「いつ実現するんだろうっていう感じがずっと続いていて。聞いた瞬間、嬉しい気持ちもありますけど、やっとスッキリ…難しいですね。一旦はホッとしたかな」
24日、東京・文京区の東京ドームホテルでRIZINの榊原信行CEOとRISE世界フェザー級王者・那須川天心(TARGET/Cygames)、K-1史上初の3階級王者で現スーパー・フェザー級王者である武尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)らが出席する記者会見が行われ、ファン待望のカードがついに「合意」に達したことが発表された。決戦は来年6月で、詳細な日程や会場は後日発表される。
その直後、独占インタビューに応じた武尊が、紆余曲折を経てようやく決した那須川天心との一戦に向け「勝ったらそのまま『死んでもいい』くらい」と悲壮な決意を明かした。
改めて「那須川天心」という存在について問われた武尊は「ライバルでも、もちろんある。僕が格闘技をずっとやり続けられてる原動力。実現して、やっとそう思える。特別な存在というのは変わらない。色々な特別な人っている。対戦相手として特別な存在と思う選手も何人もいる。でも、そういう次元とはちょっとまた違う」と静かに語る。
今日という日に至るまでの様々な出来事、思いを挙げればきりがない。そんな様子で武尊は「できる、できないを何十回、何百回と繰り返したのかな…」と漏らした。
何度も心が折れそうになることもあったかもしれない。そんな状況でも「闘いたいという気持ちは一度も変わらなかった」と話す武尊は、この試合を通じて証明したいことがある。
そのことについて武尊は「判定とかドローとかそれで納得しないと思う。これだけ…待たせて、もう二度とできない試合。ドローだったら、また再戦っていうは、僕の中では選択肢はない。誰かに勝敗を付けられるっていうのも違う。KO決着で終わらせるのが一番。この試合に勝つことで僕が今まで証明したかったことも証明できる」と力をこめる。
では、武尊が那須川天心との試合を通じて証明したいこととは何か?
「今までテレビ、地上波がある団体とない団体。昔からK-1を観ていた人はK-1を知ってるんですけど、地上波で放送されていない団体。RIZINは放送されていて、テレビで放送されている方が、団体的にも凄い。選手も凄いって思われていて、それが僕の中ではK-1ファイターたちに申し訳ない。僕がどうにかできる問題じゃないけど、天心選手っていう選手が現れてから、K-1ファイターたちもすごく悔しい思いをしてきた。自分の試合じゃないのに、自分の力でどうにかできる問題じゃないのに、そういう風に言われてしまってたことが一番つらかった。だからこそ、この試合を実現させて、僕が勝つことによってそれが全部払拭される。K-1は“立ち技世界最強”の団体じゃないといけないと思う。僕がそれを証明することによって、K-1で僕についてきてくれたファイターたちの気持ちも全部払拭できる」
武尊も那須川天心も、世界の強豪を相手に無双を誇ってきた。つまり、この試合で勝った方が「世界最強」を名乗ることができるといっても過言ではない。そのことは武尊も十分に自覚している。
「日本人同士で世界最強を決められるということは少ない。天心選手も世界の強豪を倒してきて、僕も世界中の選手と戦ってきて、たぶん世界から狙われている二人。その二人で試合して、勝った方が『世界最強』って胸を張って名乗れると思う」
それだけに、武尊がこの試合に賭ける思いは、並大抵のものではない。武尊は最後に、静かに、そして力強く語った。
「人生を賭けてでも勝たないといけない試合だし、僕一人だけの勝利じゃない。僕についてきてくれた人たち、周りにいてくれる人たちとか、K-1ファイターとか、色々な人たちの気持ち。格闘技界全体のことも背負って、この試合に上がろうと思っている。この試合が終わった後の格闘技界がもっともっとデカくなって、昔の格闘技ブームって呼ばれてた頃以上の格闘技にするには、一人でも多くの人にこの試合を観てもらって、格闘技の面白さ、熱、感動とか勇気とか色々もらえることをたくさんの人に知ってもらいたい。この半年、勝つための練習と勝つための生活をこの後の半年、やっていきたい。勝ったらそのまま『死んでもいい」くらいな気持ちにはなっている』