父親のテレワーク疲れも原因か…2歳女児、車内に7時間放置で死亡 臨床心理士が指摘“心の再起動”による心理的ストレス
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 6月17日、茨城県つくば市で2歳の女の子が車内に取り残されて死亡した。場所は小学校の駐車場で、2歳の女の子がぐったりしているのを父親が発見。次女は搬送先の病院で、熱中症の疑いがあると診断され、その後、死亡が確認された。

▶【動画】テレワーク中の悲劇…2歳女児が車内で死亡

 この日のつくば市は正午前に、最高気温27.8度を記録。父親は、午前8時ごろに長女・次女を車に乗せ、長女を小学校で降ろすと、自宅でテレワークをしていた。およそ7時間後の午後3時過ぎ、再び長女を迎えに車で行った際、車内の次女に気づいたという。

 警察の調べに対し、父親は「次女を保育所に送るのを忘れて自宅に戻った。仕事のことを考えていた」と話した。共同通信によると、父親は5月から在宅勤務で、長女・次女の送り迎えを主に行っていたという。なぜ7時間も放置してしまったのか。

 臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は「一概にテレワークが全ての原因とは言えない」とした上で、父親にかかっていただろうテレワークにおける心理的ストレスについて指摘した。

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 「本当に今回の件は残念で痛ましく、通常ではありえないこと。一方で、コロナ禍によりテレワークを強いられていることで、精神的疲労やストレスが知らず知らずのうちに溜まっている。自分では気づかない間にいろいろなところで生活に影響が出ていて、それが今回のような不幸な結果につながった可能性は考えられる」とした。

 テレワークのポイントは、家にいながら仕事をするため、家事や子育て、突発的な来客や連絡などがある。いわゆる「マルチタスキング」で、複数のことを同時処理しなければならない。仕事と育児、それ以外にすべきことの仕事の同時進行=マルチタスクが課せられる在宅での働き方は、その分、心理的ストレスが増幅するという。

 また藤井氏は「マルチタスキングになると、仕事やいろいろな作業がそれぞれ中断されたり、中途半端になったりする。その作業を再開しようとなった時、心の再起動というか、一旦中断されて気持ちが切れたものを、もう1回入れ直さないといけない」という心理的負担の重さについても解説した。

 藤井氏は、このテレワークとうまく付き合う方法として3つのポイントをあげている。1つ目は「生活時間を構造化すること」で、タスクを整理し、時間の使い方をあらかじめイメージして、「この時間に何をするか」を決めておくことだ。2つ目は「全てを完璧にではなく7~8分目の達成を、という意識」。仕事に集中しきれない環境に対して、心の余裕を持つ大切さが必要だという。3つ目が「生活の中にリマインドを組み入れること」。マルチタスキングになれば、仕事の漏れも出がちになるが、思いついたことをその都度メモしたり、アラームを設定するなどして自分の気づきを喚起する工夫が効果的だという。

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 コメンテーターで牧師のアーサー・ホーランド氏も、テレワークに苦労する一人だ。「普段はライブでいろいろな人で接することができる。今はコロナ禍なので、映像を通してテレワークで仕事をするのはいいことだが、集中するあまり、結構ストレスが溜まりやすい。気配がライブとは違うので、すごくいろいろ緊張したり考えすぎたりして、普段より疲れを覚えることが多い」と、直に人と接する場合との違いを説明した。また、藤井氏のあげたポイントについては「間を取ることの大切さがある。休むとか、気分転換でメリハリつけるとか、自分の“いい加減”、リズムを持つことが大切」と補足もしていた。 

ABEMA/『けやきヒルズ』より)

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2歳女児車で死亡 リモート疲れも?
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