「噛ませ犬」の下馬評から一転、対戦相手を強烈な右フックでフラフラになるまで殴り続けた元欧州王者のベテラン・ファイター。その破壊的なパンチ力にネットからは「(相手の)「脳がグラグラ揺れてる」「数試合分のダメージが蓄積するような危険なダウン」など驚きと心配の声が上がっている。
10月15日にシンガポールで開催されたONE Championship「ONE: FIRST STRIKE」で、エンリコ・ケール(ドイツ)とダビッド・キリア (ジョージア)が対戦。当初は“アンダードッグ”と言われていたキリアが、殺傷能力の高い右フックを武器にケールを圧倒。試合後には笑顔で「俺を噛ませ犬と呼んだ皆さんこんにちは!」とふてぶてしい勝利コメントで鬱憤を晴らしてみせた。
フェザー級のトップ選手が多数エントリーされた世界グランプリ準々決勝1試合目を戦ったケールはタフな打ち合いが得意で、普段はドイツの特殊部隊で暴動を鎮圧する任務にあたる現役警察官。今年4月にチンギス・アラゾフを判定で破る大金星を収めたことで本トーナメントでも注目を集めた。2014年にはタイで行われたK-1大会決勝で、日本でもお馴染みのブアカーオに勝利している。一方、キリアは空手をベースに持つ元GLORY王者で、中国のクンルンファイトのトーナメントも制したベテラン。ONEではジョルジオ・ペトロシアンに完敗を喫したことなどもあり、下馬評では”ケール有利”との声が多かった。
ともにヨーロッパの強豪同士、序盤から額が触れ合うような至近距離での激しい打ち合いが展開された。ケールが奥足のローを起点にコンビネーションを固め打ちすれば、キリアはガードを固めながら大きなモーションから振るうフック一発を狙っていく。
ラウンド中盤、ケールの手数に手を焼いていたかに見えたキリアが、右フック一発で相手の足を止め流れを引き寄せる。ここで一気呵成にボディ、フルスイングの右フックと攻守を逆転したキリアは左のアッパー、右ストレートでケールをケージ際に吹き飛ばし、あっという間に最初のダウンを奪った。
試合再開後もキリアはケールの顔面に前蹴りを叩き込み、強烈な右フック。クリンチに逃れようとする相手を振り払うような左でなぎ倒して2度目のダウン。ダメージが足にきたケールは千鳥足でフラフラしながら、弱々しくファイティングポーズを取るも、試合再開とともにキリアの凶暴な右フックの餌食となり前のめりに崩れ落ちて試合終了となった。
リプレイ映像からもキリアの打撃の破壊力は明らかだ。フルスイングの右フックがケールの顔面を捉えるたびに脳が揺れる危険なシーンにABEMAのファンからも「脳がグラグラ揺れてる」「吹っ飛んだw」「コーカサスの選手は化け物揃い」「数試合分のダメージが蓄積するような危険なダウン」と多くの反響が寄せられた。
なお、戦前の下馬評を見事にひっくり返すKO勝利を収めたキリアは、よほど自身の評価の低さに鬱憤が溜まっていたのか、試合後に「いい気分だよ。俺を噛ませ犬と呼んだ皆さんこんにちは!」とふてぶてしいコメントを残した。
衝撃決着を受け、海外メディアも「元GLORY王者を侮っていたファンも多かったようだ。キリアはペトロシアンには負けたが、ケールを全く寄せ付けなかった。このパフォーマンスを見せつけられて彼を過小評価することはもうないだろう」と、その圧倒的な勝利を称えた。