男がミスタードーナツの厨房に侵入し、素手で調理器具を触る様子が撮影された動画。瞬く間にネット上で拡散され炎上し、21日にはミスタードーナツを運営するダスキンが謝罪コメントを発表する事態に発展した。
今年に入り増えた“不適切動画”。閉店を余儀なくされたり訴訟に踏み切る企業も相次ぎ、社会問題になっている。
そんな中、企業のネットリスク管理を専門に請け負っている会社がある。「リリーフサイン」は、企業のネットリスクを予防するシステムの受注や社員向けの研修などを行っている。
そのうちのひとつ、去年から行っているのが「炎上防災訓練」。自らのスマートフォンなどで炎上が発生した場合の疑似体験をすることで、SNSの炎上がもたらす被害をよりリアルに感じることができる訓練だ。
体験する“炎上”は、取引先との打ち合わせで知った新製品の情報を同僚との飲み会でつい話してしまったという、誰もが直面しそうな状況から始まる。すると翌日、課長からメールが届く。
「お疲れ様です。お客様から問い合わせが入っているのですが、この間お客様から伺った新製品の機密情報が漏れているらしいんです。この情報を外部に漏らした人間を知らないか?と聞かれています。何か知りませんか?」
さらに、飲み会の場で働いていた店員が、新製品に関する会話を聞きネット上に書き込んだことで、炎上の火種が激しく燃え始める。気が緩んだ飲み会で漏らした言葉が、メディアが報じる事態に発展してしまったのだ。企業は取引先に賠償を求められ、最終的には自分の実名まで特定されてしまう。
訓練では、友人から心配するメッセージが届くシーンなども盛り込まれ、影響の大きさを当事者としてリアルに実感することができる。今年に入って訓練の実施依頼が増加し、これまでの受講者は2万人を超えているということだ。
「ネットに目を向けていただいて、ネット炎上はどこの企業でも起こりうるということを認識してほしい」と四家章裕社長。四家社長によると、SNSの炎上でまず必要なことはいち早く炎上情報をキャッチすることだという。
リリーフサインではTwitterなどのSNSに加え、様々な掲示板などおよそ2000ものメディアを海外の拠点で監視。登録した会社名や商品名などを常にピックアップし、いち早く炎上を察知して24時間体制でクライアントに報告している。炎上を止められない以上、「いかに早く対応するか」が何より大事だということだ。
「炎上の種が広がりをみせるときに、マスコミに報道される前に自分たちからそれを公表して、どう対処するかを真摯に発表する。よくないことにフタをするのではなく、自分たちから『このように対処していきます』と公表するのが、今とり得る策としては最適な解なのではないか」(四家社長)
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)