日本のコロナ対策、専門家が競い合う仕組みが必要? 橋下氏「菅さんは本当にかわいそう」舛添氏「尾身さんは患者を診たことがない」
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 25日のABEMANewsBAR橋下』に厚生労働大臣や東京都知事などを歴任した舛添要一氏が生出演。橋下徹氏と日本の新型コロナウイルス対策の課題について議論した。

【映像】橋下徹×舛添要一 コロナ制限緩和のあり方

 まず橋下氏は「感染症の専門家たちは、とにかく“人流を抑えろの一点張り”。今回のピークアウトの話も、人流が減っていないのに感染者数が減っていることの相関関係について説明してもらいたいのに、専門家たちは後付けの理由ばかりを言う。もっと言えば、ワクチン接種も日本は2カ月遅れたと言われているが、ファイザーが日本人も入れて治験をやってくれたのに、治験は慎重にやれという国会の決議があったから、しょうがなく厚労省が国内で治験をもう一度やったという背景もある。それなのに接種開始時期が遅れた批判される菅さんは本当にかわいそうだ」と指摘。

 「もちろん説明の仕方、情報発信の仕方には問題はあったが、評価される部分もたくさんある。それなのにメディアは政治に対しては批判ばかりだ。政治を批判するのはメディアの役割だけれど、評価するところはちゃんと評価しないと、国の政治を誤ると思う。政治をやっていた僕たちは、それを痛切に感じる」と苦言を呈する。

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 一方の舛添氏は「官邸がものすごく力を持っていると言うけど、今回は本当の感染症の専門家が側にいなかったんだと思う。やはり、厚労官僚は嘘をつく悪いやつが多い」と苦笑、次のように明かした。

 「2009年に新型インフルエンザが来た時、橋下さんは大阪府知事で、私は厚労大臣だった。私は成田から来ると思って飛行機を止めてチェックしていたが、関空からやってきた。それから4月、5月と、マスクが足りない、イベントができないと、今回と同じようなことが起こって大変だった。そして私が“ワクチンを早く入れよう”と言うと、厚労省の医系技官たちは“海外のワクチンはヤバいから買ってはいけない”と言う。しかし海外には友人がいっぱいいるし、調べてみたら、決してそんなことはないので、官房長官だった河村(建夫)さんに“俺の責任で買うからな”と言って、イギリスとスイスから買うことにして、夏には必要な人に行き渡るぐらい分の発注が終わっていた。それで早く片付いた。

 先ほど橋下さんが“海外の治験が信用なるか”という主張があったと話していたが、体格が違うからとか、屁理屈を持ってきて海外での治験を認めないわけだ。やはり厚労省の役人や専門家会議だけに頼っていると、その意見しか入ってこない。あの時、私はダイヤモンド・プリンセス号の中を暴いた神戸大学の岩田健太郎教授にデータをもらっていた。彼は神戸で最初に患者を診ていたから。一方、専門家会議はあのときから尾身さんだ。何人死ぬかわからないと言うから、役人任せで“早く専門家を集めろ”と言ったら、“尾身グループ”が集まった。12年も経って同じ人がやっているサークルって、なんじゃこれは?と思うだろう。

 要するに、彼らは予算権と人事権を握り、補助金を出す厚労省の言うことを聞く人たちだ。だから“ちょっと待てよ。この人たちは問題があるな”ということで、岩田教授のような異端児たちを集めたチームを作り、両方で競わせた。そして、“最後は大臣である俺が決める。岩田たちの方を取る”と言った。結果、現場を見ている岩田たちのほうが正しかった。審議会を作るときもそうだ。本当に闘う審議会のときは、私は“反厚労省”の人と半分入れていた。今回はそういうプロセスが全くない。会見でも、菅さんが連れてきた尾身さんがいっぱい喋っている。菅さんが説明すればいいのに、なんじゃこれは、というのが私の率直な感想だ」。

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 舛添氏の厳しい“尾身批判“に、橋下氏は「尾身さんたちも一生懸命やってくださっているし、すごくちゃんとしている人というのが世間の認識になっている。もちろん専門家が絶対に正しい意見を言い続けるわけではないし、何が正しいかわからない状況だからこそ、いろいろな意見がある。


 本当に残念だったのは、尾身さんたちの意見があって、そうじゃない意見もあるはずで、菅さんも、違う意見を持っていたと思う。そこでガチャガチャと議論をし、最後にトップが引き取って“こうする”と決めれば、尾身さんたちの意見もしっかり聞いた上でトップが決めた、ということになる。小泉純一郎元総理の経済財政諮問会議でも、竹中平蔵さんを入れて官僚たちとガチャガチャやって、最後にトップが引き取って決めていた。大阪でも、ずっとそのやり方だった。しかし菅さんの場合、政府が決めたことに対して尾身さんたちが反論するとふらついてしまうことが何回もあった。そこで国民の信頼度が下がってしまった。その意思決定のやり方の部分だけが問題で残念だった。だから今は尾身さんたちの言うことが絶対的になっている」。

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 舛添氏は「もちろんメンバーの中には立派な方もおられるし、実際に患者さんを看ている方もおられるが、やはりトップの資質が大きいと思いう。例えばアメリカ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長はものすごい数の論文を書いているし、知見がある。トランプ大統領と一緒に記者会見をした時、“それは違う”と明確に言っていた。だから私はかなり信頼している。一方、尾身さんは患者を診たことはないし、論文も1本ぐらいしか書いていない。ドクター・オミと言っても、国際社会で尊敬されているかと言えば、誰も知らない。そこの差がある。

 そしてアメリカでもCDC(疾病管理予防センター)が最初、検査の仕方を間違えた。そこで複数の専門家で競い合って決めるシステムにした。そうしないと、一つの意見ばかり聞く政治家がかわいそうだ。大臣は医者でも薬剤師でもない。私の場合、東大医学部の社会科学を10年間教えていたから、元教え子がいっぱいいる。そいつらに電話して、“今日こう言われたけど、おかしいと思う。君、どうだ”と聞いたら、“舛添先生は完全に騙されている。論文をメールで送るから、読んでほしい”と。それで次の日に“お前、きのう嘘ついたな”と言った。それでみんな抵抗しなくなった」と自身の経験を披露した。

 橋下氏は「技官も国のため、国民のためという思いがあると思う。ただ、慎重にならざるを得ない。ワクチンに関しては世論やメディアが厚労省を叩きまくった。結果、役人たちが及び腰になってしまったところもあるのではないか」と話していた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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