旧大口病院3人殺害 “死刑”求刑を被告は「じっと聞いていた」 記者が見た裁判
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 横浜市の旧大口病院で点滴に消毒液を混ぜて入院患者3人が殺害された事件の裁判で、検察側は22日、元看護師・久保木愛弓被告に死刑を求刑した。

【映像】大口病院事件 法廷で見えた被告の素顔

 これまでの法廷で、被告の口からは何が語られ、事件の背景はどこまで明らかになったのか。取材を続けてきたテレビ朝日社会部の前山裕一記者が伝える。

Q.裁判では何が争点になっていた?
 争点は久保木被告の責任能力。久保木被告は裁判を通して犯行自体は認めている。その中で、検察側は久保木被告に完全責任能力があると主張する一方、弁護側は精神疾患によって心神耗弱状態であったと主張している。つまり、責任能力の程度によって、刑の重さがどうなるかというのが争点になる。

Q.22日の検察側の論告求刑、弁護側の最終弁論ではそれぞれどのような主張がなされた?
 午前中に行われた検察側の論告では、犯行の事実関係に争いがないため、主に久保木被告の精神鑑定の信用性についての主張がされた。今回は検察側、弁護側それぞれの2人の医師が精神鑑定を行ったが、検察側の医師は「精神疾患は軽度であるため、犯行に大きな影響を与えていない」としていて、検察官はその正当性を主張していた。

旧大口病院3人殺害 “死刑”求刑を被告は「じっと聞いていた」 記者が見た裁判

 論告が始まった時、久保木被告は弁護側の席で基本的に前をじっと見ながら検察官の話を聞いていた。検察官が量刑についての説明をしだすと少しまばたきが多くなってきたが、死刑を求刑された時も大きく体を動かすということはなく、じっと聞いていた。

Q.裁判を通じて明らかになったことは?
 被告人質問では、久保木被告の犯行の動機が本人から語られた。大口病院では終末期で亡くなってしまう患者が多く、その場合、その時に勤務している看護師が亡くなった患者の家族に状況を説明していた。

 そうした中、事件とは別の患者の話になるが、患者の家族がある看護師の対応について怒っている場面に遭遇し、久保木被告自身が患者の家族に説明するのを避けたいと思うようになった。そのため、久保木被告は自分の勤務時間外に患者が死亡するように、タイミングを狙って点滴に消毒液を入れたということが動機になっている。

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Q.久保木被告の発言や表情、態度など印象に残った場面は?
 これまでの裁判を通して、久保木被告はほとんど無表情で話を聞いたり、淡々と答えていた。これは本人が被告人質問でも言っていたが、精神を落ち着ける薬を服用していて、その影響があるとみられる。

Q.11月9日が判決だが、注目ポイントは?
 冒頭のとおり、犯行の事実関係で争いはない。そうなると、裁判所が久保木被告の責任能力をどの程度認めるかということになる。検察側の主張どおり、完全責任能力があると認められれば、求刑どおり死刑判決になるとみられる。一方で、弁護側の主張どおり精神疾患によって心神耗弱状態であったと判断されれば、減刑される可能性もある。

(ABEMA NEWSより)

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