「僕だっていつかはドンになりたい」新潟5区で自民党の星野・泉田陣営を破った米山隆一議員が語る“新潟裏金騒動”
米山議員と考える重鎮の功罪 »

 「離党…離党がさっぱりして一番いいのかなと」。新潟県議会議員の星野伊佐夫氏が提出した離党届が27日、自民党新潟県連に正式に受理された。

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 ことの発端は今月1日のこと。10月の衆院選で新潟5区から出馬、比例で当選した同党の泉田裕彦衆院議員が、音声データとともに星野氏からの裏金要求があったと告発したことだった。

「僕だっていつかはドンになりたい」新潟5区で自民党の星野・泉田陣営を破った米山隆一議員が語る“新潟裏金騒動”

 ところが星野氏は「改ざんされたもの」として否定。両者の主張は平行線を辿り、泉田氏が県連に対し星野氏の除名を申し入れる一方、星野氏が支部長を務める党長岡支部は泉田氏に“愛党精神の欠如”あるなどとして、県連に対し新潟5区支部長の解任を申し入れていた。

 新潟5区をめぐり、一体何が起きていたのか。28日の『ABEMA Prime』では、かつては自民党公認候補として星野氏のバックアップのもと衆院選に挑み、10月の衆院選では無所属で出馬、星野・泉田営との戦いに勝利を収めた米山隆一氏に話を聞いた。

■“星野先生、ポスター代を払ってください!”と言って頭を下げに行った

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 まず、“新潟のドン”と盛んに報じられていた星野氏について、米山氏は「ドンは、なぜドンかということだ」と話す。

 「全てのお金を出し入れを握り、その人が通すまで、ありとあらゆることが進まない。そういう状況を作ることこそがドンの力の源泉だし、みんなが“ご機嫌”を伺うことになる。私の場合も、新潟5区の支部長だった時期には月に50万くらいもらえるわけだが、なんと、通帳もハンコも星野伊佐夫さんが持っていて、例えばポスターを作ろうというときには、“星野先生、ポスター代を払ってください!”と言って頭を下げに行った。

 でも、星野さんだって政党の人なのだから、このこと自体は違法ではないし、新潟5区ではこのシステムでずっと続いていた。泉田さんに関しても、最初の選挙(2017年)は前任の長島忠美さんが亡くなってすぐの選挙なので、おそらく“党丸がかり”。お金を払え、払わないみたいな話は出なかったと思う。

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 しかし今回の選挙では、泉田さんが “米山も長島も、全員がこれでやってきたんだから、お前もだ”という話を拒否した。そこから星野さんとの仲違いが始まったということだろう。星野さんにしてみれば、党のお金だろうが、泉田さんの自腹だろうが、出してもらえればどっちでもいい。新潟は広いので、とにかく選挙にお金がかかる。“俺はタダでやっている。経費で赤字が出てしまう”と不満が募れば動いてくれなくなるから、ガソリン代といって1万円払ったりする。

 そのお金の出し方が政党からなのか個人からなのかといったところからトラブルになってはいるが、それは選挙に確かに役に立つということだ。私も地元では長くやっているが、それでも選挙には1000万円くらいは余裕でかかっている。また、選挙期間以外も、スタッフを雇って事務所の家賃を払って、車を回して、ビラ配って…と政治活動をする。“自民党は強い”といわれているけれど、そのくらい動いてくれる人がいるということ。いわば向こうは大企業。こっちにも組織はあるけれど、正直言って10分の1くらいだ。

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 やはり今の私は野党なので、その立場から言わせてもらうと、裏金かどうか、あるいは合法的に配られるかどうかは置いておいて、配れる相手がそれだけいるのが羨ましい、というのが本音だ。

 “政治とは希少資源の権威的配分だ”という言葉があるが、結局、やりたいことが100個あったとしても、優先順位つけながら、一つずつやっていくしかない。それができなければ、優先順位の話だけをして物事が進まないということにもなる。そういう時に、ドンが“これが一番目、これが二番目…”と言ってくれることで物事が前に進むことがある。やっぱり安倍晋三さんが何か言うから、話が通るわけだ。

 政治にはそういう面があるということは否定はできないし、逆に全否定するなら、そもそも議員はいらない。民主主義においては、あの人の言うことには説得力ある、ということも大切で、議員の役割もそこにある。その意味では、僕だっていつかはドンになりたい。

■星野さんの不始末は泉田さんの不始末でもある

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 裏金の要求については否定しながらも、最終的には4年前に泉田氏を擁立したことなどの責任を取る形で離党届を提出した星野氏。県連は、星野氏の離党で「一応の決着」としたが、これで幕引きとなるのだろうか。

 また、泉田氏については選挙区支部長解任を求める声が上がっていたが現在、名簿に載っておらず白紙のため処分は求めないことを決めている。

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 慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は、「特に政治の揉めごとはか遺恨を残す。“必要悪”としての長老のようなシステムを置いておくことで小競り合いが起きにくくなり、よくも悪くも安定が図られるということはある。逆に、新しく出ていこうとする人は、その人を頼らないといけない。その意味では、泉田さんはなぜ今までの議員と違って強気に出られたのか。自民党の実態があぶり出されたわけだが、内部告発的なことをやるんだったら、自民党を出て、自力で受かろうとすればよかったのではないかとも思う」と指摘する。

 これに対し、米山氏は「それは泉田さんだからだ。言葉の選び方が難しいが、泉田さんは知事時代からそういう人で、ある種、空気を読まない。かつ、後でどうなるかも考えないからだ」と即答。

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 「同時に、ここまでの大見得を切った泉田さんが“星野さんが手伝ってくれなかったら困った”と恥ずかしげもなく言っているという面もあるが、野党の私からすると、困っていること自体が恥ずかしい、自分でやればいいじゃないと思ってしまう。

 やはり自民党の議員さんには、神輿に乗っかるだけで、自分では選挙をしたことがない人も多い。だからこそ、選挙区内の地理などをよく知っている市議や県議に頼りきりという状況が生まれる。

「僕だっていつかはドンになりたい」新潟5区で自民党の星野・泉田陣営を破った米山隆一議員が語る“新潟裏金騒動”

 支部長が企業の社長と違うのは、部下のクビを切ることはできないし、意外に不安定な立場だ。泉田さんにとってみれば支部の人たちの支持を得続ける必要があるのに、星野さんに弓を引くということは、支部の全員を傷つけ、自分が返り血を浴びるのは当然だ。しかも新潟5区支部長の泉田さんは、長岡支部長の星野さんよりも上の立場なので、星野さんの不始末は泉田さんの不始末でもある。

 そういう意味では、泉田さんの告発は、決して“正義”として捉えられない側面もある。“星野先生、私は払います。私が全部選挙をします。一切口を出さないでください。私がやって勝ちますから”と言えばよかった。それも含めて、本当に自民党の体質、構造をよく示している問題だ。

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 ちなみに自分のことを語ってしまうと、ドンに反発して干されたから野党になった。手前味噌だが、それでもくじけずに生き残って、正々堂々、逆上がりで勝ってやるぞと。そして、その1票がドンを引きずり下ろすんだということでやってきた。

 ただ、政治にはやっぱりマキャベリズムというものがあって、多少なりともドン的なことをしなければ力はつけられないし、人を説得したりもできない。そうでなければ、それは官僚で終わるじゃないか。濫用の危険を伴うものなので、ほどよい野心と、鋼鉄の気持ちを常に持ち続けながら政治力を差配し、高潔かつ狡猾なドンであり続けないといけない」。(『ABEMA Prime』より)

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