平日午前9時55分から放送中のテレビ朝日系の街歩きバラエティ『じゅん散歩』。“いい加減すぎる男”として知られるタレント・高田純次が、ふらりと街角を訪ね歩くこの番組で、名物となっているのはご当地グルメでもなければ美しい景色でもない。

ネット上の視聴者によって注目を集める同番組の魅力といえば、やはり高田による“テキトートーク”だ。 「普通の街歩き系とは違って、有名な観光スポットをほとんど回らず、ありふれた街並みを散歩して一般人に対してテキトーに絡む。これは高田さんにしかできない内容の番組ですね」 同番組の持つ魅力についてそう語るのは、某テレビ雑誌のベテラン記者。

たしかにここ数年、街歩き番組は各局ともに数多く登場し、視聴者の間でも人気ではあるものの、その大半はその地域ごとのご当地グルメや観光スポットを中心に展開するタイプのもので、同番組のような独特の行き当たりばったり感の漂う作風はそう多いものではない。無論、その魅力を生み出しているのは、散歩人である高田ならではの言動の数々だ。 「フジテレビの『有吉くんの正直さんぽ』や、テレビ東京の『モヤモヤさまぁ~ず2』でも、一般人との同じような絡みはあるんですけど、それを毎日ですからね(苦笑)。しかもボケるのは一般人ではなく、高田さん本人。この真逆な展開も斬新です」。

同番組のファンならば誰しも知っていることではあると思うが、高田といえば、一般人相手でも独特の「ボケ」を挟んでくる。一部抜粋してみよう。

「お仕事中すいませーん、じゅん散歩って言ってねー、私がジョージクルーニーなんですよ」(3月2日放送『三ノ輪橋』)

「キムタクだよキムタクだよジョニーデップだよ~」(3月16日放送『葛飾区鎌倉』)

「あ、こんにちは、かわいいねー。アンパンパンだよ!アンパンマンのメロンパンナちゃん!チューしていいですか?」(3月25日放送『台東区鳥越』)

といった“テキトー自己紹介”はもちろんのこと、散歩中に訪れたスポットについても、

「ここは混浴ですか?…なーんだ、混浴だったら入ろうと思ったのに」(3月2日放送『三ノ輪橋』・銭湯前のおばあちゃんに向かって)

「ご主人、これはお好み焼やめてお化け屋敷にしようよ」(3月4日放送・個性的なお好み焼き店を訪ねて)

「いやー、カナダは広いね」(3月17日放送・実際には水元公園)

といった具合だ。その他にも、

「僕は作家をやっているんだけど、やっぱ万年筆は必要だよね?」(3月2日放送)

「今日もこの神社から入りますよ。とにかく一軒は神社やっとかないと、プロデューサーから蹴りが入りますから」(3月9日放送)

「『石炭のできるまで』っていう番組なんだけど」(3月9日放送・おばあちゃんから番組名を訊ねられ)

「葛飾柴又って言ったらみんな寅さんから行くんだけどね。帝釈天とか。当然うちら帝釈天行きません。チョリース!」(3月14日放送『葛飾区柴又』)

「私、高田という怪しい者なんですけど」(3月14日放送『葛飾区柴又』・個人宅のインターホンを押して)

「皆さん女子大生でしょ?」(3月15日放送・幼稚園前にいたママ達に)

「私は25歳から5年間、この御徒町の宝石の卸屋さんで仕事してました。今でも私はひと目でダイヤかルビーか分かります。え?誰でも分かるって?ですよね」(3月21日放送)

「今、ちょっと1000万くらいしか持ってきてないんだけど。1000万はベトナムのドンで持ってきたんですよ」(3月22日放送)

「僕がお嬢さん抱っこしようか?」(3月23日放送・犬を抱いていた女性に)

「お尻でしょ?これ」(3月25日放送・ハート型のラテアートを見せられて)

などテキトー発言をほぼ毎日連発。こうした通常の街歩きバラエティではあまり見かけないような独特の散歩ぶりこそが、同番組の見所なのだと前出記者は指摘する。

「正直さんぽもモヤさま2も、土日の番組なので、旅番組要素があってしかるべきなのですが、じゅん散歩の場合は平日の午前。何も難しいことを考えずに、ぼーっと眺めているだけで楽しめるこの独特なテキトーさ加減が魅力だと思いますね。派手な演出もなく、爆笑よりもクスッと笑える感じ。そのちょうどいい加減が、心地よいんです」 こうした独特のテキトーすぎる散歩ぶりに加え、時折、変わり行く街並みを眺めながら、若い頃の想い出を語ったり、好きな曲をピアノで演奏したりと、意外な一面も垣間見せる高田。

その土地で暮らす人々にとっては、ありふれた街並みですらも、一瞬にして珠玉のエンタメ空間に変えてしまう“高田マジック”に、今後も多くの視聴者からの期待と注目が集まりそうだ。

テレビ朝日『じゅん散歩』は平日午前9時55分~放送中