映画『007』新作で注目の“森田畳店”「最初は何かの整理番号かと…」店主を取材
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 古くから伝わる日本の敷物の「畳」。東京・西日暮里にある「森田畳店」では、日々畳が作られ、日本の伝統を守り続けている。実はこの森田畳店、いま注目の映画と関わりがあるという。

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 その映画とは、今月1日に公開されたシリーズ25作目となる「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」。今作では、ダニエル・クレイグが自身最後となるジェームズ・ボンドを演じ、国内の週末興行ランキングでも1位を記録する大ヒットになっている。

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』の取材に対し、「映画『007』にうちの畳が使われるなんて夢のようですね」と語る店主の森田隆志さん。なんと、映画の中で森田畳店の畳が使われているという。その数、実に112枚。ラミ・マレック演じる悪役・サフィンのワンシーンを見ると、確かに畳が使われている。 

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 世界的な映画に協力することになった経緯について、森田さんはこう説明する。

「2018年ごろ、アパレルメーカーの『H&M』さんがパリコレに出る際、300枚ぐらい畳を送ったんです。そのときの情報や写真を『007』の関係者の方がネットでご覧になったようで、うちに連絡が来ました。最初にメールを見たとき、おそらく『007』と書いてあった気がするのですが、『何かの整理番号かな?』と思って完全にスルーしてしまって……。普通に“海外のお客さん”という感じしかしなかったんですよね」

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 ショーン・コネリーやロジャー・ムーアが主演を務めていた頃から『007』のファンだった森田さん。しかし、映画で森田畳店の畳が使用されるのは、今回が初めてではない。2017年に公開された映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』(※原作は士郎正宗氏の漫画『攻殻機動隊』)では、500畳分の畳の“へり”を送り、渡辺謙が出演した映画『ラストサムライ』でも協力の交渉があったという。

 なぜ、海外の映画界から森田畳店の畳が注目されるようになったのだろうか。背景には、日本国内における畳の需要の低下があった。

「畳は(日本国内で)需要が下がっています。かなり低い値段でやり取りしている業者さんが増えているんですよね。そういう業者さんが取引先の大きいリフォーム店に入っていて、それでちょっと危機感を覚えたんです。そのとき、4〜5年やっていた輸出を強化しようと始めて、だんだん伸びてきて」

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 1999年から海外への輸出を始めた森田畳店。日本語のWebサイトだけでなく、英語やフランス語のページも用意するなど、国内での需要低下を見据えた海外進出への動きを早い段階から強めていた。中には「畳表を日本刀の試し斬りに使いたい」という香港からの注文や、日本に一時住んでいたバーレーン人が帰国と共に「母国に持ち帰りたい」と注文した畳などもあるといい、現在の輸出先は53カ国を超えた。数ミリ単位の指定も多い海外からの注文にも正確に応える森田畳店の高い技術が、海外から評価されているのだ。

 さらに今回、映画『007』の新作で森田畳店の畳が使われているという話が広まり、映画を見た日本人からも「森田畳店の畳が欲しい」と問い合わせが来ているという。ただ、店主の森田さん自身は忙しく「まだ映画を観られていないんです」と苦笑い。

「周りから観ろって言われているんですよ。今月中には観ます。見どころはもう畳ですね。まぁ全部観ます(笑)」

(『ABEMAヒルズ』より)

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