NHKで呼びかけても「1人も来なかった」木村一基九段、弟子にまつわる爆笑秘話 一番弟子は「そこらへんから拾ってきたわけじゃない」
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 今や人気、実力ともにトップクラスの棋士にも、切ない思い出があるものだ。8組の師弟による早指し棋戦「第1回ABEMA師弟トーナメント」に出場する木村一基九段(48)は、「将棋の強いおじさん」「千駄ヶ谷の受け師」といった数々の異名を持つ人気棋士。近年では史上最年長の46歳3カ月で初タイトルを獲得、盤外では大盤解説やイベントでのトークでファンを笑わせまくっている。この大会には一番弟子の高野智史六段(28)と出場するが、「ABEMAトーナメント」恒例となっているチーム動画の収録では「NHKで弟子を募集したけど、1人も来なかった」など秘話を明かし、ここでもファンの笑いを誘った。

【動画】師弟となったきっかけを振り返る木村九段と高野六段

 ユーモア溢れる木村九段に、真面目な好青年の高野六段。キャラクターの異なる師弟だが結びつきは強く、高野六段が新人王戦で優勝した際のスピーチで、師への思いを語ったところ、木村九段の涙が止まらなかったということもあるほどだ。

 動画では、より師弟のことをお互いよく知るため、クイズに答え続けるという企画になったが、最初の質問は王道の「師弟関係になったきっかけ」。ここでさっそく木村九段が「そこらへんから拾ってきたわけじゃないからね」と、ジョークを一発かました。両者の答えは一致、将棋教室「さいたまドラの穴支部」が2人の出会うきっかけで、木村九段によれば「そこに通う何人かから、弟子にしてと紹介を受けまして。高野君が第1号、現在奨励会含めて5人の弟子が木村門下にいます」と説明した。

 おもしろくて強いとなれば、全国の少年少女が弟子入りを志願しそうなものだが、実はそうでもなかった。木村九段がかつて、NHKの番組で将棋講座をしていた時のことだ。「昔、NHKの講座で弟子を募集しますと言ったことがある。五段か六段の時。1人も来なかったの。これは何か、画面を通して見る姿に問題があるんじゃないかと考えさせられる部分があった」。今から20年ほど前の話ともなれば、将棋の映像を見る環境しては、ほぼ唯一といってよかったNHK。ここで募集をかけて、誰も来ないとなれば大問題だ。後に高野六段が初の弟子になった時には「晴れて1人、弟子が来るということでね、緊張した覚えがあります」と、将棋の対局とは違う緊張があったという。

NHKで呼びかけても「1人も来なかった」木村一基九段、弟子にまつわる爆笑秘話 一番弟子は「そこらへんから拾ってきたわけじゃない」
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 なお、当時の高野少年から見た木村九段の印象はどうだったか。「テレビの人という感じが強くて、おもしろい感じの、すごく明るい方なんだなと。弟子入りする前にも、教室でも指導してくださって、それで入門するにあたり初めてお宅にお邪魔して、将棋を教えていただいたんですけど、迫力があるというか怖い感じで。これがプロの世界で戦うということなのかなと思いました」と、プロの迫力に気圧された。ただ、これも木村九段の作戦の一つ。「きつさというものを伝えられるように意識していましたので、まさに狙いですよね。厳しく接しようと心掛けていましたから。師匠としては、最初の作戦はバッチリ」と満足そうだった。

◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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【動画】師弟となったきっかけを振り返る木村九段と高野六段
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【動画】弟子への思いを語る木村一基九段
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