「武蔵野市を良くする為の住民投票に、なんで日本に来たばっかりの、日本語さえ理解出来ない外国人の投票が必要なんだよ」
「外国人の声を取り入れた街づくりに反対する人の考えが分からない。みんなにとっても住みやすい街になると思う」
インターネット上で賛否の声が相次ぎ議論となっているのが、19日に東京・武蔵野市の議会で提出された住民投票条例案。この条例案は、18歳以上の住民のうち、市内に3カ月以上住んでいる人に住民投票権を認めるもので、技能実習生や留学生など外国籍の住民も含まれるという。
「武蔵野市住民投票条例案は、市民自治の更なる推進を目的として、二元代表制を補完するものと考えています。住民投票の結果を市長や議会は尊重する、諮問型の住民投票です」(武蔵野市・松下玲子市長のTwitterより)
この条例案の目的は、市民自治の推進。ただ、なぜそこに外国籍の住民を含めることになったのか。『ABEMAヒルズ』の取材に対して武蔵野市は、「これまでも国籍を問わず意見交換会やパブリックコメントという市政への市民参加が行われてきた経緯があり、住民投票もその市民参加の新たな手法の1つと位置づけ、同じ『住民』である外国籍の方にも参加していただきたい考えである」と説明している。
これに対し相次いでいるのが、外国籍の人の意見が反映されるとなった場合、「外国人による乗っ取り」が起きるのではないかという指摘だ。すでに市には300件以上の電話による意見や問い合わせが殺到。市側は、条例案にまつわる疑問に答えるページを用意している。
「特定の意図を持った外国籍の人が大量移住してくるのではないか?」との問いに対しては、「都市部にあって人口密度の高い本市においては、特定集団の大量移住により、前述の実施要件や成立要件をクリアできる可能性は極めて低いと考える」としている。また、条例に基づく住民投票のため、法的拘束力を持たせることはできず、最終的に市政に反映させるかどうかは議会と市長が結果を尊重し判断していく方針だということだ。
同条例案について、ニュース解説YouTuberで「The HEADLINE」編集長の石田健氏は、社会的に多様性を尊重する流れは確かにあるとする一方で、「納得感」が得られるかは別問題だとの見方を示す。
「市民自治の推進という言葉が書かれているが、“自分の住んでいる市のことを自分たちで決めたい”という気持ちは大事なわけだ。条例に納得感を持ってみんなが乗れるかというところも大事なので、しっかり対話をする、議論をする、みんながそれぞれ考える。ここから市民自治はスタートするんだろうと思う。外国人も投票権を認められるという条例は、すでに全国で40以上ある。異なるのは在留期間などの要件で、それに比べると今回はゆるくなっているのが1つ議論のポイントだろう。また、特定の意図を持った外国籍の人が多数来るという懸念だが、愛知県知事へのリコール問題で票が偽造されたことが明らかになったように、日本人でも不正は起こるわけだ。“外国人だからどうこう”という懸念はわかるが、住民投票事態にリスクは常に付きまとうわけで、だからこそ透明性を持って議論する必要がある」
一方で、今後こうした議論は進んでいくだろうと推測する。
「“誰が日本人なのか”という問題が今後出てくると思う。『日本人じゃないのになんで投票できるの? おかしいじゃないか』と直感的に思う人は多いが、日本の在留外国人は約280万人で、全人口の2.3%。10年近く前が200万人しかいなかったので、増加ペースは早い。民主主義というのはより多くの属性の人の声を拾い上げるのが大事で、2.3%の外国人はいろいろな権利が制限されているという時に、どこまで認められるのか。安全保障であれば不安だけど、ゴミ捨てや街の暮らしやすさの問題といったところは全員参加したほうがいいんじゃないか。こうした考えは今後出てきて、日本の中での議論は広まっていくと思う」
武蔵野市住民投票条例案は来月13日の総務委員会で審議され、その結果は21日の本会議で報告される予定となっている。(『ABEMAヒルズ』より)
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