「1日7時間費やす学生も…」クラスに1人が“ヤングケアラー” 埼玉県が全国初「ケアラー月間」制定
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(3枚)

 家族などの世話や介護を無償で行うケアラー。18歳未満は「ヤングケアラー」と呼ばれ、今年3月、初めて国のプロジェクトチームが立ち上がり話題になった。

【映像】“レッテル貼り”しないで クラスに1人は「ヤングケアラー」(6分ごろ〜)

 そんな中、埼玉県が今年から“11月”を「ケアラー月間」として制定。「ケアラー月間」が設けられるのは、全国初となる。県では去年3月にも、全国で初めて「埼玉県ケアラー支援条例」を施行。背景には何があるのだろうか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、県の担当者を取材した。

「(県民に調査をしたところ)ケアラーという言葉を知っている人は、17%と低い数字でした。そこで集中的に期間を限って、広報を行うことで、ケアラー支援の理解、またその協力の輪を広げていきたいという思いから『ケアラー月間』を制定しました。ケアラーの方々も、やはり自覚のない方が多いと思います。『自分が親やきょうだいの介護をするのは当たり前』と思って行っている方がものすごく多いと思いますので、顕在化していない現状があります」(埼玉県 福祉部 地域包括ケア局の金子直史局長・以下同)

 実際に去年、埼玉県が県内の高校2年生およそ4万8000人を対象に調査をしたところ「ヤングケアラーである」「過去にヤングケアラーだった」と回答した人は4.1%。25人に1人だった。これは、学校生活で換算すると、クラスに1人の割合となる。

「1日7時間費やす学生も…」クラスに1人が“ヤングケアラー” 埼玉県が全国初「ケアラー月間」制定
拡大する

 悩んでいる子どもたちは、周囲の大人や学校にどのような支援を求めているのだろうか。同調査では「困ったときに相談できるスタッフや場所(がほしい)」が16%、「信頼して見守っている大人がいること」が14.5%だった。

 ケアラーの支援について、金子さんは「制度の狭間になっている」と危機感をあらわにする。

「ヤングケアラーの場合は、子どもがそういったケアをすることで学業に影響が出てくる。例えば授業にいけないとか、部活に参加できない、そういった影響が懸念されています。まず、支援体制が行き届いていない。孤立・孤独化しないように、支援体制の整備を早急に進めて行くことが改めて必要です」

「1日7時間費やす学生も…」クラスに1人が“ヤングケアラー” 埼玉県が全国初「ケアラー月間」制定
拡大する

 県ではケアラー月間中にオンラインフォーラムやヤングケアラーのオンラインサロンを始めるほか、小学4年生から高校3年生の全ての生徒にケアラーのことを書いたハンドブックを配布し、認知度を上げて理解を促進するとしている。

「中にはケアが『1日7時間かかっています』というような方もいらっしゃいます。そういう方は学業等に支障が出ています。きょうだいや親の面倒をみることは非常に素晴らしいことですが、学業等に影響が出てしまうのはいいことではありません。そういった方々が、学業生活を送れるようにしていくのが我々の役目かなと思っています」(『ABEMAヒルズ』より)

この記事の画像一覧
【映像】「介護の認識なかった」高校3年生で母親が寝たきりに…
【映像】「介護の認識なかった」高校3年生で母親が寝たきりに…
【映像】「クラスに1人が…」埼玉県が動いた「ケアラー」月間 制定の理由
【映像】「クラスに1人が…」埼玉県が動いた「ケアラー」月間 制定の理由
【映像】コロナで"神経性やせ症"の子ども増 臨床心理士も危惧
【映像】コロナで"神経性やせ症"の子ども増 臨床心理士も危惧
この記事の写真をみる(3枚)