那須川天心「ヒーローじゃなきゃいけない」 vs武尊で思い激白。「若者代表として世間と闘う」の言葉に隠された信念
【映像】那須川天心、何度でも見れる「衝撃KO集」

 全格闘技ファン待望の一戦、那須川天心vs武尊がついに決定した。12月24日、クリスマスイブの記者会見に武尊、RIZINの榊原信行CEOとともに出席した那須川は、終始上機嫌に見えた。会見での第一声は「メリークリスマス!」。この試合をクリスマスプレゼントになぞらえた。会見を終えると密着取材のカメラに「いやー、サンタクロースに勝ったっしょ」。

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 ただ本人としては、いつも通りという感覚だったそうだ。そこは“勝負師”としてブレない部分なのだろう。会見後のインタビュー、那須川はこう語っている。

「この会見をやるからといって浮かれてはダメですし、地に足つけようねっていう。僕はそこを思ってますね。僕だけじゃなく全員ですよね、見てくれる人も。この先のことも考えなくちゃいけないですし。“よっしゃ、やってやるよおい!”みたいな(ものではない)。もちろん高揚する部分はありますけど(大事なのは)平常心。いつも通り生きている中で、こういうことが起きている」

 那須川はあくまで冷静だ。会見でも、この試合をやればすぐに格闘技界が今以上に盛り上がるというわけではないだろうと語っている。それでも、この試合を見て格闘技を始めるような子供たちがいればいい、という希望も語った。

メイウェザーとやった時よりも人(報道)がいたし、これを目指す子がいればいい。それだけの思いで。それが答えかなっていうのは思いますけどね。これは間違いじゃなかったなと。信念は変わってないですから。ブレたら負けです」

 武尊の存在は、天心の中に「いたりいなかったり」だったという。

「僕はまっすぐなんですけど(試合が)あるかも、いやないみたいなのを回って回って」

 ただ、その試合を見てはいた。

「全部じゃないですけど。ディズニーの映画やってたら気になるじゃないですか。ユニバ(ユニバーサルスタジオジャパン)が鬼滅の刃とコラボするとなったら見るじゃないですか。その感覚ですよ。俺はどっちか? 俺はディズニーです。ミッキーじゃないですか。要は一つのジャンルですよね」

 会見で武尊と向き合った感想については、こんな言葉で表現している。

「ひしひしと伝わってくる部分はありました。ただ、まだスイッチを全部入れるというか、そういう感じでもないのかなと思いましたね。(コメントでの)表現の仕方、伝え方は違うと思うんですけど、思ってることは一緒です。信念の部分では絶対一緒だと思います」

 会見では、那須川の「若者代表として」という言葉も印象に残った。試合が正式決定するまで、多くの“大人の事情”を見たということなのかもしれない。

「まだ新卒の歳ですから。世の中は“若者が”とか“Z世代は”、“ゆとりは”とか言うんですけど、いやいや俺ら最高だからと。その代表として世間と闘います」

 若者だから前に出ることができる。大人の事情に絡め取られてはヒーローになることはできない。格闘技界の新たな時代を開拓してきたという自負もあるだろう。那須川の言葉からは、武尊戦とその背景にある格闘技界、その“時代”への強い思いが感じられた。

「集大成ですよね。僕の中ではこの試合があるストーリー、ないストーリー、2パターン考えてたんですけど。両方とも腑に落ちるものにしなければと。思ったのは“那須川天心はヒーローじゃなきゃいけないな”と。だからやるって決めたし。条件は何百とあったと思うんですけど、知らねえよ、やりますと。だってそんなの見たくないじゃないですか。子供たちは知らない。なんだかんだ言っても始まらないですから。俺はまだ子供でいいし、若い世代、最高でしょって」

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