「地方の国公立大学にも競争の仕組みを」橋下徹氏×出口治明・立命館アジア太平洋大学
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 5日のABEMANewsBAR橋下』に、立命館アジア太平洋大学(APU)学長を務める出口治明氏が出演、自らも2人の大学生を育てる橋下氏と、大学教育の在り方や競争力について話し合った。

・【映像】出口治明氏と橋下氏が大学教育を熱く語る

■出口氏「授業がつまらないということについては大学にも責任がある」

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 大学の授業評価、教員評価について橋下氏は「大学生だった頃を振り返ると、ブツブツ教科書を読んでいるのか何なのか分からない、独りよがりの授業が多い、つまらない授業が多いと感じて、あまり出席する気がしなかった。自分が勉強不足だっただけかもしれないが、授業の評価をさせてほしいとも思っていた。今は授業評価をしている大学も増えているが、うちの子どもは“学生が実名を書かないといけないので、悪く書くと単位を落とされるらしいという噂が立ってうまくいかなかった”と話していた」と話す。

 出口氏は「授業がつまらないということについては大学にも責任がある。“自由に授業をしてください”では無理だ。企業でも、管理者研修をしなければ良い管理者には育たない。組織として授業の質を上げていくためには、先生方に教え方を学んでもらうことだ。その点ではアメリカが進んでいるので、APUではミネソタ大学と業務提携し、毎年5人を派遣し、アクティブラーニングの優れた方法であるミネソタメソッドを学んできてもらっている。向こうからも教えてに来てもらっているので、あと10年もすれば、全ての先生方がミネソタメソッドを学ぶことになる」と説明する。

 「また、APUは世界中から学生を集めているが、大学は世界に2万5000もあるので、APUの面白さがなかなか伝わらない。そこでミシュランのような国際認証を3つ取得した。ミシュランの星をもらおうと思ったら、時々通ってくるシェフではあかんよ、ちゃんとシェフがいないとあかんというのと同じで、博士号を持っている先生が何人いるか、ちゃんと論文を書いているかどうかなど、様々な基準を満たさなければいけない」。

■橋下氏「どう考えても大学が多すぎる」

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 また、橋下氏は「日本の成長力が弱いと言われている原因の一つに、大学の弱さがあると思っている。国公立大学は運営交付金1兆3000億の中で運営されているが、大学協会はとにかくそれを増やせ、増やせばかり。私立も3000億の私学助成をみんなで分配していているが、これも増やせ、増やせと。税金を入れるのは当然だが、お金をくれだけじゃなくて、大学間の競争がしっかり行われるような仕組みを作らないといけないと思う。たとえば地方の国公立大学は残すことが前提の仕組みになっているが、どう考えても大学が多すぎる。切磋琢磨して、淘汰していくような仕組みがないと、日本の大学の競争力は高まらないんじゃないか」と問題提起。

 すると出口氏も「これは地銀の問題と同じだ。47都道府県の全てに、という仕組みは今の時代に合っていないと思うし、この先やっていけるのかどうかということだ。地銀も大学も、強くするには道州制が肝になってくると思う。一方で、大学は成長産業だ。世界的には人口は増えているが、特に途上国には大学がない。アメリカにいる110万人の留学生が持ち込むお金は5兆円に上るといわれているが、日本の輸出産業で5兆円を超えるものといえば、おそらく自動車だけだろう。しかもこの留学生たちがベンチャーを作ると考えれば、大学は国の成長戦略の要だ」と訴えた。

 橋下氏は「大阪では吉村知事と松井市長の努力で、府立大学と市立大学が何とか一つになる。僕が訴えていた時は猛反対に遭ったが、一つになれば東京大学、大阪大学に継ぐ3番目の規模の大学になる。大阪府立大学には獣医学部があって、大阪市立大学には医学部がある。いろいろな学部が合わさってきて、ものすごい競争力が生まれるんじゃないかと関係者はワクワクしている」と話していた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

出口治明氏と橋下氏が大学教育を熱く語る
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