16日のABEMA『NewsBAR橋下』に出演した脳科学者の茂木健一郎氏と橋下徹氏が、日本社会の“同調圧力”について議論した。
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新型コロナウイルス感染防止対策の外出自粛やマスク着用などでも度々論じられた同調圧力。先日も、ノーベル物理学賞を受賞した米プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎氏が”日本に戻りたくない理由”として「周囲に同調して生きる能力がないからだ」と発言したことが話題となった。
茂木氏は「英語ではピア・プレッシャーと言うが、同調圧力そのものはどこでもあるはずだ。ただ日本の場合、“きっちりやろう”という同調圧力や、何でも数値化してしまうといった部分があると思う。他の国はもっといい加減だ」との見方を示す。
「日本人には行動パターンというか、“知恵”みたいなものがあった。江戸時代、“服装は質素にしなければいけない”というお達しに対して、表地はその通りにしているが、裏地には金糸銀糸を使う、“裏勝り”というのがあった。あるいは岡山には、“一品しか乗せてはダメ”というお達しがあったのに対し、魚介類の上にご飯を乗せ、見えなくした“祭ずし”というのがある。
現代でも、上司に“このプロジェクトはやめろ”と言われた人たちが、実は裏で続けていて、後で“こんなのができました”“しょうがないな”と。そういう企業が“研究開発が元気だ”と言われたりすることもある。そうやって、従っているふりをして裏で好き勝手やるのが日本人の行動パターンだと思うし、必ずしも同調圧力が高いわけではないのではないか」。
橋下氏は「コロナ対策では、お上からの様々な要請が法的な理由や根拠がはっきりしないままでも、なんとなくみんな従っているし、裏で好き勝手やっているというわけではない。飲食店はお上の認証をとったところだけがお酒を出せるようになっているが、これも根拠は何なのかと思う。本来であれば従うも従わないも自由なはずだが、マナーというか、“そうあるべきだ”というのがあるし、従わないとみんなが叩く、というのもある。これは同調圧力というよりも、お上に弱いということなのだろうか」とコメント。
その上で、「橋下氏は「確かに感染拡大が始まった頃は“未知のウイルス”のだったし、自粛要請に従わなければいけないかな、という雰囲気もあったと思う。でも、ウイルスのことが次第に分かってきた今、国民が従ってしまうだけでは、政治家がだらしなくなると思う。営業の自由を制限するのであれば、政治家はちゃんと腹を括って、批判を受けながら法律を作るべきだ。“憲法に違反するのではないか”、“こんな自由の制限はいいのか”といった議論を全てすっ飛ばして、みんながそれに従ってしまうんだったら、法律は要らないことになる。でも、こういうことを言うと、“煽るな”という批判が出るから…」と苦言を呈した。
茂木氏は「橋下さんがおっしゃるように、確かに今の日本は意外と従っているのかもしれない。つまり、忖度、空気を読むという能力が、日本人は非常に高い。これも誤解されることが多いが、空気を読むとか、相手の気持ちを察するということはアメリカ人でもやる。問題は、空気を読んだ後、それに従うか従わないかが国によって違うことで、日本人は従うことが多いということだ」と話していた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)