23日のABEMA『NewsBAR橋下』にゲスト出演した元経産官僚で慶應大学大学院の岸博幸教授が「これはマジで実現したい」と「電力料金強制引き下げ法」を提言した。
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岸氏は「2030年に向けて環境問題が意識されていて、CO246%削減という目標も世の中で当たり前になってきた。経産省や資源エネルギー庁も22日、2030年までの電源構成について閣議決定した。ただ、経産省の試算はけっこう無責任で、政治が決めた“46%削減”だけを考えた無茶な省エネが前提になっていて、再生可能エネルギーをめいっぱい増やす一方、電力料金がどのくらい高くなるのかを語っていない。
日本は再生可能エネルギーを増やしてきたことで電力料金がもともと高く、特に産業向けの場合、先進国ではイタリアに次ぐ高さだ。家計においても、菅政権が携帯電話料金を下げたので、固定費で次いでお金がかかるものになっている。車もこれから電気自動車にしようと言っているし、米中対立の中で半導体の向上を国内に戻そう、データ安全保障のためにサーバも国内に置こうとしているが、いずれも電気を食う。それなのに今後も料金が上がっていけば、2030年の経済は悲惨なことになるだろう。電力料金を下げるためには原発再稼働や電力市場改革によってコストを抑え“2030年に実現する電力料金はこれくらいにしよう”のと決めておかなければならない」。
橋下氏も「僕は少数派だと思うが、これから言っていこうかな、と思っているのが、“気候変動の問題は、それほどヒステリックにやるものなのか?”ということだ。CO2削減は世界の潮流かもしれないし、多少なら我慢するが、一気にやってしまえばみんなが干上がってしまう。どこまで負担し、犠牲になるのかが見えない中で、“とにかく2050年ゼロだ”という政治家には文句言っていこうかと思っている」と応じる。
「小泉進次郎さんと議論したこともあって、次世代を引っ張っていく進次郎さんたちの世代が決めたことには従うが、やはり“成長しなくていい。静かに衰退しよう”というのは裕福な人たちが言っていることだし、気候変動問題も“学級委員”的な人たちが理想に燃えて“CO2ゼロを目指す。カーボンニュートラルだ”と言っているのではないかと思う。ただ、目指すのはいいけどコストをどうするのかと。もちろん、CO2をどんどん出せとは言わない。しかし日本の置かれた状況などを見れば、プロセスはもっと考えなければいけないのではないか。
その点、したたかなのは中国だ。日本は50年に実質ゼロと言っているが、彼らは2030年まではCO2を出し続けると言っている。経済成長しなければいけないから、ゼロを目指すのは2060年だと。東日本大震災を経験し、使用済み核燃料の最終処分場問題が決着していない以上、大型商業原発をどんどん進めることには僕も否定的だが、世界は小型原発にリプレースしていっている。もし再生可能エネルギーだけで全部やると電気料金はどうなるのか。スペインは失敗してえらいことになっている。本当はバランスだ。カーボンニュートラルの話をする人たちがすごく多いので、いろいろなところで疑問をぶつけていこうと思う」。
これに岸氏は「バランスがすごく大事だ。ヨーロッパの議論に引きずられすぎている。実際、スペインは電気料金がすごく上がっている。当然、環境問題は大事だが、そのためにすべてを犠牲にするのはおかしい。いまSDGsが流行っているが、その本質も、経済と環境と社会の調和ある発展をとろうということだ。つまり経済と並列で動いていかなければまずい。そう考えると、やはり電力料金を下げられる手段を取れよと思う。国民を貧乏にしてまで最優先でやる話ではないと思う」と話していた。(『NewsBAR橋下』より)