「最も深く傷ついているのは津田君だ」夏野剛氏、『表現の不自由展・その後』の中止問題でコメント
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 「あいちトリエンナーレ」の津田大介芸術監督と、中止された『表現の不自由展・その後』の実行委員会のメンバーが2日、それぞれ会見を開いた。

 津田監督は抗議などに対して事前の準備は進めていたものの、日韓関係の急速な悪化、政治家が介入する発言をしたこと、そして開催直前に京都アニメーションの放火殺人事件が予想外の出来事だったとし、中止の判断は抗議殺到やテロ予告により安全な運営が担保できなかったからだと強調。しかし実行委員会側は、対応職員の事前研修と現場のケアが不十分だったと指摘、表現の自由を侵害した行政の判断は検閲だと主張するなど、両者の主張に食い違いがあることが改めて浮き彫りになった。

 また、津田氏は展示再開のためのハードルとして「脅迫メール犯の捜査進展」「警備体制の強化」「苛烈な抗議・脅迫への対策」「検証委員会の中間報告を待つべき」「作家・実行委員会・愛知県民や有識者とのオープンディスカッション」という5つを挙げている。

「最も深く傷ついているのは津田君だ」夏野剛氏、『表現の不自由展・その後』の中止問題でコメント
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 この問題について、慶應大学特別招聘教授の夏野剛氏は「僕は津田君をよく知っているが、本来だったら実行委員会の人たちが言うようなことを主張するようなタイプの人。その津田君をもってしても中止せざるを得なかったということ。それはとても重いことだ。今の日韓関係は異常で、その中であの少女像を展示するということは違う意味を持ってしまうし、政治の関係や京アニの事件も含め、最も深く傷ついているのは津田君自身だと思う。 彼はこの展示会をずっとやりたいと思っていたし、ギリギリの所を狙っていた。津田君が今まで発言してきたことを分かってあげたい」と指摘する。

 それを踏まえ「こういう催しでは、何を出展するのか、どこで線を引くかなど、監督の決定権がすごく大事で、それがなければ成立しない。アーティストはなんの責任も取らないが、参加者に危害を加えるような人が現れたり、京アニみたいなことが起こったりした場合に責任を負うのは一義的には監督だ。その津田君が判断したことに対して、実行委員会の人たちが無責任に言っているのはおかしいと思う。また、SNSに限らず、わけの分からない老人たちが電話をかけてくることもある。俺だって、株主総会の場で"あの時のテレビでの夏野の発言は違うと思う"と言われたこともある。そういうアホな奴がいっぱいいる。今回、展示を中止すると決めることで、今の世の中の不条理さを津田君は訴えたかったと思う」と話した。

「最も深く傷ついているのは津田君だ」夏野剛氏、『表現の不自由展・その後』の中止問題でコメント
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 また、幻冬舎の箕輪厚介氏は「暇な人たちが"とにかく騒ぎにして、コイツを引きずり下ろしてやろうぜ"と抗議することによって、本当に番組などから引きずり下ろせる状態になってしまっている。今回の展示も、良いのかどうかは別にして、潰そうと思えば潰せるんだということを証明してしまった。テレビも炎上すれば終わり、アート展も炎上すれば潰せるというのは本当に問題な気がする。僕に対するクレームの電話が幻冬舎にかかってくるが、本当にやめてほしい。ほとんど会社にいないし、つながらない」とコメント。

 カンニング竹山も「不買運動も含めて、どんどんつまらない方向になっていく。そもそも今回の展示は、政治的背景があって、狙ってやった芸術だと思う。お金の問題もあるとは思うが、ちゃんと警備をつけて、もう1回やればいいと思う。そうしないと芸術や芸能の世界は死んでしまう。表現が何も自由でないまま終わってしまう」と危機感を露わにした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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