国会議員1人に対する費用は2億円とも…? 文通費問題を契機に全体の“見える化”を
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 国会議員の給与とは別に毎月100万円支払われる「文書通信交通滞在費」をめぐり、先月の衆議院選挙で当選し、1日しか在職していない議員にも全額支給されたことが問題視されている。

【映像】“文通費”問題に疑問噴出

 18日、自民党と立憲民主党の国対委員長が会談し、文通費について日割りでの支給を可能とする法改正を来月の臨時国会で行う方針で一致した。また、すでに受け取った10月分の文通費を国庫に返納できるようにすることについても、国会で協議することで一致した。

 日本維新の会の新人・小野泰輔衆院議員が疑問を呈したことに端を発し、与野党が追随しているこの文通費問題について、テレビ朝日政治部の今野忍記者が解説する。

Q.そもそも「文通費」とは?

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 文通費は、国会議員の給与に当たる毎月約130万円の歳費とは別に、毎月100万円支払われるお金。期末手当(ボーナス)が年2回の約600万円で、歳費と合わせて年収2000万円と言われるが、これとは別に毎月100万円の文通費が出ている。問題点とされているのは主に3つで、税金がかからないことと、領収書が必要ないこと、1日でも在職すれば満額がもらえること。歳費は過去に法改正がされて日割り換算となっていて、その時に文通費も一緒にやればよかった。

Q.文通費の問題は過去にも指摘されていたそうだが、なぜ今になって火がついた?
 公明党が言っていたこともあったし、維新も言っていたが、一番大きい自民党と立憲民主党という第1与党と野党が一致してやらないとなかなか大きな問題になっていかない。総務省の今の法律の解釈だと、国庫への返納は国への寄付になってしまうのでできないと。法改正をしてこれを日割り支給とする方向で与野党が一致している。

Q.文通費は正しい用途で使われている?
 知り合いの国会議員に聞くとさまざま。みんなが正直に答えるわけではないかもしれないが、政治活動にお金がかかることは確かだ。この話の一番の問題点は、領収書が必要なくて何に使ってるかわからないところ。

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 国会議員は国庫で雇える公設秘書が3人いる。だいたいの政治家を見ていると、大物だと秘書が10人、20人いる人もいるが、そうでない人でも永田町の議員会館の秘書が最低2人は必要で、地元で選挙活動するための秘書を3人置くとすると、2人分は自分で出さなければいけない。それを文通費から出したりしている。

 日本維新の会は、所属議員の領収書をホームページで公開し、明朗会計にしている。見てみると、どの議員も政党支部への寄付が多い。これはおそらく、地元の選挙事務所の家賃や人件費を払ったりするための人件費だと思うので、どうしても選挙にかかる必要になってしまうのでは。

 大事なのは“見える化”すること。議員会館の事務所の家賃はタダで、場所と広さを考えると、普通に借りるとしたら100万円近くかかるだろう。パソコンも2、3台支給されていて、かなりいろいろな手当がある。政策を作るには、国会図書館に優秀なリサーチャーがいて、頼めば資料を早くまとめてくれたりもする。その中でさらに自由な100万円があるというのは、使い道を明示しないと納得は得られないだろう。

Q.そもそも国会議員はJRや新幹線などのパスが支給されていて、「交通費」はそんなにかからないのでは?
 交通に関して、国会議員は基本的にお金がかからない。JRパスが支給されて、新幹線のグリーン車も無料、飛行機は月に2、3回分の地元への航空チケットが支給される。タクシーは使った分だけかかると思うが、そこまでいかないだろう。

 通信費は、昔は国際電話をちょっとすると数万円かかったり、FAXや手紙もあったが、今はメールやLINEを使っている人も多い。SNSやインターネットがあるわけで、そんなにかからないだろう。これらが時代とともに変わってきているのに、文通費の使い道が変わらずに来てしまっているところが問題点として残っている。

Q.国政のための費用であれば「問題ない」「必要な額を使ってほしい」との声も

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 今はコロナなのであまりないが、例えば忘年会や新年会。政治家は自分の地元を回るが、1日3件、4件はしごして、1回5000円ぐらいの会費を置いていくなんてことをしていると、1日数万円というお金が飛ぶ。私の知っている若手議員でそんなに羽振りがよく、お金が余っているという議員はいない。それなりにみんな人件費なんなりでお金がかかっていることは確かだ。

 一方で、1人当たり2000万円の給与(歳費とボーナス)とは別に、1200万円の文通費があったり、780万円の立法事務費があったり、3000万円分の政党助成金があったり。立法事務費は会派や政党に納めたりしていると思うが。また、議員の公用車として何十台と手配されていて、(費用を)全部合わせれば国会議員1人当たりに2億円ぐらいかかっているとも言われている。ただ、国の中枢で法律をつくる大事な仕事であることは間違いなく、それに見合う仕事ができるかどうかだ。この100万円の問題を契機に、改めて“見える化”することが一番大事だと思う。

 これもやめよう、あれもやめようとなって、逆に世襲とか一部のお金持ちじゃないと国会議員になれないというのもよくない。選挙に使うお金と、政策に使うお金がしっかり区別できるような制度といったものを考えていかないといけないと思う。ただこの100万円の問題をやめればいいとか、続ければいいという話になってしまうと、方向がずれていってしまうように思う。(ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)

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