米国の調査機関「Pew Research Center」によると、2010年のイスラム教人口は約16億人だった。イスラム教の信者は年々増え続けており、2070年には、ほぼキリスト教と肩を並べると予測されている。さらに2100年までには、イスラム教人口が世界人口の約35%となり、キリスト教を上回るという予想が発表され、今やイスラム教はまさにグローバルな宗教だ(データ出典:Pew Research Center)。
『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』(AbemaTV/アベマTV ※毎週土曜23時から放送中)では、産休期間中の番組MC・SHELLYに代わり、タレントの鈴木ちなみが“お留守番MC”として登場。「イスラム女子のニッポンLIFE!」をテーマに当事者たちのリアルな声に迫った。
イスラム教における「ハラーム」とはアラビア語で“禁止されているもの・こと”で、逆に「ハラール」とは「合法」という意味のアラビア語だ。食に関しては、イスラム教徒が問題なく食べられるものを指す。
特に豚肉はイスラム教で禁じられているが、日本に住んでいると豚肉を避けて食事をすることはなかなか難しいのではないだろうか。
バングラデシュの人口は約1億6000万人で、そのうちの88.4%がイスラム教を信仰している(バングラデシュ統計局2016年)。このバングラデシュ出身で19年前に来日し、日本人と結婚したイスラム教徒のティナさんは、自身の家族へのお弁当は全て手作りしている。
ティナさんは、子供の学校に給食があっても「給食と同じメニューだけれど、ハラール料理として食べられるお弁当を作っている」と明かす。さらに「宗教だから自分で守るしかないし、何千人もいる生徒の中でうちだけに『(別で)作ってください』なんて言えない」と話し、日本ではイスラム教徒向けの食べ物の選択肢が少ないと苦言を呈した。カレールーも「日本のカレールーにはラード(豚の脂肪)が入っているから使えない」と話す。
インドネシア出身で仕事をきっかけに3年前に来日したファティナさんも「ゼラチン(原料に動物のコラーゲンが含まれる)が入っていることも多い」という。インドネシアの人口は約2億5500万人で、その内87.21%がイスラム教を信仰している(出典:インドネシア宗教省統計)。
MCの鈴木ちなみが「(豚肉を食べないことは)マストで守らないといけない?」と質問すると、ファティナさんは「人によってルールの捉え方が違う。豚は食べるけどお酒はNGにしている人、お酒は飲むけど豚はNGにしている人もいます」と説明する。
さらに、ファティナさんは「ちゃんとイスラム教について勉強している人は、ハラームなもの(イスラムの戒律で禁止されているもの・こと)を口にしたら40日間礼拝しても許されなかったり、1日5回礼拝しているのに礼拝しても受け入れられなかったり、ということもあります。損しかしないですよね」と続けた。
(モロッコ出身で10年前に来日したLISAさん)
モロッコ出身、結婚を機に10年前に来日したLISAさんは「豚は身体に悪いから本当は食べてはいけない」と話す。これを聞いた鈴木が「豚肉が大好きなのにそんなことを言われたら……」と言葉を濁すと、LISAさんは「豚だけは絶対に焼かないといけない。豚肉は生で食べると健康を害するという古くからの知恵で、それくらい身体に悪い」と主張した。
LISAさんは、日本にやってきた当初は「商品のどこを見ればいいか分からなかった」と振り返る。LISAさんは「漢字を一生懸命習って、スーパーに行っているときも表示を見て、“豚”の漢字がないか確認をする」と話し、「日本で最初に覚えた漢字が豚だった」と説明した。
(番組に出演したファティナさん)
しかし、LISAさんと同じように外国から来日して戸惑うイスラム教徒は後を絶たなかった。ファティナさんによると、日本に来て外食で困惑してしまうイスラム教徒の声に応えるため、近年はハラール料理(イスラムの方式で正しく処理された食べ物)を出しているお店が探せる「ハラールグルメジャパン」などのアプリも誕生したという。アプリの誕生によって、以前よりはハラール料理のお店も探しやすくなったと明かした。
(AbemaTV/『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース~』より)
(※放送内容は個人の見解であり、イスラム教徒全体のものではありません。)
(C)AbemaTV
(ライター/小林リズム)
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