新天皇の即位によって、これまでの皇室と大きく変わるところがある。それは"皇太子がいなくなる"ことだ。また、そのことで浮上しているのが公務のご負担問題だ。
29日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、まもなく訪れる「令和」時代の皇室について、皇室ジャーナリストの近重幸哉氏に話を聞いた。
公務には国会召集、総理大臣や最高裁長官の任命、外国の大公使接受などの「国事行為」と、国体など国民的行事への臨席、外国の公式訪問や訪日要人との面会、被災地訪問などの「公的行為」があり、おおよその数は決まっているのだという。
「この他、"こうした国際会議があるので出てください"ということで特別にお受けになるし、"チャリティの音楽会があるので来てください"という依頼に対して天皇皇后両陛下は基本的に断らずにお出ましになってきた。それは各方面に対し、広く言えば人類に対して常に平等であるというお考え、お立場から。ただ、このスタイルによって、両陛下のご公務、お出ましが増え、負担が大きくなったということがあるので、今後はそこを見直していったほうがいいのではという考えも出ている。実際、有識者たちの提案によって、ご公務軽減についても話し合われたが、天皇陛下は"天皇の務めは天皇が果たすべき"というお気持ち、姿勢を貫かれてきた。それは2016年の８月にお言葉を述べられた時の"全身全霊をもって"というところに現れていたと思う」。
昨年のご公務の日数を見てみると、天皇陛下273日、皇后陛下242日、皇太子さま196日、雅子さま86日、秋篠宮さま206日、紀子さま181日、眞子さま81日、佳子さま29日となっている。近重氏によると、ここに宮中祭祀は含まれないといい、「お休みの旅行を利用して被災地に行かれたり、戦争から引き揚げて苦しい生活をしてきた人たちの元を訪ねたり、そうした活動もなさってきた」という。
また、上皇・上皇后となられる両陛下の今後ついては「上皇、上皇后の方に国民の尊敬が集まりすぎると、現天皇の権威などが下がる懸念から、基本的にはご公務という形でのお出かけはなされない。それでも国民へ心を寄せられるということは続けられるので、ご公務とはちょっと違った形でお出かけになられて、そこで国民との触れ合い、被災地に心を寄せられる、ということはされると思う」。
カンニング竹山は佳子さまのご公務に注目、「学業をしながら公務をやっていては、休みがないのではないか」と指摘すると、近重氏は「皇室の場合は基本的に学業優先という形をとるが、佳子さまは英国に留学されていたので、2018年度はむしろ少なかったということは言えるかもしれない。いずれにせよ、これまで天皇皇后両陛下が担われていたあれだけの数のご公務を、今後は二家で担わなければならないことになるので、新天皇御一家と皇嗣御一家の負担は大きくなるのは目に見えている」と説明する。
さらに、両陛下が毎年出席されてきた地方公務である「全国植樹祭」「国民体育大会」「全国豊かな海づくり大会」の"三大"行幸啓に加え、皇太子さまは30年以上にわたり出席してきた「国民文化祭」に即位後も出席されることになるため、"三大"が"四大"に増えることになる。
「ただ、天皇陛下と皇后陛下は少しでも早く全国47都道府県を周りたいというお気持ちから、例えば秋田県で海づくり大会の出席後に青森県や岩手県に立ち寄られることで、同時に２県に行かれるという形をとってきた。皇太子さまと雅子さまの場合はご体調の問題もあって基本的には１泊２日で１県だけ、という形が望ましいということが考えられる。そうなると、むしろ四大になったほうが、早く全国を周ることができる可能性がある」。
そんな中、皇族が時代と共に減少していくという問題もある。現在独身の皇族には、皇太子家・愛子さま（17）、秋篠宮家・眞子さま（27）、佳子さま（24）、悠仁さま（12）、三笠宮家・彬子さま（37）、瑶子さま（35）、高円宮家・承子さま（33）がいらっしゃるが、悠仁さま以外の６人は女性であり、ご結婚と同時に皇籍を離脱することになる。
この点について近重氏は「二千年以上と言われる歴史の中で引き継がれてきたものだから、守らなければならないという考えをお持ちの方もいらっしゃる。それは天皇家に反対という方たちだけでなく、天皇家に敬意を示されている方たちにもいる。小泉政権下での議論のように、男のお子様であろうと女のお子様であろうと同等に皇位継承権を得られる制度についての話し合いもあるが、その中間として、過去に８人10代の女性の天皇がいたので、それには反対しないという方もいる。ただ、女性天皇がご結婚され、お子様ができた場合は、男性でも女性でも"女系の天皇"ということになる。これは歴史の中で１人もいないため、反対する意見がある」と説明した。（AbemaTV／『AbemaPrime』より）
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