SNSでのプライベート公開で“推し”化、コロナ禍で客層の低年齢化も…環境の変化に晒されるホストクラブ業界のいま
ホストは人を幸せにする? »

 「テレビって出てみるものだなぁと。ホストを始めて4年目になるが、このスタンスを変えるつもりはない」。去年2月に『ABEMA Prime』に出演した際、自身に性風俗店で稼いだ1000万円もの大金を貢ぐ女性客のことを「叩けばお金が出るATM」と表現、Twitter上で厳しい非難を浴びたというホストの五月五月(サツキメイ)さん。

【映像】ホストは人を幸せにする?沼にはまり病むことも?

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 それでも勤務する歌舞伎町のホストクラブの電話は鳴り止まなかったと明かし、大金を貢いだ客についても、「それでも関係が続いているということは、お互いの利害が一致しているというか、好き嫌いだけはないものがあるんだと思う」と自己分析。さらに「自分は結局、お金を稼ぎに来てるんで。女の子が闇金で借りていたとしても、正直、自分にはデメリットはない。ただし、もしその子が“飛んで”しまった場合、全額が自分持ちになるから」として、客の女性による売掛、いわゆるツケ払いにも抵抗はないとした。

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 こうした五月さんの発言に、ホストクラブには足を運んだことが無いという「ブラックダイアモンド」リーダーのあおちゃんぺは、「幸せって言うけれど、私の周りでホストに行っているキャバ嬢とかコンカフェ嬢、アイドルたちは、みんな病んでいる。殴られたという話も聞いたし、いち個人の感想だとは思うけれど、“ホストにこれだけお金を使ったのにこういう扱いをされた”という話も聞いた」と強い懸念を示す。

 ところが昨今の環境の変化によって、“ホスト狂い”の女性たちがホストに数百万円を貢ぎ…といった、従来のイメージとは異なる状況も生まれているのだという。

■「クリーンになってきているとも思う」佐々木チワワ氏

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 15歳で“歌舞伎町デビュー”、ホストクラブ通いにハマっていたという大学院生の佐々木チワワ氏は、五月さん、あおちゃんぺ双方の意見を踏まえ、ホストと客の間にSNSが介在するようになった結果、健全化が図られる側面もあるのではないかと主張する。

 「今のホストはSNSが必須なので、五月さんのような振る舞いも“戦略”の一つだと思う。“お客さんと寝た”といって晒された写真を宣材にして知名度を上げたホストもいる。あるいはTikTokで流れてきたイケメンを見て、“アイドルかな?”と思ったらホストだった、でも行ってみたい、となって、子どもが母親同伴で通うというケースもある。

 そして“通ってみたら、意外と優しい”“あんなこと言っているけど、私の前ではこうだもん”という、そのオン/オフのギャップにハマってしまい、お金がかかってしまう側面がある。お店というステージで見せる“オンの顔”と、お店の外でご飯に行ってる時やLINEで見せる"オフの顔"の両方に触れられるところがホストクラブの魅力になっているということだ。

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 これはアイドルの握手会と同じ感覚だと思う。ホストクラブも、最初の、“行ってみたい”という願望は数千円で叶えられる。そして“いいな”と思ってからがスタート。LINEも交換できるので、オフの顔を知りたい、ご飯に行きたい、関係性を作りたい…となっていくと、何百万とかかる。それはいわば維持費、“関係性のサブスク”だ。売掛についても、信頼関係の証だとも言えると思う。“会って3回目だけど、お前なら大丈夫だよ、信じるよ”というのは、営業トークとしても使える。上手いホストは、売掛すらも営業として組み込んでいる印象もある。

 それだけに“男らしさ”みたいな部分がなくても、あるいは接客がテキトーであっても、推してくれる子がいれば、ある程度は稼げちゃう。最近では“接客なんてできなくていいし、お酒なんて飲めなくてもいい。好きで来ているから、応援してるから無理しないで”と言いながらお金を使っている子もいるくらいだ。

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 ただ、息抜きのつもりで行っていたのだから、過呼吸にならないようにしないといけない。私の場合も、1、2年前には、お金を使えない自分には価値がないんじゃないか、大切に扱ってもらえないんじゃないかと病んだ。行きたいときに売掛ができるのはありがたいが、今は給料とよくご相談、という感じだ。ホストクラブにはそういう仕掛けがたくさんあるものだが、そこまでホストのことを思えるというのは、ある種、幸せなことかもしれないし、そういう環境の中で、どういうホストと出会えるかだと思う。

 もちろん、SNSで“これだけ使った”と消費を誇示するとか、女の子側が自分の価値をお金に換算してアピールすることに慣れてしまうという問題もあると思う。ただ、昔はそれこそお店の中だけという閉鎖空間。入ったら最後、出て来れないみたいなイメージもあったと思う。でも今は“こういう営業方法だよ”とか、“何百万も売掛をさせられて、こういうことをされた”とか、LINEのスクショも含めて、全部がSNSに晒されてしまう。結果として下手な営業ができなくなってきていると思うし、悪いことをするホストも減って、クリーンになってきているとも思う」。

■「飲み屋として以外のニーズ、そしてコロナ禍…業界は過渡期だ」手塚マキ氏

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 佐々木さんの指摘を受け、前出の五月さんは「僕の場合、SNSはTwitterとインスタだけで、TikTokはそもそもインストールもしたことがない。YouTubeも頑張ったが、結局やめてしまった。自分が代表を務めるお店にも、営業後にTikTokをやったり、YouTubeを撮ったりしているホストがいるが、ホスト業をやりながらSNSもこなすのは、本当にすごいなと思う」とコメント。

 そして「自分はその分、何をしなければいけないかと考えた結果、どれだけ女の子と一緒にいるか、連絡を取るかで勝負しないといけないと思っている。そもそもホストクラブというのは、顔っちゃ顔。僕は見ての通りイケメンではなく、実はお酒も一滴も飲めない。だけどホストとして売上を作れたのは女の子たちのおかげ。どうしないといけないのか?を毎日考えながら営業している」と、別の一面も覗かせた。

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 1997年から歌舞伎町で働き、No.1ホストを経て独立、ホストクラブSmappa!Group会長を務める手塚マキ氏は、五月さんのこうしたスタイルについて、「炎上商法じゃないけれど、過激なことを言って注目を浴びようとしただけに見える。ただ、それを是として追随する人間たちのことも含め、あまり取り上げない方が、業界としては嬉しいし、五月くんもお店の代表をやっていくのであれば、もう少し広い視野で発言してほしいなと思う」と釘を刺しつつも、業界も過渡期にあるとの見方を示す。

 「ホストクラブというのは、化粧品やエステと同じで、最初は安い。1万円、2万円で遊び続けようと思えば、それもできる。僕の場合は飲み屋として、稼いだお金で遊びに行く、ご褒美になるような場所をつくっていきたいが、ショーパブのようにワーっとはしゃいで、お金をバーンと払うのが楽しいという人もいると思う。もちろん、いろんな要素があっていい。

 ただ、ホストというのはそれぞれが個人事業主なので、お客さんが使った額の約半分が入ることになる。逆に言えば、自分が使った額のうち、いくらがホストに入っているのかが分かっている状況で遊ぶ。だからこそ、使いたくなってしまいたくなる要素もある。ホストクラブには、そういう“仕掛け”がたくさん張り巡らされているので、来ている子たちが本当に幸せなのか、あるいは癒やされているのかどうか、それは組み合わせの数だけマッチングがあるはずで、何が接客の正解かも難しい。

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 ただ、1対1の人間同士だし、決して病みやすい環境だとは思わない。ただ"ホストにハマっている私"というのが、世間的には間違っているという空気があるからこそ、“病んでいる”と感じるのではないか。そもそも繁華街、水商売というのは社会のセーフティネットになっている部分がある。だから誰でもホストになることができるし、悪いことをしたホストのことがニュースになるが、悪いやつがホストになっているというケースもある。そして、繁華街である以上、良い思い出が作れることもあれば、悪い思い出が作られてしまうこともある。そういうことを理解して行く、“大人の遊び場“というのが大前提だ。

 それでも、これからの時代にホスト業界がどうあるべきか?を考えると、佐々木チワワさんがおっしゃったように、推しを見つけるような、エンタメ的なニーズが出てきているのも確かだと思う。かつては“短期間、お金のために働く”、あるいは“やりたくてやっているわけではない”という人が集まる、“通り過ぎる”職業でもあったが、今はSNSで見られる時代で"開かれた職業"になってきたので、ホストをやっていたという過去が消えない。むしろ“職業ホスト”と名乗り、誇りを持って堂々とやっている30歳くらいのホストもでてきた。彼らがこれからどういうキャリアを積んでいくのかだろう。

 コロナ禍によって、ホストクラブが年齢の高い女性たちが楽しく飲みに来る場所ではなくなり、若者が集まる場所になってしまっている。それはおそらく、男性向けの業態でも同じだと思う。昔ながらのクラブが苦しくなる一方、イケイケのキャバクラの売上が上がっている。良くないことに、そうしてホストクラブやキャバクラがバブルを迎えてしまったことで、“こうやっていった方が儲かるんだ”という感覚になり、開かれていくというよりも、閉じられた中でハマった人だけで面白いものにしていこうという文化が強くなってきている。今までのホストクラブに、女性が男性と同じように夜遊びできる場所という社会的意義があったとすれば、その価値は残した方がいい。ただ、社会に合わせて、どんな意義を持つのか、我々も考えていかないといけないと思っている」。(『ABEMA Prime』より)

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