衆議院選挙が19日に公示され、12日間の選挙戦がスタートした。投開票は31日で、各党の舌戦が繰り広げられるが、気になるのはその具体的な中身だ。
ABEMA『アベマ倍速ニュース』では、9党それぞれの公約を解説。第3回は「公明党」について、テレビ朝日政治部の車田慶介記者が伝える。
【新型コロナ対策】
Q.新型コロナ対策について、公明党はどういう公約を掲げている?
まず1つ目の大きな柱としてワクチン開発、それも国産ワクチンの開発、実用を国家戦略として位置付けて、全面的にサポートするとしている。ワクチンがまだ世界的に供給が十分でなかった時に、アメリカやEUなどでワクチンを自国で囲い込むという動きがあった。そういうことを 踏まえ、国産ワクチンの開発を支援して安定的に供給できることを目指すと盛り込んでいる。また、現在開発が進んでいるコロナの飲み薬も、国産の飲み薬の開発を支援するとしている。
Q.医療提供体制についての公約は?
感染が拡大しても医療崩壊を起こさないように、病床や宿泊療養施設、医療従事者の確保などを迅速に行うため、より強力な司令塔の確保を目指すとしている。さらに、検査体制を強化することも掲げていて、PCR検査を現状の1日33万回から100万回に増やすことを目指している。
また、第5波が来た時に自宅療養中に亡くなる方もいたことを受けて、重症化を防ぐために抗体カクテルを外来や往診などでも投与できるようにすることを掲げている。さらには、コロナの後遺症に関しても実態把握や原因の究明、研究に取り組んで、後遺症の予防策や治療方法の開発を進めるとしている。地域でそういった後遺症について相談できる体制の整備も盛り込んでいる。
【経済対策と社会保障】
Q.経済対策についてはどのような公約を掲げている?
経済対策についてはポストコロナ、コロナ後を見据えて経済と生活の再生を掲げている。長引くコロナで特に影響を受けた観光・飲食業を支援するために、ワクチン接種やPCR検査、抗原検査などの証明書を活用して、感染防止が徹底されている店での飲食や旅行、イベント参加などを段階的に拡大することを目指している。
また、具体的な中身はこれからの議論になるが、ワクチン接種が進んで感染が収束してきたことを前提として、「新・GoToキャンペーン」を行って、飲食や観光業を支援することを訴えている。
もう1つの目玉が、マイナンバーカードを持っている人に一律3万円相当のマイナポイントを付与するというもの。消費を喚起するという目的があるが、もう1つの狙いとしてマイナンバーカードの普及がある。昨年、1人あたり10万円を一律で給付するという政策があったが、給付されるまでにかなりの時間がかかった。これがマイナンバーカードに口座を紐づけておけばもっと迅速に給付することが可能になるため、マイナンバーカードの普及のためにも3万円相当のポイント給付を訴えている。
Q.社会保障については?
非正規雇用で働く方や生活困窮者への支援を掲げている。まず、非正規雇用で働く方への支援について、非正規で働く方が月10万円の生活費を受け取りながら無料で職業訓練を受けることができる求職者支援制度というものがあるが、その拡充を掲げている。また、生活に困窮する人が住宅確保に困難を抱えていることから、そういった方に住宅手当を創設することも盛り込んでいる。
【外交政策】
Q.外交政策の方針は?
核兵器のない世界を目指して取り組みを重ねるとしている。日本は唯一の被爆国として、核保有国と非核保有国の橋渡し役を担い、核兵器のない世界を目指すとしている。また、核兵器禁止条約の批准への環境整備を進めていくことも盛り込んでいる。2022年3月に開催が予定されている締約国会合に日本がオブザーバーとして参加して、中長期的に日本が核兵器禁止条約に批准するための環境を作るとしている。
Q.19日にも2発のミサイルを発射するなど、9月から北朝鮮の動きが活発になっているが、北朝鮮問題については?
北朝鮮による全ての大量破壊兵器やミサイルの完全な廃棄の実現のために、アメリカや韓国、さらには中国やロシアとも協力をしながら国連安保理決議の履行を進めるとしている。また、拉致問題の解決に向けて、日本が主体的に取り組んで一刻も早く拉致被害者全員の帰国を目指すとしている。
Q.最近、軍事活動を活発化している中国については?
東シナ海や尖閣諸島周辺での中国の活動は、国際法違反で断じて認められないと強く非難している。公明党は昔から中国とは友好的な関係を築いていて、融和的な態度を取ることも多かったが、今回は踏み込んだ内容になっている。
【教育、子育て、若者支援について】
Q.教育や子育て支援についてはどういった方針を掲げている?
ここは公明党が今回、最も力を入れている分野。目玉はなんといっても、0歳から高校3年生まで1人あたり一律10万円相当の支援をする「未来応援給付」がある。コロナの長期化で、特に子育て世帯が大きな影響を受けたとして、こういった政策を掲げている。また、子育て支援ということで、出産費用が年々増加傾向にあることから、現在42万円の出産育児一時金を増額することも盛り込んでいる。
Q.0歳から高校3年生まで10万円「相当」ということだが、「相当」ということは現金ではない?
これは政策には書かれていない。ただ、山口代表は政策発表の会見で、東京都が行っている新生児1人あたり10万円相当のポイントを付与する制度を例に出していた。そのため、必ずしも現金ではなくて、このようなポイント制度になる可能性もある。
Q.こういった制度には「バラマキだ」と批判の声もあるが、そのあたりはどう受け止めている?
まずは足元の経済を回復させるべきで、ポイントなどで経済を活性化させることが重要だとしていて、バラマキという指摘は当たらないとしている。
Q.若者への支援は?
いくつかあるが、「若者担当大臣」を新たに設けるとしている。若者全体が抱える多様な生き方や、職場における人間関係や心のケアなどの問題に取り組み、全ての若者が希望を持てる政策を担うとしている。
それと「被選挙権の年齢引き下げ」。つまり、若い人でも選挙に立候補できるようにして、若者の政治参画を促すということ。さらに、スマートフォンなどで投票できる「インターネット投票」の実現に向けた開発、研究を進めるとしている。
【公明党が重点を置く政策】
Q.そのほか公明党が重点を置く政策はある?
政治と金の問題について。選挙違反で当選が無効になっても、辞職するまで歳費が議員に支払い続けられることに批判が集まったとして、当選が無効になった場合、それまで支払われた歳費や期末手当などを国庫に返納させる制度を創設することを掲げている。また、勾留された国会議員の歳費などの支給停止や不支給も実施するとしている。
また、コロナで困難な状況にある国民に寄り添うためとして、現在実施している議員歳費2割カットをコロナが収束するまでの間は継続することも掲げている。
(ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)