「私からしたら、2人とも大切な人間だったし、それを背負って、これからも生きていかなきゃいけないと思うと。すごくつらい」。
2019年1月、千葉県野田市に住んでいた栗原心愛さん(当時10歳)が父親による虐待が原因で死亡した事件。現在服役中の父親は、真由さん(仮名)の兄にあたる。姪の心愛さんとは交流の機会が多く、一緒に暮らしていた時期もあったという。
「うちにいるときは髪型を見てあげたりとか、お友達の悩みとかを聞いてあげたりとか。本当に娘のように接していた。クリスマス会をしたのが、亡くなる1カ月前。いちごが食べられない私の子どもたちのために、心愛がいちごをアポロのチョコに見立てたクリスマスケーキを一緒に考えてくれて…」。
事件のことは、発生翌日にインターネットで知った。「怒りとか涙とかよりも、床をバンってたたいたのを覚えている。言葉にならなかった。(兄に対しては)本当に何をやっているんだ?っていう。(心愛さんが)亡くなったということを受け止めきれなくて…」。
混乱の中、自宅には大勢の報道陣が押し寄せた。「“一緒に住んでいたんでしょ?”と言われても、まさかそんな状態になっているとは思わないし、もう無言でいるしかなかった」。
車で報道陣に追いかけられた際には、たまらず両親が警察に助けを求めた。「“大きな事件を起こした容疑者の親族だから対応できない、ご近所さんなり、親戚に頼ればいいじゃないか”と言われた。でも、こんなことになっていて、“食料買ってきてもらえますか?”とか言えない」。
被害者家族であると同時に、加害者家族でもあるため、誰かに守ってもらうことも叶わず、一家はやむを得ずホテル暮らしに入る。そこに追い打ちをかけたのが、「小学校のとき妹をいじめていた」などのネット上を飛び交った様々な嘘の情報だ。「そういうことはなくて、どちらかというと私の方が兄に物を投げたりしていたくらい。全然違うなって…」。
人に相談することもできず、ストレスが積み重なる日々。「“こういう育て方をしたからじゃないか”とか、“あの時アパートに見に行っていれば”とか、そういう家族内でのケンカが1年くらいは続いた」。
やり場のない感情を家族内でぶつけ合う日々。心愛さんの祖母は、孫を助けることができなかった後悔と、加害者が息子である責任からひたすら自分を責め続けた。「主人と、それから娘の家族たちが良くなるんだったら、私が全部背負って逝ってしまえばいいのかと思ったりもした。家族でけんかしてベランダに行って、“もうダメ”と思ったときもあったが、娘(真由さん)に“ここでは死なないでちょうだい。事件みたいになって住めなくなったら、私たち行くところがない!”と言われてハッと目が覚めた。“こんなことしているよりも、もっと強くなって心愛ちゃんのためにも本当のことを知らなきゃいけないなと思った」。
事件の発生から来月で3年。心境にも少しずつ変化の兆しが。
「つい最近、テレビでなんか面白いことを言っていたら自然と笑っちゃった。ああ、私も笑えるんだなって。それでも、まだちょっと心愛ちゃんに対して申し訳ないなって思ったが、生きられるうちは心愛ちゃんのことを忘れないで何かのお役に立つようにしていきたいなと今は思う。じゃなかったら、心愛ちゃんが亡くなった意味がなくなってしまうような気がした。ただ手を合わせるだけがあれじゃないから」(心愛さんの祖母)。(『ABEMA Prime』より)
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