の王毅外務大臣は(過去5年間に)のべ262カ国を訪問している。日本はわずか97カ国。ほぼ3倍近い訪問国の差がついている。専用機を使えると、訪問国を増やす上でも非常に大きな役割を果たすと思う」

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 河野外務大臣は、専用機があれば急な日程の変更や会談の申し入れにも機動的に対応できるとして、2019年度の予算編成に向けて専用機の検討を進める考えを示した。

 すると河野外務大臣のこの提案が「おねだり」と一部で報じられてしまった。この“おねだり報道”に対して19日、河野外務大臣は「“おねだり”などというふざけた言葉をメディアが報道に使うというのは私には信じられない。揶揄するような報道は極めて遺憾だと思っております」と怒りをあらわにした。

 ではそもそも“外務大臣専用機”は必要なのか?『けやきヒル’sNEWS』(AbemaTV)では、元外務省官僚の村上政俊氏に見解を聞いた。

 外務大臣専用機の導入は「以前から議論されていた」と話す村上氏。「外務大臣専用機が必要じゃないかという議論は少なくとも10年以上されている。今回の河野外務大臣の発言によって注目が集まった。(おねだり報道には)ムキにならなくてもいいんじゃないか」と、注目を浴びたのはいいことだと指摘する。

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 現在運用されている政府専用機は天皇陛下や総理大臣が使用し、羽田空港から直接各国の空港に飛べることから時間的なロスが少ない。一方で、外務大臣の専用機はなく、日系航空会社の通常フライトを使用してきたという。

 今回、河野外務大臣が主張したのは中国・王毅外務大臣との外遊回数の差。これについて村上氏は「私が外交官をしていた10年前との大きな違いは、中国の存在感が急速に大きくなっていること。それに対抗する意味で、日本としても機動的な外交をしていかなければいけないという考えだと思う。また日本の外務大臣は中国と違って国会に縛られているというハンデまである」と河野大臣の考えを推測した。

 続けて民間機利用のデメリットを指摘。「スケジュールを調べてできるだけ時間のロスが少ないフライトを組むのが官僚の重要な仕事となっており、これがとにかく大変。訪問して会談した相手と盛り上がったとき、『今から晩御飯でも食べていこう』と誘われても『飛行機の時間がある』と帰らざるを得ないケースも多かった。ネットの時代になったとはいえ、直接会談して会食で関係を深めていくことは大切。外交のトップにいる外務大臣が機動的に動くのは今すごく大切なこと」と外遊の重要性を訴えた。

 また、時間のロスは今後の外遊へも影響するとし、「安倍政権が長く続くことによって、今までなかなか目配りできなかった、外務大臣がなかなか行けなかった国にも行けるようになってきた。そういった国に民間機で行く場合、直通便がないので5時間空港で待つということはざらにある。外務大臣はバックパッカーではないので、そういう風に時間をロスするのはもったいない。専用機を使って個人的に『楽をしたい』『ゆったりしたい』ということではないと思う。国益を考えて欲しい」と見解を述べた。

 ちなみに一部報道では専用機の導入には74億円かかるとも言われている。

(AbemaTV/『けやきヒル’sNEWS』より)

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けやきヒル’sNEWS キャスター:徳永有美 | AbemaTV(アベマTV)
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