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 9日、佐川宣寿国税庁長官が辞任を発表した。同日夜に行った会見では「理財局局長時代の国会対応に丁寧さを欠き、国会審議の混乱を招いたこと」「行政文書の管理状況について様々な指摘を受けていること」「決済文書の国会提出時の担当局長であったこと」と、森友学園問題で混乱を招いたことに対する引責辞任であることを説明。「申し訳ありませんでした」と頭を下げた。

 さらに、森友学園問題を巡っては、担当していた近畿財務局の職員が自殺したことも判明。AbemaTV『AbemaPrime』に出演した元経産省官僚の宇佐美典也氏は「キャリアはノンキャリアを守らないといけない」と涙ながらに訴えた。

 「地方局、ましてやノンキャリアとなるとあまり政治と関わることはない。財務省はノンキャリアを専門家として育てるが、地方で専門家として育てられた方が政治に巻き込まれて、こういう最期を遂げるというのは個人的にはすごくショックだった」と話す宇佐美氏。森友問題のここまでの流れについては「籠池さんなど色々な人が出てきて、皆さんが熱に浮かされたように楽しんでいた面があると思う。しかし、ここで1回冷静になって問題の構造を見てもいいのではないか」と指摘する。

 続けて、宇佐美氏はキャリアとノンキャリアの役割とともに、財務省内の環境と関係を危惧する。

 「日本の国家公務員は政治性を帯びてしまう。国会対策も行うし、国会議員や大臣に対して政策や法案をレクチャーする。逆に、国会議員から陳情を受けるとか、政治家に対して前に立つのがキャリア。一方で、ノンキャリアは実務をきっちり行う。行政は申請がたくさんあって、財務省だったら税の申告もある。理財局だと50兆円、100兆円規模の財産を持っていて、膨大な契約に漏れがないようにこなすという役割。キャリアがノンキャリアの働ける環境を守ってあげて、ノンキャリアは職務に専念する。そういう関係にある。それなのにノンキャリアが自殺してしまったというのは、財務省の中でノンキャリアとキャリアの絆がおかしくなってしまうのではないかという不安がある」

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 一方、講談社の瀬尾傑氏は佐川氏が会見を開いたタイミングに疑問を呈し、「佐川長官の会見を見たが、(辞任の)理由がよく分からない。国会を騒がせたなど3つの理由を挙げていたが、このタイミングについての説明ではなかった。あえて推測すると、自殺された方は森友学園の担当として関わっていた財務専門官、ノンキャリアの方。佐川長官が逃げ回っている中で問題が大きくなって、結局そのしわ寄せが近畿財務局のノンキャリアの方に来た。職員の方が亡くなった原因は分からないが、もしキャリアの後始末がノンキャリアに押し付けられたとすると、深刻な対立になって組織が持たなくなる。そういう意味で、佐川さんが辞めたのは、国会や国民に対する責任というよりも、むしろ財務省という組織を守る組織防衛だと思う」との見方を示した。

 瀬尾氏の見解を受けて宇佐美氏は「最初に入った部署がノンキャリアの方が多いところだった。そこにいた時に『キャリアというのは俺たちノンキャリを守ってくれて、だからこそお前らは出世するんだと。だからお前らを信頼するから』ということを何回も言われた。毎晩毎晩言われた。今回の件でも、やっぱりキャリアはノンキャリアを守らないといけないと思った。ノンキャリアが組織としてキャリアを守って、ノンキャリアを前面に立たせて自殺に追い込むというのはキャリア制度全般を否定するような組織行動だと思う。本当に守るべきは現場のノンキャリアで、キャリアは前面に立って答弁すべきだったと思うし、政治家もそれを促すべきだった。もしくは政治家が前面に立って、佐川さんを守るべきだったかもしれないが、やっぱりこういう形でノンキャリアが死んでしまうと、キャリア制度が死んでしまうと思う。これを機にキャリアとノンキャリアの関係、政治とキャリアの関係をもう1回見直さないといけないと思う」と涙ながらに訴えた。

(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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