西山朋佳女流三冠、超早指しは「練習するほど不安になりそう」ドラフト指名は「一度お話をしてみたい方」/将棋・女流ABEMAトーナメント
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 女流棋界のタイトルを二分する実力者にしては、珍しく弱気なコメントかもしれない。個人戦から約3年経ち、団体戦となった「第2回女流ABEMAトーナメント」。前回は持ち時間7分、1手指すごとに7秒加算だったが、今回から男性棋士と同じく5分・5秒になった。これに頭を悩ませるのが西山朋佳女流三冠だ。「ネットでやったんですけど、めちゃくちゃ下手なんですよ(苦笑)。それが一番の懸念材料です」と、三冠保持者の口から「めちゃくちゃ下手」という言葉が出ることなど、そうはない。それだけにドラフト会議での戦術は「結構プランを考えてきた」と、ガチモードで構想を練り上げてきた。

【中継】第2回女流ABEMAトーナメント ドラフト会議

 現在、女流棋界には8つのタイトルがあり、4つを里見香奈女流四冠、3つを西山女流三冠が持っている。さらに新設のヒューリック杯白玲戦でも、西山女流三冠は同棋戦初となる七番勝負に進出。ここで獲得すれば、8つのタイトルをきれいに分け合うことになる。今年4月まで、奨励会三段リーグで戦い、女性初の棋士まであと一歩まで行った実力者。女流棋士となった今の活躍も、誰もが納得するところだ。

 その西山女流三冠が、女流初の早指し団体戦でリーダーの一人になった。男性棋士によるABEMAトーナメントは「全体的に画期的なシステムでやっていらっしゃる。刺激が多くておもしろいです」と楽しんだが、女流版を聞いた時には「全く予想もしていませんでした。自分だったらどうなるかなと想像していたので、現実になってうれしいです。(リーダーも)全く考えていなくて、お話をいただいてから、この企画のことをぐるぐる考えていました」と、初体験の戦いを前に、いつもとは違う頭の使い方をした。

 団体戦は、中学生以来。同級生と出場した5人1組の将棋大会で「私の棋力が一番上だった」ためリーダーをしたことがある。ただし、今回は盤上で戦い、盤外では私的な交流もある女流から、共に頂点を目指す仲間を選ぶ。なかなか難しいことだ。「お世話になっている方とか、仲のいい人とか、なかなか選べなかったです。男性棋士のドラフトも見て、いろいろな考えの方がいらっしゃったので、自分の考えに一番近い方に影響された構成になると思います。一度お話をしてみたい方、どういう考えで将棋をされているのかに着目しました」と、いろいろと解釈できるコメントを出した。

 メンバー構成に悩むのも無理はない。なにせ自分が苦手と自覚しているからだ。フィッシャールールは「ほとんどやったことがないんです。ネットでもやってみたんですが、めちゃくちゃ下手(苦笑)。ものすごく苦手です。私に早指しのイメージがあると思うんですけど、違う早指しの力が求められると思います。安定した秒があるわけではないので、そこがかなり不安です」と、後ろ向きの言葉が続いた。1手30秒や60秒ではなく、考え込むほどに減り、即決するほど増えるというこのルール。西山女流三冠であっても、慣れが必要だが「練習するほど不安になりそうで怖いんです…」と、また苦笑いした。

 いろいろ悩んだものの、話していくうちに「どなたと組むことになっても非常に楽しみで、そこは堂々といけたらと思います。成長させていただく機会をいただいたと思っていますし、そういう意味でも頑張りたい。チーム戦として楽しみたいですし、結果も求めたいです」と、腹も括れてきた。ドラフト会議で信頼できるパートナーを仲間とし、強力な布が整えば、いつもの力強い西山女流三冠に戻って、この超早指しも必ず克服する。

◆第2回女流ABEMAトーナメント 第1回は個人戦として開催され、第2回から団体戦に。ドラフト会議で6人のリーダー棋士が2人ずつ指名し、3人1組のチームを作る。各チームには監督棋士がつき、対局の合間にアドバイスをもらうことができる。3チームずつ2つのリーグに分かれ総当たり戦を行い、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。チームの対戦は予選、本戦通じて、5本先取の9本勝負で行われる。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】ドラフト直前 西山朋佳女流三冠インタビュー
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【動画】第2回女流ABEMAトーナメント ドラフト会議
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【動画】ドラフト直前 里見香奈女流四冠インタビュー
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