現実世界よりも自由に働ける? 『メタバース』上で生まれる雇用と“案内役”の需要
仮想世界で就職?未来の働き方に注目
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 パソコンやスマホといったデバイスの画面に映し出されてきたインターネットの世界。文字や写真という平面的なSNSの代表格だったFacebookが社名を変更し『メタバース』と呼ばれる仮想空間に事業の軸を移す動きを見せるなど、未来の動きを見据えた新たなビジネスが始まっている。

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「メタバースとか新しい事業に取り組んでいる企業さんと、新しい働き方をしたい働き手をマッチングさせるという新しいジョブマッチングの仕組みを作ろうとしています」

 こう語るのは、メタバース上での仕事のマッチングサービスを行う会社『メタジョブ!』の代表・星野尚広さん。『メタジョブ!』では、10月に行われたバーチャル渋谷でのハロウィーンフェスで、参加者のサポート役として公式スタッフを派遣するなど、事業に取り組む側と働く人をつなぐサービスを行っている。

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「16日間で145人のワーカーを派遣しまして、そこではハロウィンなので、みなさんアバターも仮装して入ってくるのです。なので『そのアバター素敵ですね』とか。みなさんの写真を撮影してその中から、アバターが素敵なもののコンテストにあげさせていただくという仕事もやりました」

 仮想空間上にあるメタバースでは、操作方法やおすすめコンテンツなどの案内役として、アバターに扮したスタッフが働く。新しいメタバースという技術を活用したいものの、運営方法や詳しいスタッフを持ち合わせていない企業側と、そこで働きたい人のマッチングを行うのがメタジョブの役割だ。

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 ほかにもメタジョブでは、三越伊勢丹のスタッフとして接客する仕事も紹介。応募条件を見てみると、実際の販売スタッフのように「何かしらの商品販売経験がある方」に加え、「パソコン操作やタイピングに問題がない方」というメタバースならではの条件もある。

「私もアバターになっていますが、アバターになることで住む場所・人種・見かけ・年齢性別、そういったものの壁を取り払うことができますので、『本当は、そういうことをやってみたかったんだけど、ちょっとそういう壁があって挑戦できない』みたいな人が『挑戦したいです』と言ってくれている。アバターになると、外見とか情報がフラットになることで、むしろ中身を見られるところがありますので、『本当は接客がすきなんだけど、リアルではしり込みしちゃってる』という人が多いかなと思います」

 現実世界よりも自由で、働く側として選択肢が広がるメタバースの世界。アバターを通して喋るという特性と親和性が高い、声優や俳優といった“声のプロ”も多く登録しているという。

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 星野さんは、今後の展開について「ふと思いついたときに、メタバースで働きたいと思ったら『30分後に働けます』みたいな、マッチングの率をしっかり高めていきたいなと思っています。そのためには、まだまだ限られた数の仕事しかないので、働きたい人と働く場ですね。それをしっかり数を揃えてマッチングしていくというのが理想的な姿かなと思っています」と語った。

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』コメンテーターの琉球大学 工学部教授・玉城絵美さんは「メタバースのサービスは徐々に拡大していて利用客も増えている」という。一方で、イベントに参加するほとんどの人が、メタバース初体験となるので目的地にうまくたどり着けない人も……。玉城さんは「そういうときに誘導役がいるのは素晴らしい」と評価していた。

 メタバースが急拡大している中、メタバースで働くというニーズが高まっていると話す玉城さん。

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「今、特にエンターテインメント分野への広がりをみせている中で、客は一気増えたが案内役が少ない。働くという意味で、お客さんとして働くというニーズもありますし、身体的な問題などで外出困難な人や外見にコンプレックスを持っている人たちも、平等に働けるというのも素晴らしいですね」

 現在のメタバースは、体の動きと音声と映像の通信が可能となっている。玉城さんは、それ以外の感覚についても「情報通信できるように徐々に研究されている。例えば、味覚とか満腹度とかも研究中で、おそらく20~30年以内には導入されるだろう」と推測していた。

 今後、あらゆる分野での利用が予想されるメタバース。玉城さんによると、発展していく中で大きな課題が残っているという。

「今メタバースは、どこの国に所属するなどが決まっていないので、国際的な法律がない。また、メタバース上で作られた家や不動産、アート作品などの知財が(ネット上のものなので)簡単にコピーできてしまうので、管理が難しい」

(『ABEMAヒルズ』より)

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