21日、台湾・新竹県で台湾陸軍の軍事訓練が行われた。訓練は中国軍の上陸を念頭に置いたものだったが、一方で中国は先月26日に、台湾海峡周辺で海軍空軍合同で戦闘に備えたパトロールを実施。さらに、その2日後にも中国の戦闘機27機が台湾の防空識別圏に侵入するなど、台湾有事への緊張が高まっている。
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実際に台湾有事が起きる可能性はあるのだろうか。そのとき、日本はどのような影響を受けるのか。一連の動きにニュース番組『ABEMA Prime』に出演したネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「中国の政府は『台湾を権力の範囲内に入れたい』と昔から言っている。軍事侵攻しなかったとしても台湾に中国派の人が増えて、結果的に中国派の法律が通って、中国本土の意向なしには何もできない、という香港のような形もある。無理して軍事プランを使うと世界中からバッシングがくると思うので、台湾は軍事プランを使わない方が楽なのではないか」と発言。
政策研究大学院大学教授・国際政治学者の岩間陽子氏は「緊張が高まっていることは確かだ。数年前に比べれば格段に緊張が高まっていて、それは中国が自信をつけてきているからだ」とした上で「それ(台湾有事)が明日なのか5年先なのか10年先なのか。これは地震予報や火山噴火予報の世界だ」と話す。
また、前述のひろゆき氏の意見について、岩間氏は「私も完全に同意するが、ただ、中国がやっていることを見ていると必ずしもそうではない」とコメント。「香港とおっしゃったが、香港も2〜3年前まではそれなりに楽しい生活だったと思う。このところ本当に締め付けがきつくなって、自由がなくなって『ああいうのは嫌だな』と逆に台湾の人が思い始めている。そうすると『香港みたいになりたくない』『台湾は台湾で豊かで民主的な自由のある生活をしているから、中国と一緒になりたくないよね』という気持ちが強い人も出てくる。でも、中国は絶対にそれを許せない。気持ちがどんどん離れていく一面もある」と見解を示した。
台湾有事では、具体的にどのようなシナリオが想定されるのだろうか。
岩間氏は「戦争になったらものすごい被害が出ることは分かっているから、そんなすぐ簡単には戦争にならないと思う」と予測。「ただ、中国は『絶対に台湾の独立は許せない』と言っている。最近台湾に同情的な国や勢力が、例えばヨーロッパでも少しずつ出てきて、中国はそういうことを面白くない。どこかで何かがねじれてボタンのかけ違いが始まって、『アメリカと全面戦争したくないがアメリカは動かないんじゃないか』という気持ちにもし中国がなったら、そこはチャンスだと思ってくると思う。今、プーチンがウクライナを虎視眈々と眺めて、十何万といっぱい軍隊を集めて相手の出方を見ている。中国も常にアメリカや周辺国を見ている。中国に介入するような口実を与えるような政治状況を作らないことが重要だ」と解説した。
台湾が中国から軍事侵攻を受ける最悪のシナリオを防ぐには、他の国が台湾に同情する態度を出しすぎないほうがいいのだろうか。岩間氏は「難しいところだ。例えば人権問題とかであまりに中立的なのも私はどうかと思う。他方で台湾を独立国として認めて、国交を結ぶまでいくのは全然違う領域に入ると思う。それは私はやるべきじゃないと思っている」とコメント。
その中で日本にとっての“最悪なシナリオ”として、岩間氏は「日本は、アメリカが正面切って中国と戦争する状況になれば、何らかの形でアメリカを支援しなければいけなくなる。それよりもどんな範囲でどんな軍事行動が起こるか、考える必要がある。日本の与那国島なんて、目と鼻の先だ。どこまでを中国が手の内に入れようとするのか。そういうことは心配しなきゃいけない」と懸念。「仮に台湾が中国に統一されたとして、それがある程度平和的に行われれば日本もどうしようもない部分があるが、完全に台湾周辺の海域を中国がコントロールすることになる。それは日本の国益にとってはものすごくマイナスだ。そのことも考えないといけない」と語った。
中には「Twitterの意見に引っ張られ過ぎている国会議員もいる」といった声もあるが、ひろゆき氏は「民間人ができることとして、ソーシャルネットワークで政治家に圧力をかけることは正しいことだ」と話す。
「僕は(北京)オリンピックは外交的ボイコットすべきだと思う。『こういう人たちが困っているけど、俺たちは関係ない』といって、今度は『ベトナムの海上に中国の海軍基地が作られたけど、でも日本は関係ないよね』となって、次に尖閣諸島で何かあった場合どうするのか。アメリカが主導になって『オリンピックを外交的ボイコットしよう』と言っているなら、そう考えるチームがまとまるべきだ。まとまっていると、中国が何かやらかしたときにまとまって圧力をかけられる。民間人ができることは日本の政治家、自民党の議員に『外交的ボイコットしろ』と送り続けることだと思う」
また、ひろゆき氏はまとまったメッセージが中国に伝わることで「何かやらかしたら世界中の国から反発が来るという圧力にはなる」と言及。「ボイコットに参加している国が多ければ多いほど、圧力が強くなる。中国に海で面している日本がボイコットしないのはどうなのか」と疑問を呈した。(『ABEMA Prime』より)
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