将棋ソフトで実力アップの女流棋界 藤井猛九段「誰でも強くなれる」競争激化の一面も「同じ技術を持った人が増えている」
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 将棋ソフトの普及により、男性の棋士だけではなく、女流棋士もめきめきとその力を高めている。これまでは練習環境にも差があったが、ソフトであれば男女差も、住んでいる場所も関係ない。その才能が埋もれたままになる可能性も、ぐっと下がったと言える。この状況にベテラン藤井猛九段(51)も「驚くほどレベルアップしていますね。女流の方々は、ものすごく強い」と絶賛。女流棋界の早指し団体戦「第2回女流ABEMAトーナメント」に出場するメンバーについても「若い方も、こんなに勉強しているんだと思いました」と目尻を下げた。ただ、このソフト時代に突入したことによって、より競争が激化するとも語った。

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 棋譜を並べ、詰将棋を解き、練習対局を重ねる。それが今ではソフトと向かう時間が格段に増えた。藤井九段からすれば「みんなが強くなれる道具です。以前は勉強方法に差があったんですが、ソフトを使ってこつこつ頑張れば、ある程度は誰でも強くなれる。やるか、やらないかの問題です。若い人でもこんな技術を身につけているんだというのが広がりました」と、ベースアップを体感している。

 誰でも強く慣れる、ベースアップする。聞こえはいいが、相手に勝たなければいけない勝負の世界にとっては、ここから先が重要だ。「逆に言うと競争が激しいです。同じ技術を持った人が増えているので、すごく強くても勝ち星に結びつきにくい。昔なら、これほど強ければどんどん上に行けたのに、伸び悩んでいることもあります」と、ハイレベルな競争に移行したと説明した。

 女流棋士には、今なお振り飛車党が多い。女流棋界の2トップとも言われる里見香奈女流四冠(29)、西山朋佳女流三冠(26)いずれも振り飛車党。男性の棋士は居飛車党が多数派になっているが、今後はどうなるか。振り飛車党・藤井九段によれば、持ち時間の短い将棋ほど振り飛車が活きるという見解だ。「振り飛車は毎局、自分の庭というか、経験値の高いところで戦えるのが特徴です。だから自分の型に自信を持って指したい人には振り飛車がいい。持ち時間が短いほど、見慣れた景色で指していた方がいいのかなと思います」。超がつく早指しであるABEMAトーナメントでは、男性でも振り飛車党が活躍した。

 将棋ソフトでは、振り飛車に対して絡めの評価をつけることも多い中、女流さらには早指しという条件下で、どんな対局が見られるか。アマチュアのファンにとっても、興味深いものが多く生まれそうだ。

◆第2回女流ABEMAトーナメント 第1回は個人戦として開催され、第2回から団体戦に。ドラフト会議で6人のリーダー棋士が2人ずつ指名し、3人1組のチームを作る。各チームには監督棋士がつき、対局の合間にアドバイスをもらうことができる。3チームずつ2つのリーグに分かれ総当たり戦を行い、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。チームの対戦は予選、本戦通じて、5本先取の9本勝負で行われる。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】第2回女流ABEMAトーナメント ドラフト会議
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