今月30日に投開票が迫った野党第1党・立憲民主党の代表選。連日、4人の候補者が政策と理念、支持を訴えている。
10月31日に行われた第49回衆院選では、立憲民主党が中心になり、野党共闘を掲げた。しかし、政権交代にはつながらず、結果、立憲民主党の議席数は公示前の109議席から13議席を減らし、96議席に。一方、自民党・公明党の与党は過半数を上回る293議席になり、絶対安定多数(261議席)を上回った。
【映像】ひろゆき氏「選挙で“なぜ負けたのか?”が明確になった」4候補に痛烈ダメ出しシーン(10分30秒ごろ〜)
そして、代表選を控えた今、改めて立憲民主党に厳しい現実が訪れている。ANNが行った世論調査では「(立憲民主党の)新代表は誰がいいか?」の質問に、泉氏が12%、西村氏10%、小川淳也氏9%、逢坂誠二氏8%の順で支持を集めた。しかし、一番多かった回答は「わからない・答えない」で61%。なんと6割の人が「誰がいいのかわからない」という回答だった。さらに、出口調査を使い日経新聞が試算したところ、40歳未満では自民党が大きく議席を伸ばし、逆に立憲民主党を含む5野党は議席を減らすという結果となった。
なぜ、立憲民主党に若い世代からの支持が広がらないのだろうか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、立憲民主党・代表選挙の候補者4人が生出演。「大学生流行語大賞2021年度上半期(ヒト部門)」で3位にランクインした、ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏と生討論を行った。(※ランキングデータは「ユーキャンパスユース」より/調査対象:大学生300人、期間:2021年10月9日〜19日)
番組では、4人の候補者に「代表になったら、まずは何をやりたいか」を書いてもらった。
【それぞれの回答】
西村智奈美氏「執行部に女性若手を積極登用」
小川淳也氏「女性・若手の登用」
逢坂誠二氏「コロナ対策(個人・事業主)」
泉健太氏「12月の臨時国会で給付金の対象をワーキングプア層に広げる」
上記回答に至った理由を聞いていくと、元厚労副大臣の西村智奈美氏(以下、西村氏)は「党の中心となっていく執行部に女性や若手の積極登用をしたいと思っている。立憲民主党にはたくさんの多様な人材が揃っている。今後の選挙の進め方、考えていく上でも、ぜひみんなでチームになれる、仕事のできるチームを編成したい」とコメント。どのような人選か、具体的なイメージについては「考える」といい、「これは現実的に一緒に仕事ができる方ということで、考えていきたいと思っている」と答えた。
元総務政務官の小川淳也氏は「(西村氏に向けて)かぶってごめんなさい。最初の仕事は人事なので、女性・若手の登用ということになる。限りなく半々にしたい。具体像はない」と述べた。
また「コロナ対策(個人・事業主)」と書いた元総理補佐官の逢坂誠二氏は「今、コロナ禍の中で、全国で生活に困窮している人がものすごく多い」と言及。「その意味ではコロナ対策をまず積極的にやらなくてはいけない。事業に行き詰まりを感じている方もいるので、個人と事業に対する対策は急務だ。自殺者も増えていて、そこに全力を上げなければいけないと思っている」とコメント。「感染対策ももちろんやる」とした上で「(自殺などで)亡くなる人を抑えなくてはならない。だからまず個人への支援が最優先だと私は思う」と語った。
「12月の臨時国会で給付金の対象をワーキングプア層に広げる」と書いた立憲民主党の政調会長の泉健太氏は「12月には臨時国会がある。そこで、今話題になっている生活困窮者向けの給付金だが、これをワーキングプア層に広げることをしっかり訴えていきたい。住民税非課税世帯というのは、あまりに(対象範囲が)狭い。まずは、年収100〜200万円ほどの世帯にも給付金がしっかり広がるようにしたい。場合によっては、経済的に余裕のある高齢者の方には、少し年金を我慢していただくなどの施策もあり得る」とコメント。
ここで、4人の回答を聞いたひろゆき氏は「党員に対してのアピールではなく、国民に対してアピールしないと『立憲民主党っていいよね』とならないと思う」と発言。
「党内の女性比率はけっこうどうでもいい問題。給付金を配る、コロナ対策すると言ってくれたら『じゃあ立憲民主党に任せたらこうなるんだ』とわかる。女性比率増やすと言われても、それで(国民にとって)何が手に入るのかがわからない。もっとメディアがどのように取り上げるのかを意識して話したほうがいい」
ひろゆき氏の指摘を聞いた西村氏は「『まず代表になったら』ということで、こう(執行部に女性若手を積極登用)書かせてもらった。『政策でやること』ならば、新型コロナの状況を鑑みて、本当に困難な状況にある方に対して、政治で手助け、これをきっちりやり切りたい」と補足。小川氏は「(代表になった)その日に何をやるかという質問だった。最初の仕事は人事だ。ジェンダーの問題を意識した先進な体制を作りたい」と述べた。
西村氏と小川氏に、ひろゆき氏は「言っていることは正しい」と肯定した上で「ただ、メディアにどう取り上げられるかも含めて、SNSで知名度が広がって、ようやく自分の考えや政策が世の中に伝わる」と念押し。
「今回の放送の後で、泉さんの場合は、(経済的に余裕がある)高齢者の年金を削る可能性があると言った。どこかのメディアで取り上げられて『泉氏、高齢者の年金を削ると言った』みたいに記事になる可能性がある。今の段階では、立憲民主党がどのようにメディアに取り上げられるか、これを考えなきゃいけない。代表になって1日目にやるべきことを真面目に答えるよりも、国民に『この声を聞いてほしい』という主張をうまく混ぜるべき。メディア対策は必要だ」
これに西村氏は「すごくありがたいアドバイスだ」と感謝。「本当にこの代表選挙を通して、私が考える社会のあり方、これをしっかり訴えていけるという意味では今の助言も参考にしたい」と語った。
慶應義塾大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純氏は「僕は元々、民主党の支持者だった」と告白。その上で若新氏は「やっぱり古い構造を変えていくということは、難しいことだと思う」と苦慮する。
「僕にとっての自民党は『構造は簡単に変わらないから、古い構造はある程度維持しつつも、その中で権力を持って、ちょっとずつ変えていく』という政党。だからうまく運営できるけれど、打順はなかなか回ってこない。それに対して(立憲民主党は)古い構造とも戦うし、打順もみんなに回るようにするよ、という希望がすごくあった。じゃあ、具体的にどうやるかという話になると、この番組を観た人は『結局、立憲民主党の人は全然答えられていないじゃん』となりがちだ。でも、ちょっと贔屓して言うと、質問が難しいから、うまく答えられないと僕は思う。構造の中から何かを変えるかより、構造をどう変えるかのほうが遥かに難しい。その難しいことに、理屈で答えようとすると、今日みたいになってしまうんじゃないかと思っている」
「たぶん『この人が政治の構造を変えるかもしれない』という希望がないと、SNSでバズらないだろう。だから、こうやって、ひろゆきさんから『具体性がない。口だけで変えられそうにない』となって(言われて)しまう。でも、有権者は、理屈ではなく『この人なら日本を変えられそう』と思ったらムードだけでも、けっこう動くと思う。当然、みなさんに理屈を持っていないとは思っていない。ただ、もう1回、元ファンとしては、ムードを盛り上げてほしい」
今月30日に投開票される立憲民主党の代表選。野党第1党の代表を選ぶ選挙であり、次の選挙も視野に入ってくる。野党共闘の行方も気になる中、それぞれは今後何を旗印に政治活動を行っていくのだろうか。
泉氏は「批判ばかりではなく、国民のために働く。自民党よりも地域を歩き、声を聞き、人のために貢献する。それが我々、立憲民主党だ」とコメント。
西村氏は「やっぱり政治の仕事は、社会の理不尽を許してはいけない。理不尽はなくしていくべきだ。多様性を力に変えて、みんなで政治を作り上げていき、国民の命と暮らしを守っていきたい」と語った。
小川氏は「本当にいい加減、この古い構造をちゃんと改革して、新しい時代に行かなければいけない。構造改革への熱意と本気度、これが伝わる執行部を作りたい」と回答。
最後の逢坂氏は「私は一点張りだ。人への投資、教育。これを旗印にしたい。理由は明確で、昭和の時代に積み上げた日本の様々な遺産、資産を平成で食いつぶしてしまったからだ」と述べた。
4人の旗印を聞いたひろゆき氏は「こういうとき、どのようなキーワードが(メディアに)持っていかれるかどうか、ちゃんとわかって話した方がいい。その練習した方がいいと思う」とアドバイス。
一方で若新氏は、小川氏が出演した映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』に言及。
「不器用な小川さんが映画で売れた理由は、本当に監督が上手に切り取っているからだ。今ひろゆきさんが言ったキーワードに当たる部分を、監督が上手に引き出している。誰か第3者がプロデュースして引き出すだけではなく、自分でこの部分をうまく伝えられるようになると、自分のいいところも含めて、立憲民主党を知る、良い入り口になると思う」
いよいよ終盤に入った立憲民主党の代表選挙。今回の選挙を通じて、立憲民主党の支持が広まるのかどうかにも注目が集まっている。(『ABEMA Prime』より)
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