日本に入国した人を一時待機させる施設がひっ迫し、成田空港から遠く離れた福岡などに移動を余儀なくさせられるケースが出ていることがわかった。
「だいぶ疲れましたね。24時間以上寝ていなかったことになるので」
こう語るのはアメリカの製薬会社で研究員をしている苅田譲さん。苅田さんは、名古屋にいる両親に会うため、今月7日にサンフランシスコから成田へ帰国していた。しかし、空港内でPCR検査を受けた後、近くの隔離施設に移動するのかと思いきや、都内近辺のホテルに空きがなく、福岡の施設へ行くことになったという。
政府は、先月30日から外国人の新規入国を原則停止していて、入国が認められるのは日本人のみ。その中で、オミクロン株が流行している国や地域からの入国者については、空港検疫で陰性と確認された後も、国が確保した施設で3日から10日の待機を義務づけている。
こうした水際対策の強化によって対象者が待機する施設が不足――。成田空港に到着した帰国者が福岡や仙台の施設に移動させられるという事態が起きているのだ。この事態にSNSなどでは、直前まで行き先がわからないことから、“隔離ガチャ”などと揶揄されている。
改めて、苅田さんの例でみてみると、サンフランシスコから約11時間かけ、7日午後3時ごろ成田へ到着。その後、空港内で検査を受けるなどで4時間近く待機し、午後7時福岡行きのチャーター機に搭乗した。
午後8時半に福岡に到着したが、ここでも空港内での待機やバス移動などに時間がかかり、やっとホテルの部屋で一息つけたのは午後11時ごろだったという。
この状況に、苅田譲さんは「ガチャを回す人間は完全に運試しするしかないという気持ちになりましたね」と話し、食事は部屋に届けられる弁当などで済ませられたが、部屋から出ることが出来なかったため洗濯には苦労したという。
「着るものがなく、ランドリーがあったので『使えますか』と聞いたら、『ダメだ』って言われてしまって……。洗剤も無かったので、ボディソープで足踏みして洗いました」
苅田さんは3日間の隔離後、再びチャーター機で成田にUターン。帰国後14日間は待機期間とされているため、21日までは都内に滞在し、その後ようやく名古屋の両親に会いに行く予定だという。
こうした状況に、岸田総理は施設確保のため、小池都知事や吉村府知事らに協力を要請していて、小池都知事は「岸田総理からの協力要請を受けまして、都の宿泊療養施設の2,000室以上、変異株に対しての指定国・地域からの入国者を対象とした、国の検疫施設として提供をいたしたところであります」と述べている。(『ABEMAヒルズ』より)
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