本当はテスラ株を売りたくて仕方がない? Twitterの投票で売却を決めるイーロン・マスク氏の“あざとすぎる手法”
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 「私が保有するテスラ株の10%を売却することを提案するが、あなたは支持するか?」アメリカの電気自動車大手・テスラ社のイーロン・マスクCEOが、“資産に見合うだけの税金を納めていないのではないか”といった批判に応えてTwitter上で始めたアンケート。

 「私はどこからも現金の給与やボーナスを受け取っていない。株を持っているだけなので、個人的に税金を支払うには株を売るしかない」として、日本円で約2兆3000億円相当のテスラ株を売却することで、4700億円近くの税金を納めることができると考えているようで、アンケートでも、賛成57.9%、反対42.1%と、過半数が売却を支持する結果となった。

【映像】イーロンマスクはあざとい?テスラ株売却をTwitterで投票 過半数がYes

■「本当は売りたくて仕方ないのに、ずるいやつだ(笑)」

本当はテスラ株を売りたくて仕方がない? Twitterの投票で売却を決めるイーロン・マスク氏の“あざとすぎる手法”

 こうした言動に対し、経済学者で慶應義塾大学大学院の小幡績准教授は「さすが、あざとい。あざとかわいくないから、なんと言ったらいいか分からない」と苦笑する。

本当はテスラ株を売りたくて仕方がない? Twitterの投票で売却を決めるイーロン・マスク氏の“あざとすぎる手法”

 「創業者、オーナー経営者というのは、自分が保有する株を売りたくて仕方がない。そうでなければ遊べないから。しかしそれは“この会社は終わりだ”というサインだと見なされ、株価が暴落してしまうことにも繋がる。だから経営者である間は、なかなか売ることができない。そこで彼は“みんなが税金を払えというし、喜んで払うためにも売ってしまおうかなと。俺はどっちでもいいけど、みんなの意見を聞いて決めようかな?”と。そうすれば合理的に売れる。本当は売りたくて仕方ないのに、“俺は売りたいわけじゃないけど…”と。ずるいやつだ(笑)。

 彼は企業買収についてTwitterで発信して罰金を取られたこともあるし、SEC(証券取引委員会)も常に目を光らせているので、普通はやらないことだ。ただ、今回の発信が違法なものかどうかは微妙だ。もちろん、“売った方がいいよ”という声が多くなることを織り込んでいると思うが、みんなに“決めてね”と言っているだけだから。“テスラはやばいよ”と言って暴落させておいて買えば“風説の流布”になるし、その逆も同様だが、今回は“税金払えと言われているから売るしかないと思うけど、みんなはどう?”という感じの投稿だから。お遊び半分、冗談っぽくやっているから詰めきれないと思う。憎たらしいけど、やはり上手い。

 そもそも、この2年で株価が40倍になっているというのは、世界中の車がテスラ車になったとしても説明がつかない。おそらくテスラ株を買っている人たちはバブルに乗っておこうとか、マスクのファンになっちゃっている個人投資家なので、こういう言動も逆に支持されてしまう。彼はアンケートに従って売るだろうし、テスラ株の株価も一時的には下落するだろうが、大暴落はしないし、すぐに戻してくると思う」。

本当はテスラ株を売りたくて仕方がない? Twitterの投票で売却を決めるイーロン・マスク氏の“あざとすぎる手法”

 元経産官僚の宇佐美典也氏は「今のテスラ株は、バブルの象徴みたいなものだと思っている」と指摘する。「PBR(株価純資産倍率)を見ても、テスラの場合は株価が1株あたりの純資産の数十倍に達してしまっている。また、アメリカでは量的緩和の金融政策が取られているわけだし、マスク氏としても、この状況がずっと続くとは思っていないはずだ。やはり株価が高いうちに売り抜けたい、あるいは経営が難しくなった時に再投資するために現金を積んでおきたいという思惑はあると思う。ズル賢いなと思ってしまう。ある種の、“株価操作のイノベーション”だと思う(笑)」

■「株式市場を富裕層だけのものにしないという考え方もあり」

本当はテスラ株を売りたくて仕方がない? Twitterの投票で売却を決めるイーロン・マスク氏の“あざとすぎる手法”

 テスラ社の時価総額は日本円で110兆円以上と、トヨタ自動車の4倍。また、米ブルームバーグによればマスク氏の純資産は約38兆円に達する。一方、資産のほとんどは株式などで、現金では持っていないというのがマスク氏の主張のようだ。

本当はテスラ株を売りたくて仕方がない? Twitterの投票で売却を決めるイーロン・マスク氏の“あざとすぎる手法”

 小幡准教授は「テスラからもらっている現金はないから、そこに関して税金を払っていないよということだろうが、資産はテスラ株以外にも10兆円以上はあるはずだし、個人で投資している株式の配当収入については税金を払っているはずだ。ただ、アメリカのように金利が高かったり、インフレ率が高かったりすると課税されるタイミングが先送りできるので、その間は得してしまうし、複利計算的に言えば、どんどん儲かっていくわけだ。

 やはり稼いだ時、金がある時に払わせた方が税金としては取れるし、他の人は毎年払っているという意味でも公平だ。あるいはいつかは売って現金化したり、相続したりする時がくるわけなので、そこで重い税率をかけるという制度にすれば公平性は保たれる。その点、富裕層への課税強化は必要であることは間違いないし、ヨーロッパも重税だ。株式売却益への税率を上げるというのが妥当だと思う。しかしアメリカは特にお金持ちに対して優遇が強い国。実現は難しいと思う」とコメント。

本当はテスラ株を売りたくて仕方がない? Twitterの投票で売却を決めるイーロン・マスク氏の“あざとすぎる手法”

 また、宇佐美氏は「含み益で考えた場合、日本で最も大きい運用益を出しているのはGPIF、つまり我々の年金積立金で、将来は我々に返って来るということになっているわけだ。ただし数十年後に自分たちの生活にと言われても、あまり心に響いて来ない。そう考えると、みんなで投資する枠組みを作り、少子化対策などで庶民に返ってくるようにして、株式市場を富裕層だけのものにしないという考え方もありなのではないか」と提案していた。(『ABEMA Prime』より)

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