中国軍とインド軍衝突で45年ぶりの死者 中国当局がメディア統制も…頭抱える“SNSの盛り上がり”
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 横断幕や習近平国家主席の写真を掲げ、中国に抗議の声をあげるインドの人々。ロイター通信によると15日夜、インド軍と中国軍が領有権を争うカシミール地方で衝突。インド軍は、中国軍の投石などにより兵士20人が死亡したと発表した。インド外務省は、中国に対し「一方的な現状変更の試みの結果だ」と非難した。

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 一方、中国外務省は、インド軍が2度にわたって国境線を越え「挑発行為や攻撃を行ったため衝突になった」と主張。中国側の発表によると、王毅外相は挑発したインド側に責任があるとして「強烈に抗議する」と非難した。一方で、「衝突は誤った道だ」とも述べて、関係悪化を避けたい意向を示した。世界1位、2位の人口大国同士の衝突に緊張感が高まったが、両国の外相は電話で会談し「地域の安定を図る」ことで合意したという。

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 一方、香港メディアは中国軍がインドに接するチベット自治区に数千人の部隊を移動させたと伝え、中国国営メディアはチベットでの軍事訓練の様子を報じている。

 この件について、中国国内ではどのように報じられているのか。ANN中国総局長の千々岩森生氏によると、「テレビを見ても新聞を見てもインドとの衝突の話はほとんどない。中国国営のCCTVも不思議なことに、海外メディアのロイター通信を引用しながら『中国とインドが衝突した』という伝え方をしていて、中国のSNSでも反発の声があがる状況になっている」という。

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 背景にあるのは、中国当局によるメディア統制だ。衝突を隠す意図について千々岩氏は、「なぜ中国政府が問題にしたくないかというと、南北関係が悪化している朝鮮半島に日本の尖閣諸島、台湾、香港、南シナ海と東側でたくさんの問題を抱えていて、西側で問題は起きてほしくない。しかも、インドは人口で中国を抜くような、経済規模も拡大している大事な国で、インドとは上手くやっていきたい、なるべく穏便に済ませたいというのが中国の本音」だと説明。

 そうした中、衝突が起きた要因については、「投石で死亡というのは耳慣れないと思うが、この地域ではトラブルが続いていて、お互いにエスカレートしないように武器などは使わないといった取り決めもある。意図的ではなく偶発的なことが起きて衝突に至ったのではないか」と推察した。

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 このニュースに対し中国国内では反発の声もあがっているというが、世論がどちらに動くかは重要な点だという。千々岩氏は「それ(反発)をさせないために中国政府は抑えている。ただ、ニュースはいろいろなところから出てしまい、中国の国民が見れば『ふざけるな』となりかねない。SNSはいま盛り上がり始めていて、中国政府は頭を抱えている状況でもあると思う」とした。

ABEMA/『けやきヒルズ』より)

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