10日、岸田総理と公明・山口代表の自公トップ会談が行われ、18歳以下の子どもへの10万円相当の給付について、年収960万円の所得制限を導入することで合意した。また、マイナンバーカード保有者へのポイント付与については「最大で2万円」で合意した。
前者の所得制限については、自民党は960万円の制限を設けること、公明党は制限なしでの支給などを訴えて協議が行われてきたが、なぜスピード決着となったのか。テレビ朝日政治部の野中里紗記者が伝える。
Q.どのように両党の折り合いがついた?
経済対策は19日に閣議決定するという期限が決まっているが、全体で30兆円規模の対策があり、言ってしまえばこの給付は一部。これからもっと議論すべき課題があるので、早期に決着することが自公にとってメリットになるということだと思う。
Q.公明党が譲歩したかたち?
公明党はこれまで、給付問題などで粘り強く交渉してくる政党で、交渉前にも竹内政調会長もTwitterで前のめりに発言をしていた。これがちょっと先走ってしまった面があって、自民党との裏での交渉がうまくできない状況になり、自民党の主張を飲むかたちになったのでは。
Q.公明党としては、今回の衆院選で躍進した日本維新の会への危機感があった?
関連は少しあると思う。今回、維新が躍進して第3党の座が奪われてしまい、公明党としては「未来応援給付」で存在感を示したかったと思う。しかし、強く主張しすぎたことで世間から批判が出てしまったので、「これではいけない」と一歩引いたというのはあると思う。
Q.給付は年内に現金5万円、来年春に向けた5万円のクーポンという“二段階”にした理由は?
18歳以下の全員に現金給付というのは「バラマキだ」という批判がかなり多かった。これは自民党の中に出ている意見だけでなくて、公明党にも批判の声が届いていた。現金10万円にこだわるのではなく、10万円相当の支援ということで決着するというのは、公明党にとっても悪い結論ではなかったのだと思う。
Q.5万円相当クーポンの具体的な内容は見えている?
政府としてまだ特にモデルケースのようなものを示しているわけではないが、東京都がすでに行っている取り組みが似ているものになるかもしれない。都は「東京都出産応援事業」という“赤ちゃんファースト”の支援を行っている。これは家事支援や育児支援、赤ちゃんの洋服やおむつが掲載されたウェブカタログを用意して、申込みを行った対象者に対し10万円相当のポイント(新生児1人当たり)を配って選べるようにしている。
ただ、今回政府が決めた内容は18歳以下で、都とは違って対象年齢が増えるので、ランドセルや文房具といった対象のものが増えて、こういった内容になるのではないか。公明党としても子どもの支援はやりたかったことなので、ここは譲れないところになる。あまり関係ないところに使うことは考えづらい。
Q.マイナポイントについて、公明党は当初3万円としていたが、なぜ2万円になった?
公明党の3万円に対して、これも「バラマキだ」と批判が出ていた。自民党としては5000円分を提示していたので、3万円とその間ですり合わせていった結果、真ん中ではないものの、両者が譲って出た結論になる。
(ABEMA NEWSより)