婚姻中の2人が離婚までの具体的な期間を定めて結婚生活を送るための「離婚約」。2017年のブログで、この「離婚約」に触れたのが、お笑いトリオ「インスタントジョンソン」のじゃいだ。
当時、妻との結婚から10年が経過していたじょい。共働きだったにも関わらず、家事育児を妻に任せきりだったことから、2歳の次男が小学生になるタイミングを期して離婚しようと迫られた。この「離婚約」を受け入れながらも、できれば離婚はしたくないという思いを持ちながら、家事や育児に取り組んだ4年間。今年4月、息子の入学式を前に、いよいよ“約束の時”が来た。ところがある朝、妻が泣きながら部屋に入ってきたのだという。
「小学校6年生だった長男の卒業文集を持っていて、そこには“僕は家族を大事にしたい。世話のやける弟の面倒もみなくちゃ。お父さんとお母さんに親孝行がしたい”と書いてあった。それを読んで号泣していた。その場では離婚はやめようといった話はしなかったけど、普通に生活が続いている。今は“敗者復活戦”だと思っている」。
■「誰かを恨むこともなく、家族円満に別れられる」
11月に発売された『離婚約、してみました。』の著者・のらりくららさんの場合、現在13歳の娘が高校生になるタイミングで離婚をしようと約束した。「子どもが手がかからなくなってきたので、今後を考えた。その時に、“この人でいいのか”、“夫も薄々同じことを思っているんじゃないのか”と思うようになり、話し合いを持った」。
思わぬ提案だったが、夫も同意。娘も、「この家があれば、家族の形って変わらなくない?」と理解を示してくれたため、思い出作りとして家族旅行を楽しむなど、むしろ家族の時間を大切に過ごせるようになったのだという。
「不安もあったが、1年半後に離婚するかもしれないと思うと、どういうふうに仕事をしていくかを考えたり、夫の嫌なところも我慢ができるようになったりした。外出や、何気ない食事もすごく楽しくなった。離婚をするかしないかを考え直す期間にもなると思うし、夫婦関係を見直す意味では、すごく大事な時期になったと思う」。
今後について、のらりくららさんは「離婚するかしないか、まだ決まっているわけではないので、お互いに言いたいことを言うことによって、関係が良くなる可能性もあると感じている。離婚約をすることで、誰かを恨むこともなく、家族円満に別れられるというのが大きい。離婚した後もいい関係が続けられると思う」と話した。
■「もう少し結婚していてもいいかなと思えるようになった」
「結婚は人生の墓場だというが、本当にその通りだ」と話すゆうこさんの場合、今年1月、半年後に離婚する約束を夫と交わした。
「結婚のために、ある程度責任のある仕事をさせてもらっていた職場を辞め、引っ越しもした。全て捨てて夫に養われる立場になった結果、経済的な自由もなくなっただけでなく、“妻としてこうあらねばならない”みたいなものがあって、私の人生を束縛した。はめられたという感じがして辛かった」。
期限となる7月を過ぎた今は、“1年ごとの更新制”のような結婚生活を送っている。話し合いを重ねた結果、夫の理解が進み、不満が少しずつ解消していったからだという。
「半年の間、2人で過ごしてみて、なんで私がこの人と結婚をしたのか改めて考えた結果、もう少し結婚していてもいいかなと思えるようになった。7月に、私の方から“もう少し結婚を続けてみてもいいと思うんだけど、どう思うかな”、という話をした」と答えた。ゆうこさんは「うちの場合はこれまですごく話し合いを重ねてきた。夫はもともと穏やかで、私の突拍子もない話を邪険にすることなく、丁寧に話を聞いてくれる人。“ゆうこがいいんだったら、もう少し続けてみようか”という感じで受け入れてくれた」。
■「夫婦関係の改善のための“リーサル・ウェポン”だ」
こうしたエピソードを受け、EXITの兼近大樹は「親父が出ていったのは僕が12、3歳の頃だったが、確かに思い出づくりの時期があった。両親ときょうだい4人、普段食べたことがないステーキを食べにいったり。母親には自分についてきて欲しい気持ちがあったのか、“でもこれ、お父さんのお金じゃないからね”とか冗談を言ったり(笑)。ある意味で、離婚約をしていたということだったのかもしれない」と振り返る。
夫婦問題研究家の岡野あつこ氏は「普通は我慢が爆発して“もう出ていく”、調停だ、裁判だと言って揉めるケースが多いので、まだまだ珍しいが、若い夫婦にはこういうケースが増えていると思う。お互いに嫌で、本当は別れたいんだけど、経済的な理由や子どものため、ということで契約をして、なんとか生活を続けていく、新しいやり方だ。夫婦の形が多様化している中の一つの選択肢だと思うし、壊れかけている夫婦にとっては、唯一の打開策になると思う。離婚約があることによって夫婦生活を思い出し、改善の余地も出てくる。子どもがいる場合には、お父さんお母さんが触れ合いを通じて、このまま続けてもいいんじゃないかと思う人も出てくるだろう。夫婦関係の改善のための“リーサル・ウェポン”だ」と話していた。(『ABEMA Prime』より)
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